108 超能力 に ついて
某『とある』小説を連想した方は、どれくらいいるだろうか。
※注意※
今回のエッセイ中において、小説及びアニメの『新世界より』についてネタバレを含んでいます。つきましては、ネタバレをくらっても平気な方のみ、お読みください。
昔は、というより、今も、「自分に超能力があったら」という妄想をしたことがあったし、することがある。念動力とか、透視能力とか、あったら面白いだろうなと考える。体を空に浮かせて飛行する能力とかあれば、毎日空を飛んでいるだろう。雲よりも上に行き、真っ赤に輝く朝日を見つめたりするのは気持ち良いに違いない。瞬間移動まで可能ならば、富士山にまで行って朝日と夕日を見つめていたい。耳が痛くなりそうだけど。
しかしこれは、超能力を安全に行使することができるということを前提にしている。身に余る力は、いずれ自分自身を滅ぼすはずだ。きちんと扱えるかどうか、がとても重要になる。包丁を例に考えてほしい。包丁は、食材を切ったりする際にとても便利な代物だ。食べやすいサイズに切ることで、調理時間を短くすることも可能であるし、必須とまではいかないかもしれないが、便利な道具だ。しかし、使い方を誤れば身体を害する刃になりかねない。うっかり手元が狂えば、肌を切り裂いて血が出る。便利な道具にもなるし、凶器にもなるというわけだ。
昨日、昔読んだ一つの小説をようやく読み終えた。上・中・下の三部構成になっていたので、読み終えるのに結構な時間がかかった。一月くらいだろうか? 当時は一日か二日で読み進めたので、倍以上の時間がかかっている。本のタイトルは『新世界より』。貴志祐介さんが書いた、長編小説だ。アニメにもなっているが、私はそちらは見ていないので、何とも言えない。ただ、エンディング曲の『割れたリンゴ』は何度も聴いた。耳に残る良い曲だ。
『新世界より』では、呪力という力を持つ人間が登場する。呪力は超能力のようなものだ。物を持ち上げたり、岩を壊したりすることができる。この力を制御するための時間は、小さな頃から取られていて、主人公たちは学校のような場所で呪力の制御を学んでいる。子どもたちがそんな力を持っているのは危険ではないか、という疑問を持つかもしれないが、この力は、人に向けて使うことが難しいようになっている。より正確に言うと、人を死に至らしめるような使い方はできないようになっている。そういう機構が人間に備わっている設定。
もし、超能力を使って人を害することができる人間がいるのなら。対抗する術を持たない者たちは、悲惨なことになるかもしれない。実際、『新世界より』の作中では、大昔にそういう出来事があったらしい。そこから紆余曲折あって、他人を害することのできない超能力者が生まれたという。力を使う者が残虐な性格であった場合というのは、超能力に限らず、現代日本でも有り得る話だし、想像に難くないだろう。
恐ろしいほどの超能力を持つキャラクターは、物語の世界に多数存在している。何も『新世界より』だけの話ではない。『〇NE PIECE』や『NARUT〇』だって、突き詰めれば超能力者たちの話だし。なろうの一部のファンタジー小説も同じだ。生まれ落ちる時に何らかの能力を授かったり、異世界転生でいくつかの能力を身につけさせてもらえたりする設定は多い。しかし、今挙げたような作品の中では、人が人を害することができる。『新世界より』は、そこが違う。超能力を使って人を害することができないように、人には枷が付けられているのだ。
けれど、何事にも例外は存在するようで、『新世界より』の作中において、超能力を使い、人を害することのできる人間というのも、確認されている。それは【悪鬼】や【業魔】と呼ばれる存在で、とても恐ろしい存在として、作中では取り扱われている。普通の超能力者は、超能力を使って攻撃できないのに、【悪鬼】や【業魔】は、こちらを攻撃し、死なせることもできてしまうのだ。ただし、【業魔】に関しては、呪力のコントロールが困難になった状態の人を指し、攻撃意思がないのに攻撃してしまうようで、【悪鬼】とはまた違った存在である。
強力な力を持った人間が恐がられてしまう理由は、分かる。自分を害することのできる力は、恐れて当然のことだ。たった一つの命を守るための、いわば防衛本能のようなものだと思う。そこから歩み寄れるかどうかは、また別の話だけれど。
今後、あるかどうかわからないが、現実の世界で超能力者が生まれ、その数が増えていった時、力を持たない人間はどのように行動するのだろう。悲劇を生むことだけは、回避してほしいと願うばかりだが、心の奥底では避けられないような気がしてならない。人は善行を積むことができるけれど、同様に、悪行を積むこともできてしまうから。
『絶対可憐チルド〇ン』や『エル〇ェンリート』も、超能力者のお話(『エルフェ〇リート』の方は【超能力者】とは言えないかもしれないけれど)。注意してほしいが、『エ〇フェンリート』に関しては、グロテスクに耐性が無い場合の閲覧・視聴をお勧めしない。エロスもあるので、そちらの耐性が無い方も控えた方が良い。ただ、見て損はない作品だと思う。




