002 最強 に ついて
何か、アニメとか漫画とかドラマとかで主人公たちが言う「最強」って言葉に違和感を覚える。
違和感というか、陳腐さを感じる。例を挙げるなら、
「俺は最強の◯◯になる!」
「跡継ぎとして、最強の◯◯になるんだ!」
「最強の◯◯、現る!」
陳腐。すごくチープ。
昔、幼稚園児や小学校低学年の頃は、そこまでではなかったなぁ。少なくとも純粋に「すごい!」って感情があった、はず。「◯◯君、最強!」とか相手を誉めそやすように言ってたわ。言われた方もまんざらではないというね。
しかし、時が経てばもはや死語。やはり生きているうちに何度も目にすることで、最初の感動が薄れるんだろう。
「最強」という言葉が気になったのは、最近のドラマのCMを耳にしたからだ。まさに上記で書いたようなセリフが聞こえて、その言葉を言った主人公(?)に対して正直、「こいつ、マジもんかよ・・・」って思った。
子どもが「我、最強!」とか言っちゃうのは、まだ分かる。言葉もあんまり知らなくてついつい使っちゃうんだよね。「最強」って字面のインパクトも強いし(だって、「最」も「強」いんですよ?)。
けれど、成長する中で他の表現を学ぶでしょう? 「最強」という言葉だけでは物足りなくて別の言葉を使ったりとか、色々あると思うんですよ。
そう考えると「最強」という言葉が非常に安っぽく感じるのです。
上手い喩が思いつかないですけど、漫画の「NALUT◯」とか「◯NE PIECE」とか、最強に変わる別の称号があるではないですか(火影とか海賊王とか)。最も強いという意味ではそちらの方が個性があって私は好きだな。
まぁ、馬鹿みたいな真っ直ぐ系主人公とかが「最強になるんだ!」とか言ってたら、思わずうるっとくるかもしれませんが。でも、そういうキャラはあんまり感情移入とかしづらいかも。彼等の行動基準が自分とあまりにも違い過ぎて、信じられないという気持ちが強くなってしまうせいですね。こういう時、素直に作品を読めない自分に腹が立ったりもします。
「最強」とは何か、と考えることもありました。
強さの基準って色々ありますよね。知恵だったり、身体能力だったり、もう様々。その度に最強最強言ってれば、最強のゲシュタルト崩壊です。どれが最強なんだ、となります。
だから一口に「最強」っていうけれど、含意が広いのです。そこが私にとって引っかかる点でありました。ある特定の分野の中の最強は、「最も強い」わけではない。限られた中での「頂点」です。頂点なのです。でもこの「頂点」も何か違う気がする。
やはり、最強にとって代わる称号が一番いいのではないでしょうか。
あえて使うとするならば、「最強の◯◯」と競う分野を特定すべきでしょう。そちらの方が潔い感じがします。きちんと自分のことを述べている気がします。
先にも述べましたが、「最強」という言葉はインパクトが強いです。その上、含意が広い。厄介な言葉です。無意識にそういう言葉を使っているとしたら、それは「最強」の魔力に囚われています。すぐに解呪が必要です。
今回言いたかったことは、「最強って言葉は陳腐、別の称号の方が厨二病患者には嬉しい」でした。
そこ、
◯の伏字が仕事してない、とか言わない。