豊かな国ーフトゥーロティエラー
過剰な描写が後後出てくるので、一応15禁です。更新が遅いです。
空を見上げれば温かい太陽がさんさんと降り注ぎ、大地を見れば若葉の生い茂った緑の絨毯と、実りの豊かな木々。勢い良く滑り落ちる滝とその水を緩やかに流す川。そんな恵まれた世界に私は生まれた。風と共に木々は音を奏で、動物たちは恐れることなく寄り添い、水は恵みを与えてくれた。持ちつ持たれつで共存してきた世界で私は育った。
「こんなところにいたのね、ストラ。」
このあたりで1番高い崖の上で、大地を見渡していると後ろから声をかけられた。
「イア姉様・・・。」
若葉色のドレスに草木の冠、ウルトラマリンの髪が波打つ美女が立っていた。
「また、抜け出したの?」
隣に座るとごろりと寝転んだ。私もつられて寝転がる。
「だって、毎日毎日嘘を計るなんてもう嫌だもの・・・。」
双皿の秤を思い出し、頭をふる。
「でも、嘘を計れるのは貴女だけなのだし・・・。でもまぁ、嫌になるわよねぇ。」
苦笑しながら姉様は言う。私の兄弟姉妹はそれぞれ不思議な力を持っていた。私には嘘を計る力、『ライスケール』や姉様には、大地を操る力『ブレッシングアロー』など、様々な力がある。
「私も疲れたわ。ちょっと休憩でもしましょうかしらねぇ。」
そう言うと、姉様は小さな弓と矢を出した。
「母なる大地の精霊よ、我に恵みを・・・」
ポツリと呟くと、近くのリンゴの木へ矢を放つ。矢は木に突き刺さることなく、吸い込まれて行った。姉様がリンゴの木へ寄り、額を当てた。すると、青々とした葉の中から2つの真っ赤なリンゴが実った。
「ありがとう。ストラ!」
「わわっ!」
リンゴをもいだ姉様は、私に1つ投げてきた。両手に収まりきらない大きなリンゴはとても美味しそうだ。
「いただきまーす。」
隣でシャクリと齧る姉様を見て、私も齧る。
噛んだ瞬間に甘酸っぱい味が広がる。
「美味しい・・・。」
「でしょう?」
嬉しそうに笑う姉様。桃色の耳飾りが、キラリと揺れた。長女だからか、母様に1番似ていてとても優しい。
「そういえば、アロ姉様は?」
「アロ?今日は一緒じゃなかったから・・・わからないわ。」
アロ姉様は次女で太陽を操る力を持ってる。いつもイア姉様と一緒だったのに・・・。
「きっとお仕事しているのよ。・・・私も戻らなきゃだわ。それじゃあ、また後でね。」
こくりと頷き、空を自由に飛び回る羽の生えた馬に跨った姉様を見上げる。
「テト、もうひと頑張りよ。」
テトと呼ばれた馬は羽をばさりと動かした。姉様が首を撫でると、空へと浮かび空中を蹴った。
「――私も頑張ろう・・・。」
リンゴを食べ終わり、土に埋める。立ち上がって、服についた土を払い帰り道を歩いた。