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28-2話 カラー大戦争

 

「なんじゃ?? 別にそんな怒る事ではないじゃろ?? お主の瞳もその亜麻色の髪色も金色の成り損ないなのは事実ではないか」

 

 メロが怒っている意味が理解出来ないと言わんばかりにリアは首をかしげる。

 


 いや、流石にそんな事実はないからな! リアが言ってるだけだから!!



「だっ、誰が成り損ないよ!! 大体なんで金色の方が偉いの?? 私は逆だと思うんだけど!!」

 

 それは……うん、まぁそっちの方がないかもなぁ。 

 金色はなんか俺でも特別だと思っちゃうもんなぁ。


「うるさいのぅ、キャンキャン吠えるでない。 お主がどう思うかは勝手じゃが、黄色の方が格下なのは決まってる事なのじゃよ」

 

「だからそれを誰が決めたのかって聞いてるのよ!! 誰がなんと言おうと黄色は最強の色なんだから!!」

 

 メロは頬を膨らませながらリアの前へと詰め寄ると大声でそう叫んだ。

 

 こうしてみると子供同士の喧嘩だな、リアもメロも背が低いから尚更そう見えるわ。 

 いや、ごめん、内容もただの子供の口喧嘩だったわ……。

 

「あら?? 貴方よく見たら瞳の色は緑なのね……ふぅーん、なるほどねぇ。 

 そこの芋虫女の妹って所かしら?? つまりお姉ちゃんの敵討ちの為に黄色を悪く言ってるだけって事ね。 

 姉妹揃って嫉妬なんて醜いから辞めて貰えるかしら?? まぁ嫉妬するからこそ、その色なんでしょうけど」

 

 リアの目を見た瞬間、メロは勝ち誇る様に胸を突き出す。

 


 そう言えばリアの瞳も薄緑色だったな……はぁー、一体いつまでこの無駄な争いをしてるんだろうな、そろそろ俺の話を聞いて欲しいんだけど。


 まぁリアがここまで言われて黙ってるとも思えないし、まだ暫くは無理そうかもな。

 

「ふむ、別に緑色がどう思われていようが興味は無いが彼奴の妹扱いされるのは嫌じゃな……ま、まどかの妹なら考えてやっても良いがのぅ」

 

 そんな俺の思いとは裏腹にリアは落ち着いた態度でメロを見つめ返す。


 

 あれ?? 意外だな、てっきりリアも怒るもんだと思ってたんだけどな。

 あと一様突っ込んどくけど、リアは妹って歳じゃないだろ。



「へぇー、貴方は意外に物分かりが良いのね、緑色より黄色が優れているって認めているなんてお姉ちゃんよりは立派ね」

  

「だから妹扱いをやめろと……はぁー、まぁもう良い。 どっちの色が優れているとかそんな不毛な話し合いをする気はないからのぅ」

 

 リアは呆れた様に頭を振るう。


「なっ!! なによっ、貴方が先に言い出したんじゃない!! 黄色を金色の成り損ないって!!」

 

「確かに言ったが別に緑が優れているとも思っておらん。 

 我はただ黄色も緑も、付け加えるなら青もじゃが、大した色ではないと言ってるだけじゃ」

 

 あぁ、そう言えばリアは初めて青蜜と会った時にもそんな事言ってたな。 青はちょっと弱いって。 

 

「た、大した色じゃないですって??」

 

「そうじゃな。 違いがあるとすればさっきも言ったが金色、もしくは赤やピンクじゃな。 

 優劣がつくとしたらそこら辺からかのぅ?? まぁ我にとってはそれも微々たる差じゃがな。 

 そもそも瞳や髪、ましてや名前に色が入っていたからと言って、それが一体なんなのじゃ?? 

 その色が好きになるくらいならわかるが、何故それを自分の代名詞みたいに考えとるんじゃ??」

 

「そ、それは……」

 


 リアの言葉にメロが初めて言い淀む。

 

 ……うん、まぁこれは完全にリアの言う通りだよな。 

 ってか青蜜やルカを見てたから、リアも当然怒るもんだと思ってたけど本来この反応が自然なんだもんな。

 知らない間に俺も随分と影響されてたみたいだわ。

 

 

「はぁー、因みにじゃが我は決してお主らを馬鹿にしている訳では無いからのぅ?? 

 青っ子は中々に骨のある奴じゃし、そこにいるルカも優秀じゃしな……今だって口喧嘩に負けた振りをしてまどかに抱きついている程に余裕そうじゃしな。

 貧乳娘は……そもそも言及するまでもないか。

 じゃがそれは本人の努力であって、色云々の力では無いと我は思っているのじゃよ」

 

 リアの言葉に俺の腕にしがみついていたルカが僅かに身体を振動させた。

 

 

 えっ?? さっきの言い合いもワザとなの?? 

 ルカにしてはあっさり引き下がったと思ったらそんな意図が?? 俺は本気で応援してたのに??


 ま、まぁこの状況も悪くはないからそれならそれで良いんだけど……ってそんな事よりなんかリアが良い事言ってるんだが!! 


