会議
「さて…」
キリヒトは山と積まれた資料を前にして、立ち尽くしていた。
あてがわれた個室に置いておくにはあまりにも邪魔すぎるので何とか頭に入れてしまいたかったが、
実際のところそれはキリヒトにとってとてつもなく面倒であった。
まず文字がほとんど読めないうえに、読めたとしても語句が難しすぎて理解できない。
「…そうだ!」
キリヒトはクマから以前、この町には図書館があるという話を聞いた。
おそらくそこならこの資料について、教えてくれる人…いや、モノがいるかもしれない。
そう考えたキリヒトは、資料を何枚か適当に選び、分厚い本を持とうとした。
「あ、右手が無いんだった」
キリヒトは仕方がなく左脇にそれらを抱えて、右手に適当に布を巻き付けてから部屋を出ていった。
「この光景も大分見慣れたな」
町を歩きながらキリヒトはそう呟いた。
ブリキのロボットがギクシャクと歩き、その後ろをソフビ製らしきフィギュアが追いかけていく。
店には木材やよくわからない部品が並び、カラフルな積み木が店番をしている。
「図書館は…ああ、あった」
この町の人間は珍しいが、全くいないというわけではなかった。
ルヴィ本国から派遣されている者もいれば、自分の意思で住み着いてる物好きな人間もいる。
図書館の受付は、そういった人間の一人だった。
「あら、あなたは…キリヒトさん」
眼鏡をかけた20代ぐらいの女性が図書館に入ったキリヒトを見てそう言った。
「俺のことを知って…知られて…おられる…」
「普通に話していいのよ」
首を傾げるキリヒトを受けて見て女性がクスクスと笑うと、それに合わせて結った髪先も揺れる。
キリヒトは少しむっとして机の上に手をおいた。
「悪いな。ロクな教育を受けてねえんだ」
「気にしないで。この国に来る人間は珍しいからすぐ噂になるのよ。
それで、ここに何の用かしら?」
キリヒトは分厚い本と何枚かの資料をバサバサと机の上に置いた。
「読めと言われたが読めんし、この本で調べる気にもなんねえ。
こういうのを教えられるヤツはいねえか?あー…」
「ミーナよ」
そういってミーナは机の上にある名札を指した。
「あなたに言葉を教えるのは面白そうだから、私がやるわ。トムボーイさん?」
ミーナが呼びかけるとバネが体を揺らしながら受付にやってきた。
「みよーん、みよーん。受付交代かい?」
「ええ、お願いね」
キリヒトはバネに受付がつとまるのかと首を捻ったが、考えるのをやめてミーナについていった。
「ああ、これ各国のトップのデータなの。面白いもの持ってるね」
バサバサと机に広げた資料のページをめくりながら、ミーナはそう言った。
たくさんある椅子と机の一つに、二人は向かい合って座っていた。
あたりには本を読んでいる人間大の鉛筆や、勉強をしている定規がたくさんいた。
「確かに難しい言葉で書いてある。意味や読み方を知りたいの?
