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27話 水曜日の勘違い


「ただいまー」

 

 な、なんか自分の部屋なのにちょっと緊張するな。 

 ……急に出て行ったからメロの奴、きっと怒ってるよな。

 

 結衣ちゃん達を引き連れて俺はメロが待っているであろうリビングへと向かった。

 

 

「あっ!! やっと帰って来た!! もう遅いのよ!! 一体何してたの?? 

 この私を置いて何処かに行くならちゃんと説明してからにっ……って、誰よその女共」

 

 俺の後ろに居る結衣ちゃん達の姿を見た瞬間、メロは急に不機嫌さを全面に出し机を軽く叩く。

 


「あ、あぁ悪かったな、急に居なくなって。 

 紹介するよ、結衣ちゃんにリアにルカだ。 説明すると長くなるけど、まぁ簡単に言えばみんな俺の友達って所かな」

 

「……ふぅーん。 まぁどうでも良いわ、全員雑魚そうだしね」

 

 一通りみんなの顔を見た後でメロは勝ち誇った顔でそう言い放った。

 


 いや、雑魚そうって……初対面の人に良くそんな強気で言えるな。 見た目だけなら間違いなくお前が最弱だぞ。

 

「まどかさん、私達に会わせたい人ってもしかしてこの子ですか??」

 

「えっ?? あぁ、そうだよ。 

 名前はメロス・ガット・リリンキッド。 

 長いから俺はメロって呼んでる。 メロとは昨日の夜にこの近くの公園で偶然知り合ったんだ」

 

「き、昨日の夜ですか??」

 

 俺の言葉を結衣ちゃんが驚いた表情で繰り返す。

 

 流石結衣ちゃん、どうやらもう気付いたんだな。 

 メロが昨日の事に関与してるかも知れないって事に。

 まぁ話の流れ的には当然とも言えるけど、それでもこれだけ察しが良いと色々と楽っ。

 

「昨日の夜に公園で偶然出会った中学生の女の子を家に連れ込んで一晩………うん、110ですね。 

 あっ、もしもし警察ですか?? すいません、知り合いが犯罪に手を染めてしまいました。 今すぐ来てもらっ」

 

「って!! えっ?? 何してんの結衣ちゃん??」

 

 俺は急いで結衣ちゃんからスマホを取り上げる。

 

「あっ、もしもし……すいません。 何でもありません、ご迷惑をおかけしました!! 

 い、いえ、そんな事は決してありません!! 大丈夫です、信じてください!! 

 あっ、もう充電が無いのでこれで失礼します!! 本当にお忙しい所申し訳ございませんでした!!」

 


 ……マジで警察に電話してたよこの子、全然察しが良くなんてなかったわ。

 いや、客観的に見たら通報したい気持ちはわかるけどね?? 

 でも今は違うじゃん?? 世界の危機に警察にお世話になるなんて展開ありえないじゃん??

 


「結衣、貴方の気持ちもわかるわ。 

 でも良く考えてみなさいよ、ダーリンがこんな子供を相手にする訳ないじゃない。 

 ダーリンはこんな状況なのにわざわざこの子を私達に紹介したのよ?? その意味なんて簡単に想像出来るじゃない」

 

「……ルカさん。 そうですよね、どうやら私ったら少し早とちりしていたみたいです。 すいません、まどかさん」

 

「ま、まぁわかってくれたなら良いよ。 俺の方こそまだちゃんと説明してなかったしな」

 

 ふぅー、ルカには伝わってたみたいで安心したよ。 

 やっぱ研究者だけあって客観的に物事を見極めらっ。

 

「で、そこのメスガキちゃんは何曜日を希望してるのかしら??」

 

「……はぁ??」

 

 ルカの言葉にメロは首を傾げて答える。


 えっーと……何言ってのこの子?? 


 会話の流れが全然理解出来ないんだが。 

 ほら、メロも珍獣を見る様な目でルカの事見てるじゃん。


「惚けても無駄よ??  

 メス雑魚ちゃんは何曜日にダーリンとイチャイチャしたいの?? 

 話の流れ的に貴方はダーリンの新しいハーレム候補なんでしょ?? 

 まぁそれ事態はもう何も言わないわ、元々そう言う約束でもあったしね。 

 だけどダーリンにはもう空いてる曜日は無いの。 

 月火水木は私だし、残り3日はブルーちゃんと結衣とリアで分け合っているからね。 わかった?? もう空きがないのよ!! 諦めなさい」


 分けあってねぇーよ!! ってかルカは何言ってるの?? 

 俺がわざわざ新しいハーレム要員を紹介する為にみんなを部屋に連れて来たって本気で思ってるの??     