 なんか意外だな。 もしかして俺が居ない所でそれなりに仲良くなったりしてるのか??

 ……それはそれでなんか寂しいんだけど。

 


「……ふぅー、わかったわ、この話はここまでにしましょう。 

 さてと、お兄ちゃん。 この人達と私を会わせて一体何がしたかったの??」

 

 メロも少し落ち着いたのか、これ以上喧嘩を売る様な事はせずに俺の方へと身体を向けた。

 

 

 おぉ!! 落ち着いたか!! それにしても流石リアだな。 いつも園児達と囲まれて生活してるだけあって子供の扱いが上手いんだな。 


 ふむふむ、メスガキに煽られた時は大人の対応っと、これは覚えておこう。 

 

 それにしてもやっと話が始められるな、さて何から話すべきか……やっぱ昨日あった出来事をみんなに伝えた方がっ。

 

 


「まぁ待て。 我の話はまだ終わってないぞ??」

 

「えっ??」

 

 俺が話を始めるより先にリアが再度口を開いた。

 

「話ですって?? 貴方が私になんの話があるのかしら??」

 

 リアの言葉にメロは面倒臭そうに再び視線を動かす。


「ふむ、そう不機嫌そうな態度を取るで無い。 

 いや、それとも何かに怯えておるのか?? 臆病者の黄身姫ちゃんよ」

 


「……はぁ??」

 


 リアのその言葉にメロの醸し出す雰囲気がガラリと変わる。

 


 き、急にどうしたんだリアの奴。 

 なんでまた煽る様な事を?? 何か考えでもあるのか?? 



「おや?? 聞こえなかったのか??

 ならばもう一度言ってやろうぞ、弱虫で臆病なお主にもちゃんと聞こえる声でのぅ」

 


 威圧的な声で静かにそう話すリアは、俺にも感じられる程の殺気を放っていた。

 

 い、一体何が起こってるんだ?? 全く分からん!! 

 


「……貴方それ以上喋らない方が良いわ。 死にたくなかったらね」

 

「お主が我を殺すじゃと?? くくっ、中々に面白い冗談じゃな。 

 流石は裏切りの黄色だけあるのぅ」

 

「黙れっ!! 私は誰も裏切ってなんてない!!」

 

 メロの怒りが最大限にまで膨れ上がったのを感じて、俺は直ぐに2人の間に入り込んだ。

 

 このままじゃ本当に殺し合いをしてしまうと思ったからだ。

 


「……どいてお兄ちゃん。 その女は今ここで殺すんだから」

 

「まどかよ。 其奴の言う通りじゃ、お主は少し離れておれ……我もそのつもりじゃからのぅ」

 

「ば、馬鹿な事言うなよ2人とも!!

 一体どうしたんだよ!!」

 

「そ、そうですよ!! 落ち着いてくださいリアさん!! それからメロちゃんも!! ちょっとの口喧嘩ぐらいで殺し合いなんてダメですよ!!」

 


 結衣ちゃん!!

 ……まぁその通りなんだけど、君も前に同じことしたよね?? 

 って、今はツッコんでる場合じゃないわ!! なんとかして止めないと!! 

 



「なるほどねぇ……リア、間違いないのかしら??」

 

「うむ、時間を稼いで貰えたお陰で随分と分析できたからのぅ」

 

「そう、なら仕方ないわね」

 


 なんだ?? リアもルカもなんの話をしてるんだ?? 

 

「まどかよ、お主も勘づいておったのじゃろ?? だからこそこの小娘と我達を会わせたのでは無いのか??」


 

 ……そう言う事か、どうやら俺が説明するまでも無くリアは気付いていたって事か。 

 メロが俺達の敵、魔王軍の幹っ。

 

 

「此奴が我らが倒すべき魔王だって事に」

 

 ……えっ?? いやいや、それは勘違いだよリアさん!! メロは魔王じゃなくてその部っ。

 

「ふぅーん、やっぱお兄ちゃんも気付いていたのね。 

 まぁそうじゃなきゃ、わざわざ部屋になんかいれないわよね。 中々演技が上手なのね、見直したわ」

 


 ……えーと、マジで?? いや、嘘だろ?? 気付いてた訳ないじゃん!?

 え?? マジで魔王なの?? 魔王って男じゃないの?? 

 あり?? つまり俺は魔王相手にワンチャン狙ってたって事??  

 なにをしているんだ、俺は。




「にしてもまさか今回の魔王が淫魔の王とはのぅ……不思議な縁じゃな」

 

「お兄ちゃんから僅かに感じられた魔力は貴方達だったって事ね。 探す手間が省けて助かったわ」

 


 リアもメロも覚悟を決めた様に戦闘態勢を取り始めた。

 

 

 

 うん、俺が思ってた展開と違いすぎてもう着いて行けないんだが。 


 ってか淫魔の王って……それだけでかなりの説得力あるじゃん、メロのイメージ通りなんだもん。

 

 


 

 左右から放たれる強烈な殺気を感じながら俺は自分の安易な行動を心の中で悔やむ事しか出来なかった。

 

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