016 爪切り に ついて
「爪」って漢字は、何かすごい。見た目が全てを物語っているような、そんなかんじ。一目見て、あぁこれは「つめ」だってなるもの。上に向かって細くなっていく形やどこかツンツンした雰囲気、これを「つめ」と言わずして何を「つめ」と言うのか。
文字に何を興奮しているのか、なんて言わないでほしい。どのようなものにも何かを魅了する引力がある。それが今回は文字だっただけの話だ。
そんな事を考えていたけれど、気になって『漢語林』で「爪」を引いてみたんだ。そしたら解字のところにさ、
<解字>
象形。手を上からかぶせて、下にある物をつまみ持つ形にかたどり、つめの意味を表す。爪の意味と音符とを含む形成文字に、抓・笊などがある。
ってあってさ。誰もいないのに赤面したよ。字義のところも見たのだけれど、結構幅広い意味があった。
<字義>
❶つめ。
㋐手足のつめ。㋑指先にはめるもの。琴爪の類。
㋒物をかけたり、ひっかくために作ったもの。
❷かく。つめで引きかく。
❸手足のつめをきる。
❹護衛するもの。「爪牙の士」
❺つかみとる。持つ。
解字には負けたけど、字義には引き分けた(謎の勝敗論)。「護衛するもの」ってところには意表をつかれたけどね。「ひっかく」だけかなと思ったら、「つかみとる」とかあるし。まぁこれは多分、字の成り立ちが関係しているんだろうけれど。
字を見ていると、そのものが持つ意味と、派生してできた意味があるなって気づく。結構楽しい。
そういえば、今回は爪切りについてだった。
流れを爪切りに移します。
爪切りですが、皆さん一度はお世話になったことでしょう。伸びていると、周りから「切れ切れ」と催促されたことも恐らくおありではないですか?
小学生の時は結構厳しかった記憶があります。服装チェック表みたいのを渡されて確認するとかあったな。中学高校も似たようなもの。あぁでも、高校はもっと厳しかったかな。月一くらいで服装検査、合格できなかったら呼び出しをくらう。じろじろ見られるし、あまり良い気はしない。身だしなみのチェックと言われたら納得するしかないのですけれど。
爪を切る時にパチンと音がするけど、あの音は結構好き。さっぱりとした心地よい音(ガム噛む時のくっちゃくっちゃは殺意さえ覚える)。丁寧に切っていって、綺麗に丸くなった爪を見ると、少し嬉しい。
私はよく、夜中に爪を切る。寝る前にすっきりした状態になるってのは結構重要なことだと思う。でも、昔「夜に爪を切ってはいけない」っていう話を耳にした。耳にしたというより、目にした。本で読んだ。
CLAMPさんの『xxxHOLiC~ホリック~』に載っていた話だったと思う。昔の夜は今みたいに明るくなかったので、手元が狂って怪我しないようにという教訓のもと、「夜に爪を切るな」という言葉が伝わったと言っていた、気がする。調べると、昔(といっても江戸時代くらい?)は、爪を切る際に握りばさみを使用していたらしい。あれで爪を切るのは難しそう。
今の時代、手ごろなお値段で爪切りを買えるので、より一層怪我をする可能性は低くなったのだろう。医療も発達していない頃の怪我は小さなものでも命を脅かしたというから、夜に爪を切るなというのは伝えていくべき言葉だったのだな。正確な言葉は「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」らしいが、さもありなん。
爪切りが無い頃、爪の手入れはどうしていたか、それは資料には残っていないみたい。まぁ、よくよく考えたら分かる話なのだろうけれど。幼い頃に爪を噛むのはやめなさい、そう言われたことがある人は自然と選択肢から外しているのではないだろうか。変に癖になってはいけないという親心ですな。噛んだ跡はギザギザでなんともみっともないのであれはやめた方がいい。ストレスで無意識にやる人もいるみたいなのでご注意を。
※ちょっと痛い話
きちんと爪の手入れをしていても怪我はする。小学生の頃、児童館の中を移動していた際に、扉に足の小指をぶつけた。最初は少し痛いくらいで、まぁすぐに治まるだろうと思っていた。しかし、いつまで経っても痛みがひかないのでちらりと見て触ってみると、足の小指の爪がパカパカ言っていた。痛みを完全に認識した途端、もだえ苦しむ。結局外れかけてた爪はぶちっと取ってやった。最近もいつの間にか足の小指の爪が取れかかっていたので引き千切った。最近の方は、痛みは無かった。それだけが幸い。
ちょうど小話もできたし、他に書きたいことも浮かばないのでこれくらいで。
最後に一言。
爪の手入れは安全な場所で、安全な時に、安全な物を使うように。
まぁ、日頃から注意していても不運は訪れてしまうのだけれど、ね。
出典
『新漢語林』初版第七刷 鎌田正/米山寅太郎 2010年4月1日 大修館書店




