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39話 部屋の中心で謝罪を呟く


「えっーと……詳しく説明して貰っても良いかな??」

 

 記憶が消える呪いって事は、今の俺の記憶に何か抜け落ちてる部分があるのか??  

 それとも……これから消えてなくなるのか??

 

 

「そうね、私から説明するわ。 まどかちゃん、勇者と初めて会った時の事を覚えてるかしら??」

 

「あ、あぁ。 勇者にやる気を取り戻させようとした件だろ?? 良く覚えてるさ……痛かったからな」

 

「うっ……ま、まぁその事は後でゆっくり話しましょう。 今の問題はその後よ」


「その後?? うーん、悪い全然覚えてないわ。 

 むしろあの時の事はあんまり思い出したくないんだよな、なんてたって脳が破壊された様な感覚になってたし」

 

「それよっ!!」

 

「それ?? 何が??」

 

「まどかちゃんはあの時、本当に脳を破壊されてたの!!」

 

 青蜜はまるで犯人を言い当てるかの様に俺に指を向ける。

 

 

 ……いやいや、そんな訳ないだろ?? 

 

 そもそも脳が破壊される感覚ってのは、あくまでそう言う言い回しをしただけで本当にそう感じた訳じゃないからな。

 ってか脳が破壊される感覚とか知らん!!

 

 張り切ってる所悪いけど青蜜にも教えておこう。 

 世の中には色々な例えが存在するんだってな。 

 ……まぁ詳しい内容については省くけど。

 

 

「はぁー……青蜜さんよ。 悪いけどな、脳が破壊されるって俺が言ったのはっ」

 

「わかってるわよ、NTRってやつでしょ??」

 

 いや、知ってんかよ!! 流石に知識だけは豊富なんだな。 

 

「まぁ、私はあんまり好みじゃ無かったわ。 でも結衣が好きみたいだったから何回かそう言う話をっ」

 

「あ、あかねちゃん!! 今はそんな話は関係ないじゃないですかっ!!」

 

「えっ?? あぁ、ごめんなさい。 

 そうだったわね、じゃあ話の続きなんだけど……ってまどかちゃん聞いてるの??」

 


「……」

 


 ……えっ?? 結衣ちゃんってNTR好きなの?? 

 ごめん、なんかもう勇者が俺にかけた呪いとかどうでも良いわ。 

 結衣ちゃんの性癖に全部持ってかれたもん。 

 一体この子は何回俺を驚かっ……いや、こうふっ。

 

「まどかちゃん?? 話を続けるわよ??」

 

「あっ、はい」

 

 あぶな。絶対殴られる寸前だったわ……結衣ちゃんの事は気になるけど今は大人しくしとこ。

 

「はぁー、さっきも言ったけどまどかちゃんはその時に呪いを受けたのよ。 

 その内容の一つがルカが言ってた通り私達に関する記憶の消失ね」

 

 青蜜は溜息混じりにそう告げた。

 

「な、なるほどな。 言われてみれば確かに夏休みの終盤になるまで青蜜達の事は思い出せなかったもんな。 

 俺はてっきり自分で自分の記憶に蓋をしたと思ってたよ。 

 まぁでも、あの時の勇者は俺を殺そうとしてたんだぜ?? それに比べたら一時的な記憶の消失くらいまだ良い方なんじゃないか??」

 


「馬鹿ね、一時的な訳ないじゃない!!

 あいつはまどかちゃんの記憶から完全に私達を消したって言ってたのよ??

 そもそも私からしたら、今のまどかちゃんがどうして私達の事を覚えているのかさえ不思議なんだから!!」

 


 そう言えば、結衣ちゃんやルカ、それにリアでさえ俺と会った時に随分と驚いてたな。 

 無事で良かったって喜んでくれたぐらいだし。

 


「勇者が本当は手加減してくれたとかじゃないのか??」

 

「いや、彼奴はそんな事はせぬ。 

 考えられるとすれば、お主が自力で勇者の呪いを解いたと言った所じゃろうな……俄には信じられぬがな」

 

 マシかよ。 やるじゃん俺。


「そこのメスガキの仕業じゃないの??」

 

「私は関係ないわよ。 私がお兄ちゃんと会った時には、もう既にそんな呪いなんて消え去ってた様に見えたわ」

 

 まぁ、メロと会えたのも青蜜達を思い出したからだもんな。

 

「不思議ですね……まどかさんには心当たりはないんですか??」

 

「……いや、そんな事言われてもっ」

 

