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28-1話 カラー戦争


「もう一回言ってみろ、このクソガキ」

 

「あれー?? 聞こえなかったの??

 いいよ、何回でも言ってあげる。 

 緑色の癖に偉そうにしないで。 不愉快だから」

 

 ルカの反応が余程嬉しかったのか、メロは煽る様にゆっくりとそう告げる。 

 

「ふっ、不愉快ですって?? 

 なんで緑色だと不愉快になるのかしら?? 理由を教えてもらいたいんだけど!!」


 ……ルカの奴、完全にダメージ受けてるな。 

 動揺してるのが俺にもわかるわ。

 

「えっー!! そんな事もわからないの?? 

 やっぱ雑魚じゃん!! あっ、わかった!! 

 栄養が胸に行き過ぎて脳みそがスカスカなんだ!! かわいそぉー」

 


 うわぁ!! うざっ!! 

 マジでメスガキだわこいつ!! 俺が言われた訳じゃ無いのにかなりムカつくもん!! 

 やっぱメロは天性のメスガキだわ!! 

 


「な、何よ、結局理由は言えないんじゃない。 

 そりゃそうよね、

 緑色が不愉快なんて聞いた事ないもの。 

 ただの中身のない悪口ってわけね、如何にもお子様の考えそうな事じゃない」

 


 あれ?? もしかしてルカが押されてる?? 

 今の所、お子様の煽りはあんまりメロには効いてないからな、このままじゃルカの負けだぞ!! 

 頼むルカ!! この生意気なメスガキをわからせてやってくれ!! 

 どうせ止めれないんだ!! だったらメスガキをわからせる方法ってのを俺に見せてくれ!!

 


 ……あっ、そうそう、もう2人を止めるのは諦めたから。 

 今までの経験上、ある程度の決着が着くまでは放置するのが正解だからな。 


 ほら、結衣ちゃんもリアも諦めてスマホいじってるもん。 

 ここは大人しく見に回るのが吉だよ。

 

 


 心の中でルカの反撃に期待していたが、先に攻撃を繰り出したのはメロの方だった。


 

「緑が不愉快なんて常識よ?? 

 それを聞いた事ないって……貴方の周りの友達は優しかったのね。 

 まぁでも私は優しくないから教えてあげる!! 先ずなんと言っても緑色は嘘吐きよね。 

 呪いの色も緑だし、まさに不愉快そのものじゃない?? 

 ほらっ、こうやって不愉快って文字を思い浮かべるとなんか緑色な気がするでしょ?? 

 緑に纏わるキャラも何処か鬱陶しいじゃない。 貴方みたいに」

 


 おい、適当な事言うな!! 全国の緑好きに謝れ!! 

 百歩譲って昔は確かに呪いの色とか言われてた時代もあったかも知れないけどさ、そんなの今は全然関係ないからな!! 

 お、俺は緑色も緑のキャラも好きだからな!!


 ってか忘れてたわ、この類の口喧嘩は絶対に止めないと駄目なんだった!! 

 なんでかは上手く説明出来ないけど、絶対に止めなきゃ行けない気がするんだよ!! 

 命以上に大事な物が燃える気がするもん!!


「……そ、そんな事ないもん。 

 緑は優しくておおらかなイメージだってダーリンも言ってたもん!!」

 



 あっ、土俵際だこれ……うん、参戦しよ。



「そ、そうだぜ!! それでいて良妻賢母な!! 

