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目が、目がぁ

 試行錯誤する事数日、少しですが周囲の暖かい物体を操作する事に成功しました。

 仮にそれを魔力と呼称します。魔力は私の体内にもありました。


 ネット小説でよく挙げられる表現として「血液のように体を循環している」とありましたが、正にその通りでした。

 心臓に集まるそれを、流れを掴むように意識してみたら身体中に流れているのが認識出来ました。


 そうなると後は簡単です。魔力の流れを少しだけ早くしたり遅くしたり。操作出来る量が増えてきたら留めてみたり。


 手のひらに集めた魔力が風になるイメージを流してみると、僅かに風が吹いたのが感じられました。

 偶然という事もあるので何度か繰り返しましたが、その都度風が吹きます。


 間違いありません。これは魔力で、私は風魔法の発動に成功しました。

 ならば他の属性にも挑戦したい所ですが、そうはいきません。


 水はベッドを濡らしてしまいますし、火は論外。土も出た土の処理に困りますし、光は誰かに見られる危険性が高いです。

 残るは闇ですが、どんな効果になるか想像し辛いので却下です。

 ネット小説では治癒や空間、時間に雷、氷なんて属性も出てきますが、この世界にはあるのでしょうか?


 それらも試すにはデメリットが多いので、最低でも目と耳が使えるようになってから試しましょう。


 地道に風魔法と魔力操作の修行を続ける毎日を過ごしていましたが、ふと思いつきました。

 魔力による身体強化、これも異世界転生もののお約束ですね。

 善は急げと目に魔力を集めていきます。少しづつ少しづつ、異変があったらすぐに散らせるように慎重に魔力を集めました。

 するとどうでしょう。磨りガラスの向こう側を見ているような視界が、透明なガラスのようにクリアになっていきます。


 目が、目がぁ!見えるようになりましたぁ!


 初めて目にした部屋の中は、綺麗に纏められていました。


 部屋の中央に私が眠るベビーベッド。隅には赤ちゃんグッズが置かれた棚と小さなタンス。 唯一の光源である窓にはガラスが填まり、出窓には鉢植えの黄色い花が咲いていました。


 おや、誰かが来たようです。目と同じように耳にも魔力を集めました。

 開いたドアから入って来たのは、古式ゆかしいメイド服を着た女性でした。


「あ、お嬢様起きていらしたのですね。お食事の時間となりました。失礼いたします」


 まだ若い、20代と見えるメイドさんはキチンと着こなしたメイド服をはだけ豊満な乳房を惜しげもなく露出させました。


 大きさなんて……大きさなんて!


 女優に胸は必要無いのです。小さな物を大きく見せるのは簡単ですが、大きな物を小さく見せるのは容易ではないのです。

 なので、胸は小さい方が女優としては有利なのですよ。実力派女優の私は、小さくする事に成功していたのです。


 今世こそ、今世こそは大きく育ててみせます。まずはそのための努力の一環として、目の前の大きな胸を研究したいと思います。


「ふっ……お、お嬢様、今日はいつもと吸い方が……」


 嫉妬が入っていた事は認めます。反省はしていますが、後悔はしていません。


 メイドさんは私の世話をし、胸を収納すると部屋を出ていきました。


 さて、今のお食事で判明した事があります。私のメイドさんは、若くて美人、おまけにプロポーションも抜群です。


 なんて事じゃなくて。どうやら、私の親は裕福で権力持ちなようです。

 乳母となるメイドさんを雇える財力。メイドさんの口調から、ある程度の教養がある事が伺えました。

 定番通りな世界なら、教育を受けた使用人は数が限られる筈です。

 財力があるだけの商人では雇うのは難しいでしょう。


 身分を鼻にかけるつもりはありませんが、無いよりはあった方が良いでしょう。

 将来政略結婚をする事になるのでしょうか。そうなっても、お相手の人が良い人ならば良いのですが。


 思考に耽っていると、再びメイドさんが入ってきました。

 先程食事を終えたばかりなのに、珍しい事もあるものです。


「お嬢様、起きてらっしゃいますね。今日は奥方様のお体もよろしいようですし、旦那様も都合が宜しいとの事なのでお会いに行きましょうね」


 メイドさんは慣れた手付きで私を抱き上げると、防御力の高そうな胸部装甲に乗せる格好となりました。


 とうとう今世での両親と対面出来るのですね。


 ……奥方様と旦那様?やはり貴族なのでしょうか?

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