05話 神様システム
「キミの有用性はわかった。あとは信用だが……」
「まず、そのキミって呼び方やめて。サクラでいいわ。呼び捨てでね。信用ねえ……逆になにが信用できないのよ?」
「そうだな。まず種族。仙人族なんて知識にないんだよ」
「なるほどね。仙人族はいわゆる特殊進化系ね。不老だからずっと可愛いサクラちゃんのままよ。よかったわね」
こいつ、自分でカワイイと言い切りおった。強者だ。間違いなく強者だ。
「ヤッター ずっとこんなにカワイイままだなんて、ウレシイなー(棒」
「棒読みやめなさいよ……よそよそしいままのがマシなんじゃないあんた」
テンション低いなぁ。棒読みやめなさいよ!ってツッコミは元気よくが基本だぜ?
よし! ここはもう一度よそよそしく…………
いやいや、話しすすまねえよ。
夜には魔物の動きが活発になるんだ。それまでにココの防衛機能くらいは考えなきゃいかん。
うん。真面目に質問しよう。
「で、特殊進化ってなに?」
「そうね。神様によって変化した存在の一種よ。不老のハイヒューマンくらいに思ってもらえばいいかな?」
「ふぅーん。神様の知識もないんだけど、ネモじゃないんだよね? いるの?」
「いるわよ。創造主が神様扱いね。でもネモくんだって特殊進化させることができるはずよ」
なるほど。ネモのことも知ってるのか。知識をもってるのも間違いなさそうだ。
そもそも、信用なんてものを短い時間で見せろ。なんてのが無理な話しだわな。
後は……俺を手伝う動機だな。誰の差し金だ?
「ん。知識もあるのは間違いないね。でだ、誰に言われて俺を手伝いにきた? その神様か?」
「察しがいいわね。でも言われたわけじゃないのよ。神様が創った、そのディスプレイってあなたが呼んでるシステム。その所有者を手伝うための存在があたしよ」
「なるほど。そしてこのシステムの今の所有者は俺ってわけだ」
「そういうことね。だから裏切るとかそういう心配はしなくていいわよ? 存在理由ってのは大事なんだから」
なるほどヘルプ機能か。まあ納得はいくし、役にも立つだろう。ある程度信用してもいいんじゃないかな?
「コウメイ、信用してよさそうかな?」
「そうですね。今のところ嘘を言っているようには見えません」
天下の大軍師様が言うなら間違いないだろう。とりあえずこの三人で異世界生活スタートかな。
「というわけでサクラ。信用しようと思う」
「ありがと。ま、もし信用できない帰れって言われても、あたしの居場所はこのシステムのある場所だからね。帰る場所自体ここなのよ」
「あーなるほどね。うん。これからよろしく頼むわ」
「わかってもらえて嬉しいわ。こちらこそよろしくね」
「じゃ、残りのディスプレイの機能の確認なんだけど……この際、これからは神様システムとでも呼ぶか。神様システムのヘルプさんがいるわけだし、説明頼めるか? 夜までに屋敷の防衛も考えなきゃならん」
「それで急いでたのね。とりあえず安心していいわ。屋敷の敷地に魔物は入れないし、攻撃もできないわよ」
「え……マジで?」
「フフッ。大マジよ」
「てことは…………ここにこもってれば……無敵?」
「人族は入れるわ。入れないのは敵対性の魔物だけよ」
なるほどそれは残念だ。でも、これで急ぐ必要はなくなったな。ありがてえ。
「じゃあ、神様システムの中で重要な項目というか機能はあるか?」
「そうね。住民もいない領地だし、まずは眷属の項目かな。眷属のカスタムなんかができるわ」
早速眷属メニューからコウメイを選択。
コウメイの仙人化が神気2万でできるようだ。あとはなにもできそうにない。
「コウメイの仙人化が神気2万で可能みたいだな。しておくべきなのか? 仙人のメリットってなんだ?」
「まずは不老化ね。それと、魔術の代わりに仙術が使えるようになるわ」
ほほう。仙術とはまたコウメイに似合いそうじゃないか。
これは2万使う価値ありじゃないか?
いや落ち着け俺。仙人族が目の前にいるんだ。焦らずに詳しい話しを聞いてからだ。
「魔術と仙術の違いは?」
「どちらにせよ、魔素を基に現象を起こすわ。魔素を魔力として利用するか、仙力として利用するかの違いね」
「なるほど。起こせる現象に違いとか優劣とかある?」
「違いはあるけど、どっちが上とかはないわね」
「くっ。即決できんな」
「そうね。デミゴッドのユウは魔力も仙力も利用できるから実際に使ってみて判断したほうがいいわ。それに、仙術はあたし。魔術はコウメイ。両方をユウ。ちょうどいいんじゃない?」
ふむ……コウメイの不老化は魅力的だが、少なくとも今は様子見が無難か。
「コウメイ、ひとまず仙人化は保留でいいかな?」
「はい。神気の使い方は慎重になるべきです」
「よし、じゃあサクラ! 急ぐ必要はなくなったし、俺とコウメイに神様システムの解説たのむわ!」
「まっかせなさい!」