それとも中の情報が知りたい?」
「どっちもだが…読み方の方は時間がかかりそうだから、先に情報を頼むぜ」
「分かったわ。それで、何が知りたいの?」
ミーナは資料を流し読みし始めた。
「ベリル=エメルについてだ。あのじーさんがどういう人間なのか知りたい」
「ベリル?一代でエメルを超軍事大国にしたてあげた大物ね」
資料の中から一枚取り出し、ミーナは指を滑らせる。
「フルネームは、ベリアイル=バナジウム=エメル。息子がいたけど、エメル建国時の戦争で死んでるわ。
今、家族は孫が一人だけみたいね」
ふーん、と言いながらキリヒトは頷く。
「彼と孫は常に特殊部隊が警護しているの。暗殺に対する警戒は完璧ね」
「敵が多いだろうからな。当然だ。今はどんな状況なんだ?」
再びミーナは資料をめくる。
「今は…動向がよく分からないみたいね。多分、次の世界会議でハッキリするんじゃないかしら?」
「とにもかくにも世界会議か」
机の上にキリヒトは突っ伏した。
「文字が多くて頭が痛くなった」
「あなたは何も読んでないじゃないの」
そう言ってまたミーナがクスリと笑った。
「よし!」
キリヒトは突然ガバッと立ち上がった。
「今日は助かったぜ。また明日資料持ってくるから、教えてくれよな」
「これは持って帰らないの?」
広げた資料を整えて、ミーナがキリヒトを見る。
「また明日って言っただろ。そっちで保管しといてくれよ。正直どれに何が書いてあるか分かんねーんだ」
「ここはあなたの物置じゃないんだけどね…」
呆れるミーナを気にもせず、キリヒトは帰っていった。
それから毎日、キリヒトは図書館に向かって資料について教えてもらい、勉強を続けた。
ただ、キリヒトには問題があった。
資料の情報については、キリヒトはよく理解して、ちゃんと記憶もできていた。
だが、こと語彙や文字の勉強となると資料の時が嘘のように物覚えが悪くなってしまう。
二ヶ月の間で、キリヒトは世界情勢には詳しくなったが、読み書きについてはほとんど成長することはなかった。
「勉強は今日で終わりになるな」
世界議会に出発する前日、キリヒトはミーナに言った。
「どうして?まだまだ教えることはたくさんあるけど」
「世界議会に出るからな。忙しくなんだよ」
ミーナはそれを聞いて目を丸くした。
「ええ!?あなたそんな重要人物だったの!?」
「いや、護衛として行くんだけど…?」
ミーナの驚きように面食らいながら、キリヒトは答えた。
「え?そんなに重要な会議なのか?」
キョトンとするキリヒトにミーナは口を開けた。
「当然知ってるものだと思ってたわ…でもそうね、あなた普通の人じゃないから」
そう言って
キリヒトの右腕を見た。
「あ?ああ、これか。再生した時は大騒ぎだったな」
キリヒトは思い出し笑いをした。
「右腕が無いと思ってたのに、ある日見たら完全に再生しているんだもの。
あんなもの誰だって驚くわよ」
「俺にとっては当たり前のことだからよ…っと、そろそろ準備をしねえと」
キリヒトはガサゴソと荷物をまとめて立ち上がった。
荷物をカバンに放り込むキリヒトの腕をミーナが掴んだ。
「な、なんだよ…」
「戦争が起きそうってことは、知ってる。もう公然の秘密だから。
でも、まだ私はあなたに教えるべきことをたくさん持ってる」
ミーナはキリヒトに顔を近づけた。
「だから必ず帰ってくるのよ」
「ん…ああ…」
顔を赤くして、視線をふらふらさせるキリヒトの肩をミーナが揺する。
「聞いてるの!?」
「いや、なんかいい匂いだなって…」
自分の言葉にキリヒトははっとした。
女どころか、人とほとんどまともに接したことのないキリヒトにとって、これは刺激が強すぎたのだった。
キリヒトは頭を振って、ミーナを押しのけた。