 いや、そんな訳無いよな。 いくらなんでもそんな人間に思われてるとは思いたく無いし。


「あっ、これだけは言っとくけど私は一切譲る気はないから!! 

 ブルーちゃんが居ない間に決めようと考えたダーリンの思惑は大したものだけど、絶対に譲らないんだからね!!」

 


 うわぁ、本気で思ってたわ!! 全然客観的に見てないじゃん!! むしろ完全に自分の事だけ考えてたわ!! 

 


 ……揃いも揃って俺の事なんだと思ってるんだよ。 全く信頼されてないのな、俺って。

 

「貴方何言ってるの?? 馬鹿なの??

 って言うか、今なんて言った?? 聞き捨てならない言葉があったんだけど??」

 

 ルカの言葉にメロはますます不機嫌に顔を歪めてそう答えた。


 ま、まぁこれは完全にルカが悪いな。 いきなりハーレム要因扱いされたら誰だってムカつくだろうし。

 

「まぁ良いわ、私は優しいから今なら訂正すれば許してあげる。 

 良い?? メス雑魚って呼ぶのは無しね、メスガキは良いけど雑魚はダメ。

 だって貴方の方がずっと雑魚だもの。

 格下に雑魚っって言われるのは気に食わないわ」

 


 ……えぇ、今の会話で一番訂正してほしい所がそこなの?? 

 最初に雑魚って言い出したのは自分なのに??

 ってかメスガキは良いの?? どっちも同じくらいの悪口だぞ?? 本当に基準がわからんな。

 

「はんっ!! 私が貴方よりも格下ですって?? 

 どうやらこのお子様の脳はまだ寝ぼけてるみたいね。 お昼寝の時間が足りなかったんじゃないかしら??」

 

 そのお子様に煽られて熱くなってるルカもルカだけどな。

 

「あー、うるさいうるさい。 本当に雑魚って良く吠えるのよね、言っとくけど貴方の方がずっとお子様だから。 

 あっ、それから意味わかんないハーレム要因ってのもやめてよね。 

 私はね、お兄ちゃんとは一緒のお風呂に入った仲なの。 誰かに譲られる必要なんてないんだから」

 

 おい、紛らわしい言い方すんな。 

 確かに一緒のお風呂には入ったかも知れないけど、一緒には入ってないんだから関係ないだろ!! 

 それに今までお兄さん呼びだったのを急に変えるんじゃない。 

 ちゃん付けだと俺が呼ばせてるみたいになるだろうが!! 


 ……うん、結衣ちゃんそんな目で見るのやめてくれない??

 視線がめっちゃ痛いわ。

 

「それはそれは!! ダーリンも可哀想、こんな貧相な身体の奴と一緒のお風呂なんてつまらなかったでしょうに」

 

「うっ……」

 

 ルカの言葉が効いたのか、メロは自分の体の一部分を摩る。

 

「ふふっ、良い事教えてあげるわ。 

 ダーリンはおっぱいが大好きなの!!

 だから貴方みたいな貧っ……色気のない子にはそもそも興味ないのよ。 

 一緒にお風呂に入ったのもきっと園児と入ったような感覚だった筈よ」

 

 さ、流石のルカも貧乳って口には出せなかったみたいだな。 

 おっぱいの話題になった瞬間、結衣ちゃんからもの凄い殺気を感じたもん。

 

 それからさ、なんか俺がおっぱいめちゃくちゃ好きな奴みたいに勝手にしないでくれる?? 

 そんなに好きじゃないから!! 大好きと好きの間くらいだから!!

 


 ……って、俺はそんな話をしに来たわけじゃないんだよな。 

 こいつらのペースに巻き込まれると全く話が進まない。

 此処は強引にでもいい加減話を先に進めよう。 

 ちょうどメロも言い負かせれてるし、今がチャンスだな。

 


 場が少し静かになったタイミングを見計らって、俺は咳払いを交えて声をあげた。



「ごほんっ!! と、とりあえずさ、2人ともまずは俺の話をっ」

 


「何よ……緑色の癖に」

 


 俺が話すと同時にメロが小さくそう呟いた。

 


「……あん?? 今なんつった??」

 


 そしてその言葉にさっきまで笑顔だったルカの表情から笑みが消える。





 ……あー、うん、このパターンは無理だわ。 

 今まで散々見て来たもん、まさかこうも的確にルカの地雷を踏んで来るとはな。

 正直青蜜がこの場に居ない事は良かったのかもな。

 

 


 メロとルカが睨み合って火花を散らす中、俺はこれから始まるであろう意味のない口喧嘩を出来るだけ早く鎮める方法を考える事にした。

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