 緑が不愉快って勝手なイメージをさも常識の様に語るのは辞めて欲しいね。

 少なくても俺はアニメに出てくる様な緑のキャラは漏れなくみんな大好きだぜ??」

 

 出来ればルカにメロを言い負かせて貰いたかったが、今はこの場を収めるのが先決だな。


 これ以上、特定の色を馬鹿にさせる訳にはいかないし……なんかもう負け戦な気がするしな。

 


「ほ、ほら!! 見なさい!! ダーリンだってこう言ってるじゃない!! ばーか!!」

 

 俺の援護に気を良くしたのか、ルカは少しだけ声のトーンを上げた。

 

 完全に負け犬の遠吠えみたいになってるな……ってかもうこれ以上メロを煽るのはやめてくれ、早く本題に移りたいんだよ。

  


「ふぅーん、お兄ちゃんは緑色のキャラがみんな大好きなんだ。 

 あっ、じゃあさ一番有名なあのキャラも大好きって事なの??」

 

「えっ??」

 

 い、一番有名なキャラ?? なんだ?? わからん!!

 いや、逆に考えろ!! 緑に纏わる有名なキャラなら俺が嫌いになるとは思えん!! 

 それに例えそいつが嫌な奴だったとしても不愉快って事はない筈だ!! 

 ここは舐められたら駄目だ、強気に行こうじゃないか!!



「と、当然だろ?? どんなキャラを想像してるかは知らないが、俺はっ」

 


「ゴブリンやオークも大好きって事ね??」

 

 


 

 ………あいつら緑色かぁー。

 




 

「ち、ちょっと!! どうしたのよダーリン!!」

 


「あははっ!! お兄ちゃんって本当に素直で正直なのね!! 

 そうよね、やっぱり不愉快よね!! 何故かは知らないけどこの世界じゃ超有名なあの卑しいキャラが全身緑なんだもん!! 

 ね? 私の言った事間違ってなかったでしょ??」

 

 勝ち誇った笑みを浮かべメロは大声で笑いながらそう叫ぶ。

 

 

 ……クソっ俺の加勢が完全に裏目った。 

 ってか全然考えた事なかったわ!! 確かにあいつらって不愉快の代表格だったわ!! 

 勿論作品によっては良い奴も居るけど、そんなの少数だ!! 

 お世辞にも大好きなんて言えるキャラじゃねぇーわ!! 

 


「はぁー、おかしいっ!! 

 こんなに笑ったのは久しぶりだわ。 これでわかったでしょ?? 

 貴方の方が雑魚だって!! これに懲りたら二度と私に偉そうな態度を撮らないでね、芋虫ちゃん」

 

「い、芋っ!!」

 

 メロの言葉にルカは悔しそうに下唇を噛んでいた。 

 


 

 流石のルカも何も言えなくなったか……く、悔しいっ!! マジでこのメスガキ泣かしたい!!

 誰かわからせおじさん呼んできて!! 頼むぜ、マジで!!

 



「はぁー……お主ら一体何を遊んでおるのじゃ?? 今は時間が無いと言ってるじゃろ??」

 


 そんな俺達を見兼ねてかリアは大きな溜息を吐きながら呟いた。

 

 

 うっ……確かにそうだよな。 リアの言う通りだ、今はこのメスガキを泣かす方法を考えてても仕方ない。 

 青蜜の事もあるんだ、早く話をっ。

 


「あら?? 次は貴方が参戦するの??」

 


 メロはまだ満足してないのか、リアに対しても挑発的に言葉を投げかける。

 

 見境なしだな、このメスガキは。

 

 

「残念じゃが、我はそんな下らぬ言い争いに参加するつもりはないのじゃ。 お主ら達とは次元が違うからのぅ」

 


 ……参戦する気満々じゃねぇーか。

 


「次元が違う?? あぁ、貴方はそこの芋虫より下のレベルにいるんだ!! それじゃ私と会話出来ないのも無理ないか」

 


「はぁー、もう本当にうるさいのぅ……金色の成り損ないの癖に」

 

「なっ!! 何よそれ!!」

 


 リアの言葉にメロは一気に顔を赤くして叫ぶ。

 


 その表情はついさっき見たルカと全く同じだった。

 

 

 

 ……えっ?? もしかしてさ、また同じ展開になったりしないよね?? 

 

 


 

 既視感を覚えるこの光景に俺は一抹の不安を抱いていた。

ブクマ・評価ありがとうございます。

とても嬉しいです。

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