06話 第一回ファミリー会議
ヘルプ機能があるとやっぱり捗る!
サクラのおかげで神様システムについての理解がかなり深まったよ。
「ではここに、第一回ファミリー会議の開催を宣言します!」
「……不審人物扱いから一時間もしないうちにファミリー扱いとかあんた狂ってるわね」
「まあまあ。よい会議になりそうですね」
まず最初のテーマは屋敷の防衛面について。
大別すると、屋敷に侵入する可能性のある者は魔物・動物・人族の3種類となる。
それぞれの定義は
魔物=魔素を基に魔石を形成し、魔石が魔素を用いて肉体を形成、または強化等を行っている存在
動物=運動能力をもつ生物のうち、魔石を持たない存在。
人族=普人・獣人・エルフ・ドワーフ・魔人。及びその進化形態。
こんな感じ。
まず魔物。これは屋敷の敷地に魔物は入れないんだからクリア。
屋敷の敷地外になにかを作る時に考えればいい。現状ただの草原だしな。
そして動物。
放置しておくと侵入の可能性が高いため対策必須である。
・柵の強化
・堀の設置
・石垣や土塁を使っての領地の嵩上げ
この三案を検討。
まず、堀は動物を殺しかねないので却下となる。
たとえ動物一匹であっても、殺すなら俺かコウメイの手で殺さないと神気の飽和に近づいちゃうからね。
堀の不採用に伴い、石垣や土塁も自動的に不採用に。
石垣・土塁の作成は、前提条件として堀が必要らしい。資材の都合か?
というわけで神気5000を使用し、鉄柵を設置した。
最後に人族。
ここは人里離れたどころか、険しい広大な山々の中にある盆地だ。
しかも山には強烈な魔物達が生息する。よって、陸路からの侵入はまず無理である。
では空路からの侵入、これはありえる。
この世界の魔法には空を飛ぶものがないし、飛行機などもない。
しかし、飛行が可能な存在。もしくは飛行型の魔物に騎乗できる存在。これらは侵入の可能性があるだろう。
これらについての仲間の意見はコチラ
「そんなのいるの?もしいたとしても、ココになにしにくるのよ?」
「最悪のケースを想定しておく事は大切です。しかし、神様システムでの対策は難しいですね」
というわけで、考えてもどうしようもない。との結論に至った。
幸いにも、神様システムは不壊かつ所有者しか使えない。
あまり気にしても仕方ないだろう。もしも来ることがあれば話し合いか戦闘だ。
空を飛ぶ魔法はないと断言した理由もついでにまとめておく。
この世界の魔法はド○クエやファ○ナルファンタジー式っていえばいいのかな?
ファンタジー小説系でみる、イメージ次第でなんでもできるようなものではないのだ。
ヒールとかファイアとか種類は豊富にあるが、既に世界に用意されていることしかできない。
サクラが言うには、ネモもサクラも知らない魔法はないし、新しく追加されることもないそうだ。
まとめるとこんな感じかな。
1、魔素っていう大気中にたくさん存在する物質をとりこむ
2、それを魔力に変換
3、その魔力を用いて使用する魔法を選択
ちなみに、この世界において魔術と魔法は同じ意味であり、別に違いはない。
続いてのテーマは今後の方針。
相談相手の大切さを実感できるいいテーマだった。
「まず、現状の目的は少しでも多くの神気を集めること。それを踏まえてどう動くか。忌憚なき意見を頼む」
「あんたはまず、この世界をしっかり見るべきね。旅を勧めるわ」
「ご主君の見識を深めるためにも、旅立ちはよい案かと」
「神気をどう集めるかを決めるために、この世界での実体験が必要ってことか」
「そうね。自分で見て感じることと、他人から聞いて感じることは違うわ」
「うんうん。じゃあまずは旅するか。その間、神気の増加ペースは遅いだろうけど問題はないかな?」
「ご主君は大きな力を持つのです。広く世界を知らずに事を起こすわけにはいかないでしょう」
「そうね。神気を集めるってことはなにかを大量に殺さなきゃいけないんだから、後悔しないためにもいろんな国をみてまわったほうがいいわ」
俺もまずは世界を見ることから始めるつもりではあった。
ネモも楽しむだけでいいって言ってたしな。
一方で、それこそ殺戮をしてでも急いで神気を集めなきゃいけないんじゃ?とも考えていたのだ。
ま、大軍師様もこの世界の先輩もこう言ってるんだ。まずは旅にでる方向で考えよう。
「わかった。まずは旅立ちだな」
目的地はすんなり決まる。
この拠点から北にある大国【ティーラス】を目的地として定めた。
拠点の立地を確認しておこう。
北の山を越えるとティーラスがあり、その周囲にも国がある。
東の山を越えればすぐに海がある。
南の山を越えればすぐに海がある。
西の山を越えればすぐに海がある。
というわけで、北以外はどこいっても海にぶつかる。
海には魔物がたくさんで海運なんかは大変らしい。
海を渡る手段は思いつくけど、別に理由もないし北でいいだろう。
最後に決めるのは、誰がお留守番するかだが、それは当然サクラだろう。
「サクラ、じゃあ留守番たのむわ」
「は? なに言ってんの? ついてくにきまってるわよ」
いやいやサクラこそなにいってんだ?
システムのヘルプが動き回るとかどうよ?
「え? 神様システムのヘルプさんでしょ?」
「あんた専用のシステムのね。教える相手の側にいて何が問題なのよ」
筋はとおってる……のか?
でもこの拠点を空にするのもな。
一人おいとけばテレパシー(念話)の魔法を使って連絡がとれるし……
うーん。留守番用に眷属生成が無難か?
この後の生成予定もあるが、10万ギリギリの人族ならなんとかなりそうだ。
けどなぁ……そんなうまいことギリギリの生成できる気がしねえ。
「それはわかったけどさ、留守番いないと怖いぞ。何日拠点あけるかもわかったもんじゃないし」
「定期的に帰ってこればいいじゃない。なんのためのゲートよ」
は? ゲート? 転移魔法なんてないはずだぞ?
「ゲートって何? そんな魔法ないよな?」
「魔法じゃないわ。システムの機能ね。宝物購入にゲートってあったでしょ。二個でワンセットだから、片方は屋敷に設置して、残りの片方はアイテムボックスにいれときなさい」
ゲートって転移門だったのかよ!ワープゲートとかわかりやすい名前にしといてくれよ……
まあいいサクラがいて助かった。
ゲートって2万もすんだぜ。ただの門の可能性があるもんに、2万は使えん。
「その情報すげえ助かった。ありがとな! じゃあ三人旅だな」
「どういたしまして。宝物の内容も細かく説明しておけばよかったわね」
「よし! では第一回ファミリー会議終了だ! お疲れ様でした」
「お疲れさま。でも終了でいいの? 移動手段どうするのよ? まさか歩いていくつもりじゃないでしょ?」
「そこはまかせてくれ。俺に考えがある」
移動手段だが、拠点に人族が侵入しうる方法ってのは、裏を返せば俺たちが拠点から出るための方法でもあるわけだ。
つまり、飛行型の魔物に騎乗すればいい。
そんな魔物どう用意するかって?
眷属生成があるじゃない!
しっかし飛行型の眷属か。しかも乗る人数は三人もいる。神気足りるかな?