14-2話 俺虐真骨頂
「あー、疲れたわ。 でもなんとか勝てたわね、これで地球の平和は保たれたんじゃないかしら??」
「そうですね!! あっ、あかねちゃんの最後のパンチ格好良かったですよ!!」
「そ、そうかしら?? まぁでも殆ど結衣のおかげだわ。
覚醒前とは言え、魔王とご互角に戦えるなんて流石結衣ね」
「いえいえ、ルカさんやリアさんのサポートあってこそですよ!!」
「ふふん、当然よ。 私の回復魔法は相当優秀だもの」
「はんっ、何を申すか。 一番活躍したのは我じゃろ?? 我がお主ら全員に魔力のサポートをしてやったから、互角に戦えたのではないか」
「はいはい、そうね。 リアのお陰ね」
戦闘を終えたのか、青蜜達は充実感に溢れた顔で談笑しながらアパートへと戻ってきた。
「おいおい!! わしを忘れてもらっては困るぞ!! わしが結界を維持していたからお主らは自由に戦えていたのじゃぞ??」
「それは……ふふっ、まぁ確かにその通りね。 助かったわ、ありがとうね」
「おー!! あかね殿がわしにお礼を言うとは!! な、なんだか少し照れてしまうのぅ」
「何よそれ。 まぁ良いわ、さてと!! 私達のやるべき事はもう終わりね!! 後はゆっくりしまっ……あっ」
おっさんの隣にいる俺の顔を見て、青蜜は言葉を詰まらせた。
「ま、まどかちゃん……えーと、そのっ」
……やめろ。 そんな顔を向けないでくれ、悲しくなるわ。
気が付けば青蜜以外のみんなも俺に困った表情を向けていた。
「……す、凄かったな!! まさかあんな格好良い戦いをこの目で見れるなんて思わなかったよ!! 感動した!! うん、あっぱれ!!」
重い空気に耐えられなくなった俺は、絞り出すように声を張った。
「そ、そう?? あ、ありがとう」
「あぁ!! 最高だったぜ!! これでもう一安心だな!! じゃあ俺は部屋に帰えるよ!! 明日から楽しい夏休みだからな!!」
つ、辛過ぎる!! こんなの辛過ぎるわ!! もう寝よう!! いっぱい寝たけどもっと寝よう!! 寝たら回復する俺の特技の出番だわ!!
逃げる様に振り返り、俺は早足で自分の部屋へと向かう。
「まぁ待て、まどか殿よ。 お主の応援もあかね殿達の力になっていたとわしは思うぞ?? みんなもそう思うじゃろ??」
このじじぃ、余計な事を言いやがって。
「お、応援?? あっー!! 応援ね!! そうよ、まどかちゃん!!
私、途中でもう本当に駄目だと思ったの!! でもなんだか不思議な力が湧いて来たのよ!! きっとまどかちゃんの応援のお陰だわ!! ありがとうね!!」
「わ、私もです!! 聞き間違いかと思ってたんですけど、やっぱりあれはまどかさんの声だったんですね!! ありがとうございます!!」
「えっ?? みんなも聞こえたの?? な、なんだぁー、ダーリンの声に力を貰ったのは私だけじゃなかったのね!! 流石ダーリン!! 陰ながら私達を支えてくれていたのね!!」
「む?? 我はそんなの全く聞こえなかったぞ?? そもそもあの激しい戦闘中にまどかの声なぞ聞こえる訳がっ」
「「「き、聞こえたわよ!!」」」
……ほら、めっちゃ気を使われてるじゃん。 でも、もう本当に辞めて。
こんなのHP0でタコ殴りにされてる気分だもん。
まぁでもここは踏ん張ろう、役に立ってないのは事実だもんな。
「ほ、本当か?? なら良かったよ!! まぁなんだ、自分で言うのもなんだけど俺の応援はかなり力になる筈だからな!!
ははっ、じゃあ今日はこの辺で!! みんなもゆっくり休んでな!! お疲れ様!!」
俺はもう一度振り返り、出来る限りの笑顔で青蜜達にそう告げてから部屋へと帰った。
……とびっきり熱いシャワーを浴びよう。
悲しみを溶かすくらいの熱いやつを。
本日2度目の涙を溢しながら俺は部屋の鍵を閉めた。
風呂上がり、少しだけ気持ちが回復した俺は今日の出来事を頭の中で振り返った。
世界を救う戦いかぁー、俺も参加したかったな。 相手が魔王で救う世界が地球なんて最高のシチュエーションだもんな。
それにしても良くあんな早くに魔王なんて見つかったな。 リアが何かしたのかな??
……まぁもう終わった事だし、今更気にしても仕方ないか。
少し気になった所もあったけど、深く考える事はせず俺はベットへ入り、そのまま目を閉じた。
この時に気付いてさえいればあんな酷い事は起こらなかったんじゃないかと、後悔する事になるとも知らずに。