「わかった、わかったよ。帰ってくればいいんだろ」
そう言って返事も聞かず、逃げるようにキリヒトはその場を後にした。
「時間はしっかり伝えたはずだ。何してた」
世界会議に向かう飛行機の中でナシャエルがイライラしながら言った。
「いや…なんだ…その…悪かった」
妙な様子のキリヒトに、ナシャエルは首を傾げたがすぐに気がついた。
「ああ、ミーナか」
「なっ!?」
ずばり言い当てられ、キリヒトはうろたえた。
鼻で笑ってナシャエルは窓の外に顔を向けた。
「図書館の館長は私だ。当然情報も耳に入ってくる。
それで、どうした。彼女に惚れでもしたか?」
顔を赤くするキリヒトを見て、ナシャエルは愉快そうに笑った。
「うるせえな、大体なんだよ!その変な帽子は」
ナシャエルが持っている、縦に長いロシア帽のようなものを指さしてキリヒトは言った。
「私も人間じゃないから、隠す必要があるんだ。
言っただろう、今から行くところは異種族への迫害が激しい」
「異種族…ねぇ…」
キリヒトはクマの言葉を思い出し、胡散臭そうに見ている。
「何だ、その反応は?…ああそうだ、これを渡しておこう」
そう言ってナシャエルは一組のリストバンドをキリヒトに渡した。
「なんだこれ?」
「以前渡したグローブでは使い勝手が悪そうだったからな。改良しておいた。
それを装着して、手首を打ち合わせれば勝手にグローブに変化する。
外す時は以前と同じように大量の血が必要だからな」
うなずきながら、キリヒトはバンドを手首にはめた。
「あと、これもだ」
そう言って、薄汚れたフード付きのマントを渡す。
「向こうもお前のことは知っているから、顔がバレるとまずい。
護衛に関してはほぼノーチェックだから隠れても構わんしな」
「準備がいいな、ほんと」
キリヒトはそう言ってそれを頭からすっぽり被った。
「さて、もうすぐ到着するな。私も帽子をかぶらないと」
ナシャエルの帽子を被った姿を見て、キリヒトは吹き出した。
「あっははははは!何だソレ!似合わねー!!」
「仕方ないだろう。角を隠すにはこうするしかない」
表情はあまり変わらないが、ナシャエルは気分を害したようだった。
「あーっはっはっは!!だからってよー!そんな変な帽子を…!ひーっ!腹いてーっ!」
ナシャエルの表情が険しくなる。
「そうやって眉間にシワを寄せるとますます笑えるぜ!!はっはっは!!」
「到着したぞ。いつまでそうしてるつもりだ」
ナシャエルは頭に刺さった羽根で座席に固定されて、ぐったりしているキリヒトをはたいた。
「ひでえことしやがる」
ぶつくさ文句を言いながらキリヒトは羽根を引っこ抜いた。
外に出ると、ナシャエルが身分証を警備員に提示した。
「ナーシュ・エルス。ルヴィの属国として参加」
「はい、確認しました。どうぞ、ナーシュ様」
頭を下げる警備員の横を通り抜けたキリヒトは、呼び止められもしなかった。
「おい、ナーシュって何だよ。偽名か?」
廊下を歩きながら、キリヒトはナシャエルに耳打ちした。
「私は天使だから、戸籍も名字も無かった。だから一応人間界での身分を作成しておいたんだ」
また天使か、とキリヒトは言いかけたが口を閉じた。
二人はしばらく歩き、やがて大きな扉の前に立った。
扉を開けると、高い天井と豪華な飾り付けがされた会議室が広がっていた。
そこに長机を挟んで各国の代表が並んでおり、後ろにはそれぞれ一人ずつ護衛がついている。
護衛は皆、顔を隠していた。
ナシャエルはルヴィ国の代表であるコランの横に座った。
(お久しぶりです)
ナシャエルが口を動かさずにそう言うと、コランはニヤリと笑った。
「フン、物質種の国か…属国風情が」
パーズ国のスイシがナシャエルを嘲笑った。
それを見たキリヒトの顔に僅かにヒビが入る。
(落ち着け!)
