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エンシェントドラゴンの正体

「ユーリ様、既にエンシェントドラゴン様にお会いしていますよ?」


「と言うか、リアルタイムで抱かれています」


 ピューマ獣人の二人が生暖かい目で見ながら教えてくれました。

 迂闊でした。人化魔法はファンタジーの定番ではないですか。

 伝説のドラゴンともなれば、それくらい楽勝で使えるでしょう。


「自己紹介してなかったわね。私がエンシェントドラゴンのリューイよ。あっ、そのままで」


 膝から降りて礼をとろうとしましたが、先に却下されました。伝説のドラゴンの膝の上で話すって、アリでしょうか?

 放してもらえないですし、このままご挨拶するしかないですね。


「マゼラン辺境伯が長女、ユーリに御座います。エンシェントドラゴン様にお目にかかれ、光栄至極に存じます」


 しまりません。膝に抱かれて頭を撫でられながらなので、傍目にはギャグにしか見えないです。


「そんなに堅くならなくて良いわ。私はこの世界の管理をしているけど、貴女の魂はこの世界の者ではないでしょう?」


 リューイ様は、私が転生者である事もご存知なのですね。誤魔化す事も出来なさそうなので、無言で頷きます。


「他人に聞かれない方が良いわね。里長、部屋を貸して貰えないかしら?」


「私の書斎に案内致します。あそこなら防諜対策も施してありますので」


 里長の好意で部屋を移る事になりました。リューイ様は私を抱いたまま立ち上がります。


「このままなのですか?」


「このままです。もう少し堪能させて下さい」


 むう、私がモフるのと同じ様なものでしょうか。それがリューイ様の望みなら、否やはありません。


 リューイ様に抱かれ書斎に入り、扉を施錠しました。これでこの部屋での会話は外に漏れないそうです。

 書斎の一角にあるソファーにリューイさんが座り、私は対面する形で膝に座っています。


「ユーリちゃんにアカシックレコードを閲覧させる事は出来ないけど、私が質問に答える事は出来るわ。聞きたい事は無い?」


 これは願ってもないチャンス。でも、聞くことにデメリットがあるかの確認を。


「質問する事でデメリットはありますか?」


「答えられない質問はあるけど、デメリットは何もないわ。流石に慎重ね」


 確認もせずに質問して、代償を求められても困りますからね。では、一番聞きたい質問からいきましょう。


「この世界はカミアイの世界で合ってますか?」


「そうとも言えるし、違うとも言えるわね」


 即答するリューイさん。これでリューイさんが地球を知っている事と、ゲームという概念も知っている事がわかりました。


「この世界はカミアイを元に創られたの。でも、ベースにしただけだから、全く同じではないわ。それはユーリちゃんも知っているでしょう?」


「そうですね。ゲームと違う点もありますし、私も主人公もゲームにない行動をとれますから」


 悪役令嬢である私が獣人を保護したり、主人公がワイバーンを領都に引き寄せるなんてゲームにも小説にもありませんでした。


「地球に関する知識は、どれだけの人が知っているのですか?」


「私とあなた、レイナ・ツガルの三人よ。それ以外にはいないわ」


 ならば、私がゲームのストーリーから逸脱する障害になるのはヒロインだけね。

 リューイさんは現状からして敵にはならないでしょう。


「では最後に。ドラゴン姿のリューイ様を見せてもらう事は可能ですか?」


「もう最後なの?この里を出るときに見せてあげるわ。因みに、私はこの姿がデフォルトよ。ユーリちゃんの世界にも、竜変化呪文がある有名RPGはあったかしら?」


 それって、竜退治に行く名作シリーズの事かしら。


「お姫様を助けて、連れたまま宿屋に泊まるとセリフが変わってるアレですか?」


「そうそう、有名雑誌の編集三人が出ていたそれよ。四作目の使えないAIには泣いたわ」


 ……ちょっと待って、リューイさんがそれをプレイしたという事は、リューイさんも日本人?


「もしかして、リューイさんも転生者なんですか?でも、昔からこの世界に居る筈だし……」


「あなたの地球と似た世界の出身ね。元は普通の人間だったけど、スカウトされたのよ」


 リューイさん、別の世界で人気声優でVRMMOの有名プレイヤーだったそうです。


「私はこの世界を見回らなければならないわ。今日は泊めてもらって明日出立ね」


 リューイさんがこの里を守ってくれるなら、パナマに移動する必要はないと思ったのですがそうはいかないようです。


「長くなるとあなたの連れが心配するわ。行きましょう」


 またもや抱き上げられ、書斎から皆が待つ部屋に移動します。

 今日はリューイ様に抱かれて過ごす事になりそうですね。

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