実力行使(レイナ視点)
本日二本目の更新です。
実力行使のレイナ視点です。
「今日の件は、国王陛下に報告すると共に各々の家に正式に抗議をさせて頂きます。謂れの無い罪を私に着せ、断罪しようとしたのです。これだけの証人がいるのですから、隠す事は出来ませんよ?」
得意気に語るユーリ。本当に憎たらしいわ!
王太子様は何も言い返さないけど、断罪出来ないっていうの?そうしたら、私はどうなるのよ!
「確かに、これが報告されたら俺達は終わりだろう。王太子殿下は分からんが、俺は良くて廃嫡最悪病没と言う名の暗殺で終わる」
俺達って、私も?私は悪役令嬢を断罪しただけよ。
私は何も悪くないわ。暗殺って、殺されちゃうの?嫌よ!何で私が殺されなくちゃいけないのよ!
「だがなぁ、だからと言って『はい、そうですか』と諦める訳にはいかないんだよ!」
ノキーンが懐から小さな笛を取り出して吹いた。
笛の音がパーティー会場に響いて、お城で見たことがある兵士が入ってきた。
「備えあれば憂いなし。もしもの時の備えは、常に心掛けるよう親父に仕込まれてたからな」
「ノキーン、お前は本当に頼りになる奴だ!」
「本当よ!そこで転がってるのよりも余程役に立つわ!」
いつもは暑苦しいノキーンだけど、今日は許してあげるわ。
そこのヒョロガリなんて全然頼りにならないもの。
「ふははははっ。こんな事もあろうかと、と言う奴ですよ!一番隊から三番隊は会場内の制圧。四番隊はレイナと王太子殿下の護衛。五番隊は不届き者を懲らしめてやりなさい!」
「ノキーン、調子に乗ってるわね」
「お前に熨されて良いところ無しだったからな。無理も無いだろう」
悪役令嬢と父親が何か言ってるけど、この人数に勝てる筈はないわ。
勝って笑うのは私よ。ざまぁなんて、起こる筈は無いんだから!
「こちらに向かってくるのは十人か。一人で五人倒せば終わるな」
「計算ではそうですけど、無手で大丈夫ですか?」
「ふっ、ヘナチョコ騎士団と違い、国境で戦いを強いられる我らを舐めるなよ?」
素手で鎧を着た兵士を倒したの?何なのよあの親子!
「ほら、剣も手に入った。態々届けてくれるとは親切な騎士殿だな。礼を言わせてもらおう」
「お父様、剣は必要無いのではないですか?それと彼、お礼を言っても多分聞いていませんよ?」
「親子揃って化け物が!突出せずに複数で対応しろ!」
そうよ、人数は圧倒的に私達が勝っているわ。負ける筈は無いじゃないの。
あの狂暴女も倒してもらって、処刑しなくちゃいけないわ。
「あまり近寄っちゃダメよ!その女、外見に反して近接もこなすから!」
狂暴女は見た目だけは良いから、兵士が惑わされないようにしなくちゃ。
兵士に囲まれて、狂暴女に傷が増えていく。
中々倒せないのはもどかしいけど、生意気な女が少し少し切られていくのを見るのも悪くないわね。
「あら、顔色が悪いようですけどお加減が悪いのではなくて?」
「最近忙しくて、寝不足なのよ。家に帰って休ませて貰えるかしら?」
この期に及んでも軽口を叩くなんて、どんな神経をしてるのよ。不様に命乞いでもすればいいのに。
「残念だけど、あなたが家に帰る日は来ないわ……永遠にね」
あなたは拘束されて、地下牢で虐めた後で殺してあげる。
どんな殺し方が良いかしらね。私を不安にさせたんだから、楽な殺し方はしないわよ。




