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テンプレ

 森から出た私達は、魔物を売り捌くためにギルドへと向かいました。

 ゲームには出てきませんが、ファンタジーもののテンプレである冒険者ギルドはこの世界にも存在します。


 ギルドの玄関近くに馬車を止め、セティーを連れて受け付けに向かいます。

 ギルド内には小さな酒場が併設され、何人かの冒険者がたむろしていました。

 その中の一人が下卑た笑みを浮かべこちらに来ます。


「おい、そんなガキ放っておいて俺の相手をしろや」


 セティーは美人ですからね。絡まれるのも無理はありません。

 しかし、セティーは私の言いつけを守って無視します。


「無視してんじゃねぇよ!お高くとまりやがって!」


 冒険者が繰り出したパンチを、セティーは余裕をもってかわします。

 勢い余った冒険者は壁に激突。鼻から鼻血を垂れ流しています。


「このぉ、もう許さねえ!ぶっ殺してやる!」


 鼻血を拭おうともせず剣を抜いた冒険者は、正眼に構え切りつけようと足を踏み出しました。


「どうやらここは冒険者ギルドではなく盗賊のアジトだったようね」


 五寸釘大の氷の針を五十程生み出し、冒険者の四肢に打ち込みます。

 針の筵状態になった冒険者は、痛みに耐えきれず失神したようです。


「てめぇ、何をしやがる!」


「死にたいようだな!」


 酒場にいた冒険者も、仲間がやられて怒り得物を抜きました。


「武器を抜いたのなら、死ぬ覚悟もあるわね。許すつもりは無くてよ」


 いちいち針を作り出すのも面倒なので、頭上に直径一メートル程の氷の玉を生み出しました。


「アイス・ガトリング、斉射」


 呪文に応え、氷の玉から先程と同程度の氷の針が撃ち出され冒険者を射抜いていきます。

 秒間十発程の早さで打たれた針は、冒険者とその周辺を針山に変えました。


 一分もしないうちに針の平原と化した冒険者ギルドには、冒険者のうめき声が響いています。


「な、何だ!何があったんだ!」


 カウンターの奥、二階へ通じる階段から降りてきた男性が叫びます。


「セティー、騎士に言って制圧用の騎士の増援を手配させて。ミリーは引き続き馬車の番を」


 惨状に硬直する男性を無視して、必要な指示を出します。


「おい、これはお前がやったのか?」


「あなたはここの責任者かしら?」


「俺はここのギルドマスターだ。ギルドを襲うとは、命がいらないらしいな」


 現状だけ見て、こうなった理由を知ろうとしないとは。このギルドマスターも脳筋ですか。

 これも誤った実力主義の弊害ですね。冒険者としての能力は高くても、管理者として優れているとは限らないのですが。


「連れが絡まれて、挙げ句に剣を抜いて襲い掛かられたのです。ここではギルド員に女性を襲えと推奨しているのですか?」


「なっ、それは本当か!」


「え、ええ。その少女がつれていた獣人に絡んだんです」


 受付嬢の答えに、ギルドマスターは舌打ちするとこちらを睨みました。


「だが、これは明らかに過剰な防衛だ。あんたとその連れは拘束させてもらう」


「ならず者風情が私を拘束?冗談は顔だけにしてほしいわね」


 幼児に鼻で笑われたギルドマスターは、取り繕う事も忘れ怒りを露にしました。


「ふざけたガキだな。説教程度じゃ済まさんから覚悟しろよ!」


 ギルドマスターの右手の平に魔力が集まるのを感じました。ギルドマスターは魔法使いのようです。

 脳筋みたいなので前衛かと思ったのですが、意外ですね。


「生意気なガキに、大人の力を見せてやるよ!」


 ギルドマスターが掲げた右腕に、1.5リットルサイズのペットボトル程度の火の槍が生まれました。

 あれだけ時間をかけて魔力を練っておきながら、その程度の魔法ですか。

 もしかすると、前衛だけど魔法も使えるという程度なのかもしれません。


「オート・メラーラ、発射」


 慌てず騒がず、新たな魔法を発動させます。

 先程氷の針を撃ち出した氷の玉から、今度はどんぐり型の氷の固まりが射出されます。

 高い初速で撃ち出される弾丸の直径は127ミリ。

 発射速度は一分間に四十五発という速さです。


 直撃させると殺してしまう恐れがあるので、ギルドマスターの周囲にばら蒔くように撃ち出しました。

 ギルドマスターの火の槍は氷の砲弾の直撃を受けて霧散し、ギルドの壁は穴だらけになっていきます。


 ギルドマスターがへたりこんだので魔法を止めると、階段は完全に崩れ壁は無くなり、外の風景が見えるようになっていました。

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