レイナの断罪(レイナ視点)
本日二本目の更新です。
レイナの断罪のレイナ視点です。
「面白い事を言うわね。国境を守り、国を守護する一族の直系たる私が大罪を犯している?男爵令嬢風情が、軽々しく口にして良い事ではありませんよ?」
ふてぶてしい。あれだけの事をしておいて、悪くないなんてよく言えるわ。
ゲームの時もムカついたけど、こうして対面して言われると憎さが更に倍増するわ。
でも、もうそれも終わり。ゲームの通り、私と王太子様の踏み台になって頂戴な。
「あなたは罪のない獣人達を虐殺して、彼らの怒りを買ったわ。今は何とか持ちこたえているけど、パナマ王国との戦争になるかもしれない」
ゲームの主人公がしたように、俯いて悲しそうな表情を作る。
これで完璧だわ。無情にも獣人を殺したユーリは皆に責められて、私は獣人を庇おうとした優しい女性として次期王妃になる。
「私もケント様達も、それを止めようと必死で頑張った。でも、あなたが権力と強い魔力で獣人達を沢山殺してしまった!そのせいで戦争に……更に多くの人達が犠牲になるのよ!」
獣人なんかどうでも良いけど、こう言うって決められてるものね。
セリフを覚えてる私って、超天才!
王太子様が追い討ちをかけて、ノキーンがユーリを拘束すればそれでお仕舞い。
「貴様が獣人達を虐殺したのは紛れもない事実。国へ多大な損害を与えた罪で処刑する。ノキーン、やれ!」
「はっ、畏まりました。ユーリ・マゼラン、王太子殿下の命により拘束する。抵抗しても無駄だぞ、この会場には魔法を封じる結界が張られている」
ユーリが強いと言っても、それは全て魔法の力。それを封じてしまえば何も出来ないわ。
あの女と、その父親を拘束して処刑すれば私は王太子妃。
今まで男爵の娘なんて暮らしに我慢してきたけど、これからは贅沢し放題。
美味しい食事に綺麗なドレス、宝石も沢山欲しいわね。
「本当に……本当に愚かですわね。あなた達は何を口にしたのか理解していますの?」
「悪逆非道な令嬢の罪を暴いただけよ。私達は正しいわ!」
反射的に答えちゃったけど、こんなセリフあったかしら?
小説の方はうろ覚えだし、そっちと交ざっちゃってるのかな。
「ここはゲームの中ではないのよ。悪役令嬢が悪役令嬢の行動を取ったからと言って、ゲームと同じ歴史になるとは限らなくてよ?」
え?何でゲームのキャラクターがゲームなんて口にするのよ?
ユーリはノキーンに拘束されて終わるはずじゃないの?これって小説のストーリー?
「なっ、ノキーン!」
驚いた王太子様が叫ぶ。無かった、小説にもこんな展開は無かったわ!どうなってるのよ!
「未婚の女性に触れようとするとは、はしたない騎士候補もいたものですわ」
「な、な、何なのよ!何でそんな事が出来るのよ!」
「女優をやる以上、殺陣も出来なければ出演する作品に制限が出るわ。だから武術も一通り修めた、それだけよ」
女優?あなたは悪役令嬢でしょう?何を訳の分からない事を言ってるのよ、気でも狂ったのかしら?
ま、まさか、ユーリも私と同じ転生者?
でも、ゲームの通りに進んでいたわ!
「あなたも転生者だったの?でも、シナリオ通りに動いてたのに!」
「ネット小説では、悪役令嬢のざまあも主人公のざまあ返しも定番よね。だからシナリオ通りに事を進めて油断させてたの。上手くいったと勝利を確信したのに、ひっくり返された気分は如何?」
信じられない!この女も転生者だったなんて!
だとすると、これってネット小説でよく見たざまぁ展開?
冗談じゃないわ、私は王太子様と結婚して、贅沢な暮らしをおくるのよ!
「まだよ!あなたが大罪人である事は変わりないわ。ノキーンを退けても国中の騎士や魔法使いを相手に出来るかしら?」
ユーリが転生者でも、やった事に変わりはないわ。獣人を殺したのは間違いないんだから、その罪で処刑しちゃえば良いのよ!
「私が大罪人?何の冗談かしら?私が獣人を狩っていたのは、国の方針に従っていたから。つまり、獣人を狩る事は罪じゃないのよ。それを罪だと言うのであれば今代は勿論、歴代の国王様を罪に問う事になるのよ?」
はあ?人を殺しておいて罪にならないって、本気で言ってるの?
こんな気が触れた女なんかどうでも良いわ。早く処刑して王太子様と甘い日々を過ごすの。私は幸せになるのよ!
「これで、私には何ら罪咎は無い事がご理解頂けたと思います。異論は御座いませんね?」
ちょっと、何で言い返さないのよ王太子様!
こんな女の言い分を認めるって言うの?!