声を殺してナシャエルがキリヒトを諌めた。
「あとはシルヴァだけだが、少し遅れているようだ」
世界政府の代表が、マイクを通してそう言った。
キリヒトは落ち着かない様子でコランとサイア国の代表であるダラムを見ている。
それは、いざという時はこの二人を守るように言われているからだった。
しばらくして、大きな扉が再び開く。
「遅れてすまない」
銀色の長い髪をした男が護衛と共に会議室へと入ってきた。
「アグ=シルヴァ。これで揃ったな」
政府の代表がそう言うと、二人の警備員が閉められたドアの前に立った。
「シルヴァさん、今日は珍しく遅刻ですか」
パーズ国の代表であるスイシが首を傾げると、アグ=シルヴァは目を閉じて笑った。
「少し野暮用でな。全く、迷惑な話だ」
そう言って、ナシャエル達の方へ鋭い視線を向けた。
「仮にも一国の王が、時間も守れないのか?」
威圧的なコラン=ルヴィの言葉に、スイシ=パーズが眉を上げた。
「あなただって遅刻したことが無いわけではないでしょう」
「ぼ、僕は今の所ないですけど」
スイシ=パーズの方を見て、ダラム=サイアがそう言った。
「それはいい心がけじゃの、小僧」
ベリル=エメルの言葉に、ダラムは笑顔になった。
だが、サイアの護衛がダラムに何事か耳打ちすると、ダラムはがっくりとうなだれた。
「ほんの僅かな遅れなんだ。お互い寛容になろうじゃないか、なぁ?」
そう言って、アグは再びナシャエルの方を見た。
「そうかもしれませんね」
ナシャエルは視線を合わせずに答えた。
「おい、アグさんよ。さっきから随分とうちのナーシュに話しかけるじゃないか」
「俺が誰に話しかけようと勝手だと思うが?」
コラン=ルヴィと、アグ=シルヴァの間の空気が張り詰めた。
ダラム=サイアはおろおろと二人を見ている。
「あなたこそ、やけにアグ殿に絡むじゃないですか」
スイシ=パーズはそう言ったが、コラン=ルヴィはアグ=シルヴァから視線をそらさない。
「黙ってろ腰巾着」
「何だと?若造が…あまり調子に乗るなよ」
三人が睨み合い、一触即発といった様子となった。
キリヒトはその様子を見て身構えようとしたが、ナシャエルに手で制された。
すぐに、先程まで沈黙を保っていた政府代表が口を開いた。
「双方とも、こういった場での挑発はやめていただきたい。
よろしいか?」
世界政府代表に諌められ、コランはそっぽを向き、スイシも黙り込む。
アグは表情を変えず、ナシャエルとキリヒトを見ている。
「さて、会議に移らさせてもらおうか。先程も言及されたが、
本日は珍しく属国からの参加がある。ルヴィ国の方だ」
コラン=ルヴィが頷き、口を開いた。
「我々の属国であるヌイドーからの参加だ。非常に重要な案件があるらしい」
「ナーシュ・エルスです。簡潔に申します。この五大国の中に、
国際法で禁じられた人体実験を行い、戦争を起こそうとしている国があります」
一呼吸おいて、ナシャエルは続けた。
「その国の名は…シルヴァ連邦」
「ええーっ!?」
サイアのダラムが唯一人、大きな声で叫んだ。
他の誰も声を出さないのを見て、恥ずかしそうに俯いた。
しばらくの沈黙の後、アグがそれを破った。
「正気か?根拠なき告発は国際問題になるぞ」
「今取り下げれば冗談として流してあげますよ」
余裕そうに笑うスイシ=パーズの額に、汗が滲んだのをナシャエルは見逃さなかった。
アグ=シルヴァはそれに気付き小さく舌打ちをした。
ナシャエルは懐から小型の機械を取り出した。
「根拠…いえ、証拠はあります。映像を見せましょう」
カチリとスイッチを入れると、空中に映像が映し出された。
それを見て一番驚いていたのはキリヒトだった。
映像の内容は、キリヒトの記憶だった。
いつの間にどうやって作ったのかは分からないが、紛れもない自分の記憶が投影されている。
キリヒトは、後でナシャエルからこの映像について聞き出すと密かに決意した。
「ここです」
ナシャエルがそう言うと、映像がとあるシーンでピタリと止まった。
「この建物に描いてあるマーク…シルヴァのものです」
さらに映像が早送りで進められていく。
窓を突き破り、空を見上げているシーンで映像は再び停止した。
「この月と、星の位置から計算したところ…シルヴァ国内にこの建物があるという結論になりました」
何も言わないアグ=シルヴァ相手に、ナシャエルは話し続ける。
「そんなものいくらでも作れ…!!」
ナシャエルはスイシ=パーズの言葉を遮った。
「もちろん、この映像について捏造、偽造の可能性が無いわけではありません。
ですが、この天体情報からかなり正確な位置が明らかになっています。
だから、その場所を調査させていただきたい」
アグ=シルヴァはため息をついた。
「私の命を賭けても構わない。そこにこの建物と、実験の証拠は必ず…」
「もういい」
アグは椅子にもたれかかり、ナシャエルを見た。
「本当に厄介な存在だな、お前は…」
「それは…認めた、ということですか?
