家出少女
葬達が富永重工の社員に式神を付けてから三日目の朝
葬家一階の和装の間で眠っていた華純が目を覚ます。
『...なんじゃ、この甘ったるい桃色の気は。なにやら2階でよからぬ事をしておる気配がする...面倒じゃが確認しに行くかのう。』
二階、葬の部屋では美女と少女が互いの粘膜を交換しあっていた
「澪、もっと舌を出して...そう、絡め合うように。」
「ん、ふぁ...あ、葬さん...華純さんが、あぅ...お、起きてきちゃいますよぉ...♡」
タイトスカートを履かず下着のまま、白いワイシャツだけを着た美女の舌が少女の口腔内を舐め回す
「ふふ、構わないさ。今は、澪が欲しい...」
美女の右手が寝間着姿の少女のズボンの中に入っていく
眼は潤み、快楽によりどちらのものか分からない唾液を口から垂れ流しながら少女は囁く
「あっ、葬さ...ん、そこ、ダメェ...♡」
『アホかお前らーー!!!!』
突然扉をすり抜けて来た和服の少女が叫ぶ
葬は心底残念そうな顔をしながら澪から離れる
「チッ、見つかったか...」
華純に自分の乱れた姿を見られたことが恥ずかしくなり、口元を拭い顔を赤らめながら澪は弁明する
「ち、違うんです華純さん!こ、これにはもう大変、たーいへーん深いわけがありましてですね!」
華純は怒りに震えながら叫ぶ
「なぁにが深いわけじゃ!朝っぱらから女同士でイチャコライチャコラしおってからに!葬!お前この妾の、わ、妾の、初せ、接吻を奪っておいて、澪にまで手を出すか不届き者!!妾と澪どっちを取るんじゃ貴様は!!」
華純の話を聞き澪も怒る
「な、華純さんともキスしたんですか!!私だけだって言ったじゃないですか!どうしてそんな裏切るような真似を...!!!」
修羅場である。しかし葬は一歩もひかない
「華純と澪、どっちを取るかだって?ふっ、私は両方愛するね。だって二人とも反応がかわい...」
言いかけた瞬間、二つの拳が葬に飛んでくる。
そのまま葬は弧を描きながら宙を舞い、床へと倒れ込んだ。
『ちっとは反省せいこの破廉恥娘め。』
「葬さんは今日の朝食抜きです。せいぜいお腹を空かせて仕事に行ってください。」
浮気の被害者二人は、倒れ込んだ浮気者をそのままに一階へ降りていく。
「ふふ、二人とも良いパンチ...だ...」
そう言い残し、葬は気を失う。
一階食卓
まだ怒りの収まらない澪
「もう、ホンット信じられない!私だけじゃなくて、華純さんにまで手を出してたなんて...」
『あの馬鹿娘め、この妾の初めてを奪ったくせに他の者に浮気などと...』
怒りのまま澪が提案する。
「ねぇ、華純さん。家出しよう!私達の存在がどれだけありがたいものなのか葬さんに分からせて反省させなくっちゃ!」
澪の名案に乗る華純
『おお、家出とな...昔から憧れておったのだ、家出!しかしどこに行くのじゃ?』
任せろと言ったようなドヤ顔で澪は言う
「フッフーン、良い所がありますよ!」
数十分後、家出少女達の着いた先は一軒の古民家であった。
清掃が行き届き、まるで新築の古民家という矛盾さえ生まれるかのような場所。
澪が引き戸の横のインターホンを鳴らす。
「は〜い!」
柔らかな女性の声と共に引き戸が開く。
澪は出てきた女性に挨拶をする。
「おはようございます!懐芽さん!」
メイド服姿の懐芽が驚きの表情で澪と華純を見る。
「あら~!澪ちゃん〜!急にどないしたん~?隣の女の子はどちらさん〜?」
