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化粧と観光名所

 お父様と入れ代わりで来た獣人三人をソファー 脇に控えさせます。

 使用人も全員下がらせて、魅惑のモフモフタイムの始まりです。


「しゃがんでちょうだい。この絶妙な触り心地、天国だわ」


 二人の狼耳を堪能した後は、先ほど触れなかった狐っ子です。


「あなたも触らせてもらうわよ。大丈夫、痛くしないから」


 天井の染みを数えているうちに終わります。

 うちのメイドは仕事が完璧だから、天井に染みなんて無いんだけどね。


 狐っ子をソファーに座らせ、隣に座ります。狼系とはまた違った柔らかさのモフモフは、私を魅了します。


「何というモフモフ、尻尾も触っていい?」


「……うん」


 小さな狐っ子が、顔を赤くして照れながら答える様は絵画の如し。

 私はノーマルだったのですが、ショタのお姉さま方の気持ちがわかるような気がします。


 狼獣人二人が何か言いたそうでしたが、私の溢れる想いは止まりません。

 欲望の赴くままにモフり倒します。


 芯の入った適度な固さに、フサフサの毛が何とも言えない手触りを醸し出しています。

 触られている狐っ子も気持ち良さそうなので、心ゆくまでモフりました。


「今日はこの部屋で寝てもらうわ。二人はソファーで、この子は私と一緒にね。但し、他の人間には全員床で寝たと言うのよ。良いわね?」


 了承を取るような言い方ですが、完全に命令です。

 本来、上級貴族令嬢の私と王族のこの子が一緒に寝るのは何かとまずいのですが、知られなければ良いのです。


 この子と一緒に居られるのはあと二日、その間悔いのないようにモフり倒します。


 翌朝、この上ない気持ちのよい朝を迎えました。

 狐っ子は心細かったようで、抱きついて眠ってしまったので耳も尻尾もモフり放題でした。

 この子達とパナマへ亡命してしまおうかと考えてしまったくらいです。


 そんな訳にもいかないので、起きる準備をします。


「二人とも、そこに座って動かないで」


 狼獣人二人を床に座らせ、鏡台から化粧道具を取り出します。

 日本と違うのでちょっと手間取りましたが、二人を連れ出す小細工が出来ました。


「えっ、これって……」


「お化粧、ですか?」


「余り触らないようにね。落ちると困るから」


 彼女達が驚いている理由は、私が施した化粧が普通の物ではないからです。

 互いに触り合っている場所には、青く鬱血した跡が残っています。


「鏡で確認してみなさい。あなたたちは、夜に私の鬱憤晴らしに使われた。いいわね?」


 嘘ではないですよ。思う存分にモフり倒して鬱憤を晴らさせてもらいましたから。

 化粧は、つれ歩くのに化粧を施しただけです。

 前世での仕事で体得した特殊メイクを流用したのはご愛嬌ということで。


 私が先頭で次に狐っ子、最後に狼の二人が並んで廊下を歩きます。


「賄いを与えて、馬車の所に待機させなさい」


 食堂の入り口に控えているメイドに指示を出し、私だけ食堂に。

 お父様が宮廷での愚痴を溢すのを聞きながら朝食をとり、私も馬車に向かいます。


 馬車の前には、馭者とお付きの騎士が二人。獣人三人が待っていました。


「荷物は準備出来ているわね?三人は一緒に馬車に乗りなさい」


 騎士二人は馬に騎乗し、馭者は馭者席へ。私は三人を連れて馬車に乗り込みました。

 騎士二人が先導し、馬車は走り出しました。


 窓のカーテンを閉め、魔法で音が漏れないように結界を張ります。

 さあ、魅惑のモフモフタイムです。

 隣に座った狐っ子の耳に手を伸ばし、フカフカな感触を楽しみます。


 至高のモフモフを楽しんでいると、馬車が止まりました。ダーダネルスの領都まで止まらずに行く予定だったのですが、どうしたのでしょう?

 状況確認のため、結界を解きカーテンを開けて外を見ました。


 そこには、思いもよらぬ光景が広がっていました。

 数日前王都に行くためにこの道を通った時には、この辺りは何もない草原でした。

 しかし今では、あちこちに屋台が並び結構多い人が居ます。


「お嬢様、馬車が多いので少し時間が掛かりそうです」


「これは一体何の騒ぎなの?調べてきて頂戴」


 護衛の騎士一人を調査に向かわせましたが、すぐに帰ってきました。


「お嬢様、原因が解りました。お嬢様です」


「は?私が原因?」


 間抜けな返しをしてしまいましたが、聞けば納得の理由でした。


 今王都で一番の話題は冷血姫と呼ばれる私の事です。

 そして、ここには私が凍らせた魔物と騎士がいます。


 王都から半日足らずの距離に、歌の舞台があり氷の像があるのです。

 日本と違い娯楽のないこの世界の人々が見物に集まるのは、当然と言えば当然でした。


 更に、ここに来れば様々な魔物が凍らされています。

 普通に生きていれば、一般人が魔物を見る機会などありません。

 しかし、ここに来ればまるで生きているかのような魔物を見ることが出来るのです。

 人が集まれば商売人も集まる。こうなる事は必然だったのです。


「出来るだけ早く通過して頂戴」


 私にはそう答える事しか出来ませんでした。

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