04話 現地人第一号は不審人物でした(挿絵有り)
2018/02/06
サクラのイラストを頂きました。
後書きに掲載させて頂きます。
「クリックひとつに躊躇しすぎでしょもうっ! システムはあんたの操作しか受け付けないわよ!」
なんかいきなり怒られた!?
「はぁ……あたしはあんたのお手伝いをするためにきたサクラちゃんよ。眷属にはなれないんだけど、信頼してくれていいわよ。ヨロシクね!」
宝物購入初回プレゼントは、どうやら不審人物らしい。
外見は綺麗というかカワイイというか。18歳くらいだろうか?
髪は名前そのままのサクラ色をポニーテイルにくくっていて、無地の着物を着ている。
そして……ステータスが怪しい。
サクラ
神気量200000
種族・仙人族
身体 1
頭脳 2
特殊 7
なんと神気量20万ですよ! これは高性能ですよ!
しかも見事なまでの特殊特化! 特殊特化は何をしてくるかわかりません! 厄介ですよー!
さーらーにっ! なんと種族が仙人族! これは珍しいですよー! なんせこんな種族、ネモ君から習ってません!
ふぅ。俺としたことが、取り乱してしまったな。
まさか現地人第一号と自分の家で出会うとは思ってもいなかった。
しかもこんな怪しい存在だ。取り乱したのも仕方ないだろう。
神気量だけなら今の俺は770000。
勝てそうではあるが、特殊特化は厄介だ。
コウメイも訝しげな表情でサクラを警戒しているようだ。
ちゃんとコウメイが警戒してくれてるんだ。冷静に対処しよう。
「自己紹介ありがとうございます。私はユウと申しますが、なにか御用でしょうか?」
「え? なにこのよそよそしい対応? えっと…ご丁寧に有難うございます?」
ふむ。なぜか混乱しているようだな。
とりあえず、早く本題を話させる。
もしくは追い出して屋敷の機能を確認すべきだろう。
「いえいえ。して……御用がないようでしたら御帰り頂きたいのですが」
「ちょっ!! いやあんたを手伝いにきたのよ? 帰れるわけないでしょ!」
「お手伝い頂けるのですか。すみませんが見ず知らずの…
「あーーもうっ! やりにくい! まずその白々しい敬語をやめなさいよ!」
食い気味にきやがった。若手芸人か?
どうしろってんだよ。
見ず知らずの謎の人物から手伝うなんて言われても、信用できるわけないだろうに。
もういいかテキトーにあしらおう。
「で、何なの? こっちはいろいろ忙しいんだわ。相手してる暇ないから帰ってくんない?」
「これは想定外だわ。あたしの力と知識をあんたのために使ってあげるって言ってるのよ」
「……君は、初めて会ったやつにいきなり君を手伝うって言われて、是非お願いします! ってなるのか?」
「…………ならないわね」
「わかってくれてよかったよ。玄関はこっちだ」
「残念ながら、あたしがあんたを手伝うのは決定事項なのよ。要は何ができるか示せばいいのよね?」
いやいや……有能であればなんでも仲間にするって発想がすでにやばいわ。スパイって知らないの?
「いくら有能でも信用できない奴に手伝わせる気はないぞ。さらに言えば、俺を手伝いたい動機もわからん」
「なるほどね。ひとつずつ話しをさせて。まずできることだけど、あんたにない知識を持ってるわよ。それに、便利な道具達もね」
そう言って不審人物が取り出したのは、すごくシンプルな革製のバッグ。
「アイテムバッグよ。ほぼ無限に入るわ」
ほう。異世界定番便利アイテムか。本当かどうかわからない。実験が必要だな。
それに、この世界でのアイテムバッグの希少性もわからないな。
「素晴らしい。それは珍しいものと考えていいのか?」
「アイテムバッグ自体かなり珍しいわよ。さらに言えば、これよりも容量の大きなバッグは存在しないでしょうね」
「なるほど……とりあえず、試してみてもいいか?」
「もちろんよ」
よしでは試しに、このディスプレイを入れてみよう。
よいしょ!
ふんっ!
ふぬおおおおおおおお!!――――……
ハァ……ハァ……なんだこれ全く動かねぇ……
「あんたさ……忙しいとか言っといてなに遊んでんの?」
「なにこれ!? どんだけ重いんだよ!」
「固定型の神具を動かせるわけないじゃないのよ。ほら。そこの本棚いれてみなさいよ」
このディスプレイは固定式なのか?とりあえず今言えることはただ一つ。疲れた。
「ふぅ……コウメイ頼むわ」
コウメイは不思議そうな顔をしている。
カバンのサイズからして、本棚がはいるわけがない。
そもそもカバンの口よりも本棚の幅のほうがデカイ。
「あんた一気にやる気失ったわね……まあいいわ。コウメイくん。本棚を持ち上げてカバンの口につけて」
「こうですね」
軍師タイプのくせに軽く本棚を持ち上げるコウメイ。流石だなぁ。
全く本が入ってないとはいえ、つらそうな雰囲気もない。
「そうそう。それで"収納"って言って。言わなくても頭で念じるだけでもいいわよ」
本棚が消えた。アイテムバッグは本物のようだ。
「じゃあ、本棚を思い浮かべながらバッグに手をいれて」
「はい」
「どこに本棚をおきたいか考えながら、手をひきだして」
すると、元にあった位置に本棚が戻る。
素晴らしいな。持ち上げられるものなら何でもか。
生物は入らないってのが定番だが……どうなんだ?
「このバッグ生物は入るのか?」
「神気をもつものは入らないわ。死体なら神気が抜けてるから入るわよ」
なるほど。そこは残念だが、これは有用だ。
「で、これを提供してくれる。と?」
「そうよ。1個は普通にあげるわ。量産も可能。1個につき1万程度の神気もらえばね」
アイテムバッグを量産可能か。
これだけでも、こいつが有能ってのは間違いないな。




