序章
神の愛をあなたに。女子を中心に流行し、小説や舞台になった乙女ゲーム。
剣と魔法が力となる世界。獣の耳と尻尾を持つ獣人は、人間に迫害されていた。
人間至上主義のスエズ王国は獣人を公然と奴隷化し、獣人は結束してパナマ王国を建国。力を合わせてスエズ王国に対抗していた。
しかし、獣人の必死の抵抗も虚しく獣人達は次々と狩られていく。
獣人は身体能力で優れるものの、魔法を使う能力には恵まれなかった。
怪我を癒す治癒魔法の使い手は少ないものの、ポーションと呼ばれる魔法薬は作成に魔法の素養が必要だった。
スエズ王国側はポーションで傷付いた兵士を治せるのに対し、パナマ王国ではポーション不足が深刻であった。
獣人でも狐獣人の一族は魔法の素質があり、高い知能もあって王家として獣人を導きつつポーションを作成していった。
それでもスエズ王国とは量産能力に絶望的な開きがあった。
そんな中、ツガル男爵家の令嬢として産まれたレイナは身分による格差や獣人に対する差別に立ち向かう。
プレイヤーはレイナ・ツガルとなって王立学園に入学する。
そこで降りかかる虐めや嫌がらせに耐え、周囲の人達の認識を変え理不尽に立ち向かう。
王太子やその側近を味方にしたレイナは、卒業記念パーティーで悪役令嬢のユーリ・マゼラン辺境伯令嬢と対決、断罪を果たし共に戦った愛する人に愛を誓い結ばれる。
ただ攻略対象との仲を深めるだけでは悪役令嬢からの勝利はもぎ取れず、逆に主人公が断罪され投獄されてしまう。
ユーリ・マゼランのスペックは高く、魔法を用いた戦闘力も国内最高峰。その魔力を使い自ら獣人狩に赴く程であった。
攻略対象を追い掛けるだけではクリア出来ない新しさが話題を呼び、各キャラクターの半生までもが小説化した大ヒット作である。
そんな神の愛をあなたにに似た世界に二人の転生者が産まれる。
主人公と悪役令嬢。果たして最後に笑うのはどちらの転生者なのか。
その答えは神のみぞ知る