では、世界政府の方から厳正な裁きを…」
アグがその言葉を聞いて、笑い始めた。
「裁きだと…?」
続いて世界政府代表と、スイシも笑い始める。
「くっくっくっ…はっはっはっは!!俺のシルヴァでの計画が、
こうも簡単にバレてしまうとは…。あーあ、困ったぜ」
アグの手がメキメキと変化していく。
「そうだ、気付いた奴らを殺せばいいじゃないか!
前々からテメェらは気に入らなかったんだ。テロリストってことにして殺してやるよ!」
アグがそう言った瞬間、護衛達が武器を抜き、世界政府の警備員二人は銃を構えた。
コランに切りかかったパーズの護衛を、ルヴィ側は負傷しながらも止める。
サイア側はアグに発砲したが、それもシルヴァ側に止められる。
「クソ…王を守れ!」
ルヴィの護衛が叫び、銃とナイフを抜いた。
キリヒトは味方の二人がそれぞれの国王を守っているのを確認して、
世界政府の警備員の喉笛を噛みちぎり、首をへし折った。
「コイツらはただの人間か!」
キリヒトは後ろを向いて、状況を確認する。
「グ…ガフッ!」
死に際に警備員がコランを撃ったが、ナシャエルの作り出した半透明の壁に遮られる。
「キチンと仕留めろ!!」
「うるせえ!」
ナシャエルに言われて、警備員二人の頭をキリヒトは踏み潰した。
その間にサイア側の首がシルヴァ側にはねられ、ルヴィ側がパーズ側の喉にナイフを突き立てた。
「はっ…ルヴィの方はやるじゃねえか」
食いちぎった肉を吐き捨てて、シルヴァ側の護衛にキリヒトが走り出す。
キリヒトが両手首を打ち付ける瞬間、シルヴァ側はルヴィ側の左腕を切り飛ばした。
さらにシルヴァ側は机に飛び乗り、剣をコランに振り下ろした。
部屋の中に金属音が鳴り響く。
「そうはさせるかよ!」
キリヒトはグローブで剣を受け止め、そう言った。
シルヴァ側の護衛はフードの下に、さらに仮面をつけており表情は伺えない。
グローブの爪と剣が高速で何度もぶつかり合い火花が飛び散る。
その間にナシャエルは国王の片方を脇に抱え、もう一人を肩に担いでいる。
「さて、どうする?エメルのじいさんよ」
アグが動かないベリルを見て、そう問いかけた。
ベリルは何も答えなかったが、近くでゆっくりと立ち上がったパーズ側をエメル側が刀で両断した。
血しぶきをあげて倒れる護衛をさらに切り捨て、エメル側はベリルの方を向いた。
「奴らはいずれ我々をも殺す…そうですね?」
ベリルはそれに黙って頷いた。
「我々に楯突くとは…馬鹿め!」
アグの髪が奇妙に蠢き、ひとりでに束ねられていく。
一方キリヒトはまだシルヴァ側を抑えるので精一杯の様子だった。
「ぐ…くそ…!!」
『喰らう者』の力を解放しようとしたその時、
ナシャエルに首を掴まれてキリヒト達はその場から姿を消した。
「うおおおっ!!」
ドサドサと3人は地面に放り出された。
「ここは…ヌイドーじゃねえか!」
上に乗って目を回している二人の国王を押しのけて、キリヒトは辺りを見た。
「おい、ナシャエル…ナシャエル!?」
大量の汗を流し、息も絶え絶えの様子でナシャエルは倒れていた。