 結衣ちゃんからの質問に俺はみんなを思い出した日の事を振り返った。

 

 

 確かあの日はおっさんと動物園に言ってたんだよな。 

 そこでなんとなくゴリラを見てたら風船が飛んで……あぁ、そうだ。

「空を見上げたら青蜜の事を思い出したんだったわ」 

 まぁでもきっかけは完全にゴリラだったし、この話は言わない方向にしよう……殺されるわ。

 


「……ち、ちょっと! な、何よそれ」

 


「えっ??」

 

 青蜜の口から出た聞いた事のない声色に俺の身体の体温が一気に下がる。

 


 ……も、もしかしてまた勝手に出たのか?? クソっ、一体何処からだ??

 わからん!! でも絶対怒ってる!! だって青蜜の顔真っ赤だもん!! 

 ってか耳も手も赤いわ!! 過去一の怒りだぞこれ!!

 

 

 俺は助けを求める為に直ぐにみんなへと視線を配った。

 

 

 えっ?? なんでみんなも怒ってるの?? もしかしてみんなも動物園いきたかったのか?? 

 全員が怒ってる状況って初めてでは??


 

「……ま、まぁなんにせよ呪いが解けて良かったわ。 

 こ、これからも宜しくね、まどかちゃん!!」

 


「あ、あぁ……よ、よろしく」

 

 あれ?? なんか青蜜だけは喜んでる?? なぜ?? 

 青蜜って実はゴリラ好きなのか??

 

 困惑する俺を他所に青蜜は更に笑顔を増して続ける。

 

 

「ふふっ、でも本当に良かったわよね。

 勇者の呪いが解けなかったらまどかちゃんは一生あのおっさんを好きで居たって事だもの」

 




「………はぁ??」

 


 

 え?? いや、聞き間違いかな??

 なんか俺がおっさんの事を一生好きになるとかなんとかって聞こえたんだけど??

 

 

「それも気付いてなかったの?? 

 まどかちゃんって本当にそう言う所は鈍感なのね。 

 勇者の呪いはもう一つあるの。 それはまどかちゃんが目が覚ました時に一番最初に見た相手に好意を持ってしまう事よ」

 

「……い、一番最初に見た相手??」

 

「そう。 まぁあの状況じゃ十中八九おっさんになるって勇者もわかってたみたいだけどね。 

 随分と楽しそうに私達に語ってたもの」

 



 

 ……ふぅー。 つまり何だ、勇者さんは俺から青蜜達との思い出を消し去って強制的におっさんの事を好きになる呪いをかけたって事か??

 

 そしてその所為で俺は貴重な高校一年生の夏休みをあのポンコツなおっさんとデートする為に費やしてたって事か??

 

 今まで貯めてきたお金も無くなる程にっ!!

 

 


 ゆ、許せねぇ……個人的な恨みしかなくなりそうだけど、全力で叩きのめしたくなってきたわ!!

 

 

「みんな!! こうなったらやってやろうじゃねぇーか!! 勇者に目に物を見せてやろうぜ!!」

 

「そうね!! やってやりましょう!! 

 で、でも、と、とりあえず私はお風呂に入ってくるわ!! 寝起きで汗だくなの」

  


 そう言い残し青蜜は俺の部屋から急いで出て行った。

 

 

 まだ少し顔赤かったけど、大丈夫かあいつ??


 まぁでもこれでみんなの意見も一つにまとまっ。

 


「……えっーと、どうしたんだみんな??」

 

 俺が目を向けた先には明らかにやる気の無い態度で寝転ぶみんなの姿があった。 

 

「ゆ、結衣ちゃん?? も、もしかしてお腹でも痛いのか??」

 

「セクハラです」

 

「えぇ……な、なぁリア?? 一体どうしたんだよ??」

 

「別にぃー、我何もわかんなーい」

 

「いや、明らかに怒ってるじゃん。 頼むってルカ、せめてこっちを向いてくれないか??」

 

「パワハラよ」

 

「何でそんな言葉知ってんだよ、全然意味わかんないし。 

 はぁー……まぁみんな疲れたんだな。 

 メロ、ちょっと隣開けてくれ、俺も座りたっ」

 

「ロリコン」

 

 

 

 ……何これ?? もしかしてこれが勇者の呪いってやつなんじゃないの??

 こんなに一気に冷たくなる?? こんなん呪いしかないじゃん。 




「……ご、ごめんって」

 

 


 急に居心地の悪くなった部屋の中心で俺は訳もわからずみんなに頭を下げた。

 

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