表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツなおっさんに今更ながら異世界に召喚されてしまった。  作者: みんみ
ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。
11/158

11話 見せ場


「おい、おっさん大丈夫か?」

 

「……お、おぅ」

 

 青蜜が出て行った後、俺はとりあえずおっさんの元気を取り戻させようとしていた。 

 

 余程ショックが大きかったのか、俺の言葉におっさんは空返事だけをするだけで、いつものちゃらんぽらんな姿は見る影も無く、かれこれ数十分は慰めているのに一向に元には戻らない。

 

 参ったな……青蜜が帰ってくる前にはなんとか元気になって欲しいんだがな。 なんだかんだ言ってもおっさんが居なきゃ話が進まないのに。

 

「ど、どうですか? まどかさん?」

 

「んー? 俺の声は一様聞こえているみたいなんだけどさ。 ショックで心を閉ざしちゃっているのか元気になるまでは暫くかかるかも」

 

「そ、そうですか。 じゃあ次は私も声がかけてみますね! ちょっと待ってて下さい」

 

 結衣ちゃんはそう言っておっさんの元へ近づき肩に手を置いて、

 耳に口を近付け俺に聞こえない小声で何をおっさんに話し始めた。

 


 う、羨ましい。 それになんて言うかその、ちょっと変な光景に見えてしまう。 おっさんの耳に口を近付ける女子高校生……。 


 い、いや勿論俺は結衣ちゃんの事をそんな風に見てるだけでは無い。 世間的にみたらの話であって俺の本心じゃないからな?? 

 

 一瞬でも彼女の事を性的に見てしまった事に心の中で懸命に言い訳している時、部屋の扉が勢いよく開きそこから青蜜が満面の笑みを浮かべて部屋に帰って来た。

 

「ただいまっ! あの女想像以上に貯め込んでたから、想像以上に時間がかかっちゃったわ! でも見て! ほらっ!」

 

 腕を大きく上げ袋一杯に入った戦利品を青蜜は俺に見せびらかした。

 

 ……本当に財産の8割もぶん取ってきたのか。 

 恐ろしい女だな。

 

「何よ?? そんなにじろじろ見てもあげないわよ? これの使い方はもう決めてるんだから」

 

「み、見てってお前が言ったんだろうが!」

 

 く、くそう。 第一声でいらないと言い切れないのが悔しい。 もしかしたらその中に異世界のなんかこう特別なマジックアイテムとかあったら羨ましいすぎる!! 

 出来れば帰る前に魔法とか使ってみたいし!!

 

「ひぃぃぃ! わ、わしが悪かったのじゃ!! すまん、許してくれ!!」

 

 突然の悲鳴に俺は心臓が止まるくらい驚いた。 

 

 振り替える意識を取り戻したのかおっさんは結衣ちゃんから急いで離れながら奇声を発していた。


 ど、どうしたんだよ、おっさん。 なんか怖い夢でもみたのか?


「ぷっ、あはは! おっさん何をそんなに驚いているのよ! ゆいを誰かと間違えでもしたの? 

 でもいくらなんでも大袈裟過ぎない? 

 私と初めて会った時より震えているじゃない!」

 

 おっさんの反応に青蜜はツボに入ったのか、大きく口を開けお腹を押さえて大声で笑う。

 

「そ、そうですよ! いくらなんでも驚きすぎです! 失礼ですよ!」

 

 青蜜の笑い声に結衣ちゃんは頬を赤らめ口を膨らませいた。

 

 だ、誰かと勘違いしただけか。 まぁそうだよな、いくらなんでもあの悲鳴は尋常じゃなかったし、そもそも結衣ちゃんに向けて悲鳴なんてあげる男なんていないもんな!

 

「ああぁ、そ、そうじゃな。 どうやらちょっとばかし怖い夢を見ておった様じゃ……な。 

 ええと、それで今はどう言う状態なのじゃ??」


 やっと正気に戻ったか。 まだ少し顔色が悪いのは気になるがとりあえずはこれで話を先に進められそうだな。

 

「特に状況は変わってないよ。 強いて言うならキャリオンさんが居なくなったくらいかな」

 

「あっ、そうか……やはりキャリオンは行ってしまったか。 どうやらお主らには迷惑をかけた様じゃな、すまんかった」

 

「気にする事ないわ、あんな女居ても居なくても関係ないしね! そ、それとこれ!! あの女が今まで貰ってた報酬よ。 おっさんに返すわ!!」

 

 青蜜は照れているのか、耳を赤く染め上げてさっき俺に見せつけた袋をおっさんい差し出した。

 

「ま、まさかあかね殿が取り返してくれたのか?? そ、それになんじゃこの大金は!! こんな大金をわしはキャリオンに払ってはいないぞ? 一体このお金はどうしたんじゃ??」

 

 青蜜から袋を受け取ったおっさんはその中身を見て驚いていた。


「そ、それはまぁ色々あったのよ!! 今ここで話す様な事でもないわ! お金の桁が大きいのは、あいつがこれまで色々な所で詐欺紛いな事をして得たものらしいわ。 

 おっさんこの国王なのよね?? そのお金被害者の方に返してあげて貰えるかしら?」

 

「……約束する。 わしの名にかけて必ず元の持ち主に返そう。 ありがとう。

 あかね殿」

 



 ……え? ちょっと待って? 


 もしかしてさっき言ってた使い方ってキャリオンさんの騙された被害者にお金を返す為なの? 


 それを見越して財産の8割なんて横暴な言い分を突き立ててたの? 


 ってか俺そもそもキャリオンさんが占いの仕事で失敗して生活苦ななのは本当だと思ってたんだけどあれも嘘だったの??

 

 どんな思考してたらここまでの事が出来るんだ……俺なんて魔法のマジックボックスが欲しいとか幼稚な事考えてたのに。

 

 青蜜さん、あんた格好良過ぎるよ。 

 これ、完全に主人公だもん。

 俺の憧れてたやつだもん……。


 俺の中の青蜜の印象がこの数時間で劇的に変わった。 

 もしかして青蜜が俺に厳しいのも何か俺の方に原因があるんじゃないかと思える程にだ。





 俺、本当に何しに異世界に来たんだろう。 今の所さ、存在意義を感じないんだが?


 格好良すぎる青蜜さんと可愛すぎる刻惣ちゃん!!


 ……これでもう完成されてるのじゃん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