『妾の名は華純じゃ。色々と事情があってのぅ、今は葬の家に住んどるんじゃが...』
「突然の訪問すみません!実は私達...家出してきたんです!!」
『家出じゃ!!』
困惑する懐芽
「あ、あらあら~、とりあえず中でお話聞かせてくれる〜?」
懐芽邸 居間
状況を全て聞いた懐芽が言う。
「そんなことがあったんか~、まぁ、葬ちゃんは昔から小さい女の子が大好きやからな〜。愛ゆえに手を出してしまうんやろな〜。」
まだ頬を膨らませながら澪が言う。
「にしても節操が無さすぎます!私だけって言ってたのに...」
華純が疑問をぶつける。
『葬はどうして少女が好きなんじゃ?普通人間は異性に引き寄せられるものじゃろう。』
何かを悩むような顔をしながら懐芽は答える。
「せやな~。その理由をウチは多分知ってるけど、葬ちゃんが言うてないなら、ウチから言うのは何かあかんような気がするな〜。」
この世全ての気になるものよりも気になるというような顔をして澪は言う。
「え~!教えてくださいよ~!!私達被害者なんですよ!?秘密は絶ッッッ対に守りますから〜!」
『妾からもお願いじゃ!奴の弱みを握っておきたいのじゃ!』
悩む懐芽
「でもな~、これは葬ちゃんの口から直接聞いた方がウチはええと思うんよ〜。ウチからも葬ちゃんに話すようお願いしてみるから、堪忍してくれへんやろか~。」
根が優しいのでこれ以上は攻められない澪
「う〜、わ、分かりました。で、でも!今日はお家に帰りません!美味しいお料理を作るので今晩泊めてください!お願いします!」
『妾も葬から借りたパソコンなる機械で調べたマッサージとかいうとても気持ち良くなるらしい事をしてやるから、頼む!』
女神の様な笑顔で懐芽は言う
「そんぐらい全然かまへんで~。好きなだけ泊まっていき〜。でも葬ちゃんが心配するから一応連絡はしとくな~?」
「やったー!ありがとうございます!今日は腕によりをかけてご馳走を用意しますね!」
『懐芽や、お主は肩こりか?それとも腰か?なんなら特別に耳かきもしてやるぞ!』
可愛い妹二人に囲まれ幸せそうな顔の懐芽
「あらあら~、盆と正月がいっぺんに来たような感じやな〜。じゃあ今日は二人にいっぱい甘えよかな~。」
ピンポーン
客人を知らせるインターホンが鳴る
現実に返った懐芽が慌ただしく玄関へ行く
「はいはい〜、どちら様~って...」
そこには顔にアザを作りながらもスーツを着こなした美女、葬が立っていた
「突然すまない懐芽。澪と華純がそっちに来ていないか?」
葬が顔にアザを作っているのを初めて見た懐芽が、スーツとのギャップに笑いを堪えながら答える
「ぷぷ、き、来てるで〜。今から葬ちゃんに連絡しようと思うてた所やねん~。」
家の奥から澪と華純が出てくる
「あっ!葬さん!き、今日はそっちには帰りませんから!一人で寂しくご飯を食べてお風呂に入って寝てください!」
『今晩は妾が懐芽を気持ち良くさせてやるのでな、葬は早く一人で家へ帰るがよいぞ。』
笑顔の懐芽が追い打ちをかける
「そういうことやから〜。二人にしたことちゃんと反省しいや〜?ほなな~。」
無情にも勢い良く閉まる引き戸
一人残され涙目になりながら帰路につく葬
「な、泣くな葬。き、今日は久しぶりの一人を満喫してやるんだ。は、ハハハ、そうだビールもいっぱい買って帰ろう。おつまみは柿ピーに、牛タンに...そうだ!襲と真児、あと楓花も呼ぶか!あいつら私よりも飲むからなぁ、いや〜楽しくなってきたぞ~!う、うぅ...えぐっ、ひっく...」