表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/197

終焉(レイナ視点)

本日二本目の更新です。


終焉のレイナ視点です。

「くの一役をやった時、殺陣指導の先生がぼやいていたけれど、まさか身を持って体験するとはね」


 くの一?さっき女優がどうとか言ってたけど、この女は女優だったの?

 ちょっと気になるけど、前世なんか関係ないわ。

 大事なのは、この女が死んで私が幸せになること。


「ぐっ、がはっ!」


「ふん、漸くか。かなり時間が掛かったな」


 やっと父親が死んだみたい。たった二人にここまで時間を掛けるなんて、この国の兵士って弱いのね。

 王太子様に言って強くする必要があるわ。私や王太子様に何かあったら大変だもの。

 あっ、ノキーンが用意した兵士だからかしら。やっぱりノキーンは使えないわ。


「手間を掛けさせやがって。娘も直ぐに後を追わせてやる。安心して地獄に落ちな」


 後ろを守っていた父親が居なくなったんだから、もう終わりよね。

 疲れてきたし、お城に行ってお風呂に入りたいわ。

 お城に行かないとお風呂に入れないなんて、本当に不便。


「ガハッ……グフッ、バカな」


「……くはっ、た、只では…し…なん…」


 父親を倒した兵士が後ろから刺されて死んだ。死に損ないに殺されるなんて、弱い兵士だったのね。

 残りの兵士は大丈夫かしら。まあ、これだけ人数が居て負けはしないでしょう。


「死んだふりをして後ろから刺すとは、何と卑怯な!」


「ケント様、卑怯な男の娘だから極悪非道になったのですわ」


 私は下らない父親に育てられても立派になったけど、所詮悪役令嬢ね。

 父親も本人も卑怯で残酷、死んで当たり前の人間。

 私の優しさや寛大さが引き立つから、役に立ったと言えば役に立ったわね。


「父親が死んだというのに、涙も流さんか」


「血も涙もない極悪令嬢ですもの。あっ、ケント様、ユーリは殺してはいけませんわ。公の場で処刑して、パナマ王国との関係を修復しませんと」


 ちょっと疲れたから、王太子様の肩に体を預ける。

 王妃になっても戦争する国は嫌だから、ユーリには生け贄になってもらわないと。 こんな事まで考え付く私って、マジで天才。

 こんなに立派な妃を貰えるんだから、その代償に沢山贅沢させてもらわなくちゃ。



「貴様は獣人を死なないように傷付け、ポーションで治してまた傷付けていたそうだな。そんな自分が死なないように傷付けられる気分はどうだ?」


「何事も経験してみるものね。あなたも如何かしら?」


 これだけ傷つけても、まだ命乞いをしないの?いっそ手か足を切り落としてもらう?

 そうすれば自分の立場と言うものを弁えるわ。


「思ったより余裕があるな。もう少し切ってみるか?」


「殿下、あれは虚勢です。もう動けるはずがありません!」


 私達を守る兵士が言った。平気そうだけど、本当に我慢してるのかしら?


「おい、何の騒ぎだ!」


 廊下の方が騒がしくなって、兵士が一人駆け込んできた。

 もうすぐ決着がつくのに、空気読みなさいよ!

 兵士が王太子様の耳元で何かを伝えた。


「獣人だと?何でこんな時に。まずい、こいつを差し出して帰らせるか」


 兵士が報告したのと前後して、扉から沢山の兵士が入ってきた。

 頭には獣の耳が生えてるから、人間じゃなく獣人?何でパーティーに乱入なんかするのよ!

 獣人は兵士達を押し退けて入ってきた。その中央には、鎧を着てない人の姿が。

 耳と尻尾があるから獣人みたいだけど、かなりの美形じゃない。

 あれなら飼って側に置くのもいいわね。停戦の条件にしてもらおうかしら。


「……最後にモフリたかったなぁ」


 あの女が何か呟いた。まだ生きてたのね。

 ちよっと、何でイケメン獣人があの悪女の方に行くのよ。

 ああ、恨みを晴らすためね。でも、何で剣を抜かないのかしら?


「死ぬな、死なないでくれ!尻尾なら幾らでもモフらせてやるから!」


 ちょっと、訳が分からないわよ!

 何でイケメン獣人が悪女を抱き締めて、尻尾でくるむのよ!


 誰か、この状況を説明してよ!

明日からはユーリの過去のお話になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