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34話 青の帰還

 

「はぁー、全くお主と言う奴は。 勝手に話を進めおって」

 

 メロとの話が一段落した後、背後でリアが溜息混じりの声を漏らす。

 

「ご、ごめん!! リアの言う通りだよな、俺1人で勝手に話を進めちゃって……本当にごめん!!」

 

「あ、謝るでない!! 別に怒ってなどおらぬわ……む、むしろ中々に格好良かったぞ」

 

「そうよ、ダーリン。 やっぱり私の目に狂いは無かったわ!! ダーリンならきっとなんとかしてくれるって信じてた!!」

 

「……最初からまどかさんはメロさんを敵としてなんて見てなかったんですね。

 私はメロさんの背景を全く考えていませんでした。

 まどかさん、私を止めてくれてありがとうございます」

 

「えっ??」

 

 振り返って頭を下げていた俺にみんなは優しい声でそう言ってくれた。

 

 

「お、怒ってないのか?? もしかしたらまたみんなを危険な目に合わせる事になるかも知れないんだぞ??」

 


「怒る訳ないじゃない!! 私はダーリンが決めた事ならどこまでも着いて行くだけよ!!」

 

「それに、まどかさんの所為で危険な目に遭う訳じゃ有りませんからね。

 全てはメロさんの国を侵略してきた奴の所為です。 さっきも言いましたよね?? 実行犯以外の誰の責任でも無いと」

 

「そうじゃぞ、まどかよ。 戦力的は多い方が良いのじゃからな!! 

 ふふっ、それにしても侵略者とは少し面白い話じゃの。 小娘よ、その話是非とも詳しく教えてはくれぬか??」

 

「私も気になるわ。 一体どんな奴なのかしら?? もしかして全盛期のリアより強かったりして」

 

「は、はんっ!! そんな奴おる訳ないじゃろ!! 我は最強なのじゃぞ?? 舐めるでないわ小童ども!!」

 

「……でもいつも結衣には怯えてるじゃない」

 

「そ、それはあのぺちゃっ」

 

「あらぁ?? 何か言いましたかリアさん??」

 

「ナニモイッテナイ!!」

 

「全然最強感ないじゃない、不安だわ」

 

「なっ!! ふん、いいもーん。 誰が何と言おうと我が最強だもーん。 我だけがわかっていればそれ良いもーん」

 

 

 俺の言葉に3人は全く怒る事なくいつもの他愛無い会話を始めた。

 

 

 ……全く、良い根性してるよこいつら。

 

 

「みんな本当にありがとう。 良しっ!! じゃあ早速作戦会議と行こうぜ!!」

 

 俺はみんなに会釈し再びメロの方へと振り返る。

 

「……お兄ちゃんのお仲間さんは変わった人が多いのね」

 

「あぁ、面白い奴らだろ?? でもこれからはメロもその一員だからな。 お手柔らかに頼むぜ??」


「……仲間か。 うん、宜しくねお兄ちゃん」

 

 そう言ってメロは今まで一番の笑顔を俺に向ける。

 

 

 か、可愛い。 こんな笑顔でお兄ちゃんって言われると本当に妹が出来たみたいでこうふっ……いや、緊張するな。 

 

 

「ふむ、では早速じゃが結界を解除するぞ?? 今更引き返す事などしないだろうが一様確認じゃ。 

 良いのじゃな、まどかよ??」

 

 いつも間にか隣に居たリアが真顔で俺の尋ねる。

 

「……あぁ。 俺はもうメロを信じるって決めたからな」

 

「ふぅー、そうじゃったな。 まぁ何かあったら我が責任を取ってやる、では……行くぞ」

 

 リアは小さくそう呟くと、右手を上げて指を鳴らす。

 

「……終わったぞ」

 

「そうか……メロどうだ?? 魔力は使えそうか??」

 

 

「……」

 

 

「ど、どうしたんだメロ??」

 

 

 無言で目を閉じるメロに俺の背中に汗が滲む。

 

 俺はメロを信じている。 

 

 だけど、どんなに信じていても嫌な汗は出る……それが人間ってもんだ。

 

 

 

「……使えるわ」

 

「そ、それは良かった。 じゃあ早速、青蜜にかけた魔法を解いてっ」

 

「それは無理ね」

 

「えっ??」

 

 目を開いたメロは微笑みながら俺にそう告げた。

 

「な、なんでっ!! や、約束しただろ?? 青蜜を助けてくれるって!!」

 

「えぇ」

 

「じゃあ今すぐにでもあいつを助けてくれ!! メロ!! あいつをっ」

 

 

 



 

「……煩いわねぇ。 外まで丸聞こえよ?? 全く気持ち良く寝てたのに台無しだわ」

 

 

 後ろから響くその声は、今まで俺が散々聞いてきた呆れた声で、その声には焦る俺を宥めさせるには十分な効果が有った。

 

 

「あ、青蜜」

 

「……なんて声出してるのよ。 おはっ……いえ、ただいま、まどかちゃん」

 

 青蜜は照れ臭そうにそう言うと、いつもより少しだけ優しい笑顔を俺に向けた。

 

「……お、おかえり」


 どんな顔をして良いかはわからなかった。 でも、表情なんてどうでも良いだろう。 青蜜が無事だったんだ。 

 良かった……本当に良かった。

 

 

「メロ、約束守ってくれたんだな。 ありがとう」

 

「……ごめんねお兄ちゃん、ちょっと意地悪したくて。

 お兄ちゃんとの約束だったし、魔力を使えるかどうかを試すのに丁度良かったから直ぐに魔法は解除してたんだ」

 

 舌を出しウィンクしながらメロが話す。



 ……この状況で意地悪したくなるって。

 本場のメスガキは恐ろしいな。


 

 額に垂れる汗を拭き取りながら、俺はようやく一息つく事が出来た。

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