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学園生活

 入学してから二ヶ月が過ぎました。馬鹿達の相手以外は平穏な生活を送っています。

 その例外でかかるストレスが、並大抵では無いのですけどね。残ってくれたセティーとミリーには大感謝です。


 登校すると目につくのが、停車場で馬鹿王子を待ち構えるレイナです。


「ユーリさん、何でそう意地悪をするんですか!」


 涙を溜め、潤む瞳で見上げるレイナ。表情が固いし、苛立ちが隠せてません。

 そんな演技では端役すら貰えませんよ?


「何でいつも無視するんですか!酷いです!」


 ゲーム通りに訴えるレイナですが、それを見る周囲の目が冷たくなっている事に気付いていません。

 下爵から上爵に話し掛けるのはルール違反で、例外はそれを許された親しい者のみ。

 貴族の子女なら知っていて当たり前のルールを平然と破るレイナは、一部を除いて白い目で見られています。


「貴様、またレイナを虐めているのか!」


「これは殿下、おはようございます」


 噂をすれば、その一部の方々がやって来ました。言わずと知れた、馬鹿王子とその取り巻きです。


「儚く可愛くて、誰もが好きになるレイナに嫉妬するのはわかる。だが、彼女を虐める事は許さん!」


 ヒロインだけあって顔は可愛いけど、好きになっているのはあなた達だけだと思います。


「殿下は学園の規則すらお忘れになったようですね。始業の時間になりますので、失礼いたしますわ」


 まだ何か言いたげな馬鹿王子を放置して、教室に向かいます。付き合っていられませんもの。


「あー、このように、相手が同格の場合は経済状況や所属する派閥を加味した判断が求められます」


 一時間目は礼儀作法の授業です。手紙一つとっても、時候の挨拶や本題への入り方など覚える事は山のようにあります。


 二時間目は内政。女性であっても、夫の代理を務めなければならないケースはあります。

 領地経営が全く出来ないのでは、嫁としての価値は下がります。


「えー、このように、後の調査によって数々の欠陥が指摘されるようになりました。誰彼構わず身を保証する、その行動に責任を持たないなどです」


 今日は組織の運営についてですね。ただ、例に出された組織が少々問題です。


「先生、そんな問題だらけの組織が国家を越えて存続出来たのは何故でしょう?」


「利害の一致と、犯罪行為の隠蔽が原因だと言われています。現在では国が管理運営しているので、同じ過ちはないでしょう」


 見られてます。めっさ見られてます。その組織潰したの、私だもんなぁ。


 そして授業は終わり、昼休み。仲の良い方々と食堂でランチをとります。


「既に教科書に載る功績を挙げておられるなんて、流石は冷血姫様ですわ」


「たまたま私が襲われて、問題が顕在化しただけですわ」


 本来の目的が「獣人狩りに充てられる兵を減らす」というものなので、誉められても困るのです。


「国を超えた功績を残しながら誇らない、何て謙虚なお方なのでしょう!」


「貴族の鑑ですわ!」


 返す言葉につまりながらも食事を終え、午後は自由談話です。


 教室内から出ない事を条件に、何をやっていても良いという授業です。

 派閥内外の人と繋がりをもち、情報を収集する訓練ですね。 卒業後は夜会やお茶会がこれに相当します。


「あなたの領は麦の特産地でしたわね。今年の出来は如何かしら?」


「ユーリ様!今年も豊作になりそうですわ!」


 私の場合上爵が居ないので、下爵の者に目を配り話し掛けられるように配慮しなければなりません。

 その為に各領の特徴を覚えたりと、上位貴族も楽ではないのです。


 放課後、停車場に向かう私に何か言いたげな教師達。まるっと無視させていただきます。


 どうせ内容は、馬鹿王子とその取り巻きです。聞くだけ時間の無駄と分かりきっています。


「ユーリ様、今日もお疲れのようですね」


「ミリー、あなたとセティーの癒しだけが頼りよ」


 屋敷に帰ると直ぐにミリーの耳に癒しを求めます。


 こんな生活をあと二年半。私の胃はもってくれるでしょうか?

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