転校
発作的に書いてみました。
またエタるんだろうけど。
なんだこれは、、
なんだこれは、、
俺は二度呟いた。
だってそうだろう?
もう中学に入ろうって時に、なんで俺は田んぼで泥まみれになってキャッチボールしなきゃなんねぇんだ?
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両親が共働きだった俺は、幼い頃から家の事は一人でしてきた。
小学校四年になる春休みに母親が出ていってからは、さらに親父は帰って来なくなり、しまいには電気や電話が停まるようになってきていた。
信じられるか?バブルでブイブイ言わしてた両親は、バブル崩壊と共に次第に借金まみれになり、子供一人放置して逃げ回ってたんだ。
バブルの残滓で、高級マンションに住んでた俺は、給食の余ったパンを持ち帰りながら、休みの日は「チョコのバット」や、「うまいよ棒」とか、そういうのを三時間に一本とか決めて食べていた。
自分からは何も言わずに、たんたんと日々を過ごしていた俺は、状況に気付いた祖父母に引き取られることになった。
とりあえず、小学校卒業まではそこにいて、中学と同時に引き取ると。祖父母は、まだ親父が戻ってくると思っていたらしく、すぐには引き取らないと。また、近所に外聞が悪いから、実家の跡取りとして中学からこちらに来ると近隣に根回しすると。
あー、そーいうね。愛とかないな、うちは。そういうもんか。友達んちとか、あんなに皆でベタベタしてるのに。
お金なんていらないから、ずっと一緒にいてくれる人が欲しいなぁ。
物心ついた頃からずっと言っている独り言を、今日も繰り返しながら、祖母から送られてくる一万の生活費と米と味噌を片付ける。
来月で卒業だ。この苦行みたいな日々も、いい加減終わるだろう。友達は少ないがいたし、女子のうち数人は話せるやつもいる。
まぁ、家庭環境バレバレだったせいで、潔癖なやつとか、品行方正なやつとか、結構蔑んでくるやつもいたけども。
「さて、宿題やらないとな、、明日は部活出るか、、」
部費(月2000円ね)が払えず、ずっと行ってなかったが、背だけは高い俺は、バスケ部に所属していた。背番号は8番。レギュラーである。
夏休みの合宿ごろまできちんと行っていたが、そこで細々と残っていた貯金が切れて、最後の大会が終わってから、部費が払えなくなっていた。
ただ、今月はもう卒業も近いし、練習相手が必要ということで、俺達優勝メンバーは、部費が免除ということになっていた。
そうして、卒業式で一人だけ学ランを着た俺は、最後に女子から告白の手紙を受け取るという一大イベントをこなしながら、卒業していった、、、、、
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で、なんで俺は田んぼでキャッチボールしてんだ?
「そんぐれぇ捕れやぼけなす!都会ん子はもやしって本当なんだべか!」
おおう、、しかもいまいち聞き取れない。そもそも野球よりサッカーのが好きだし!バスケならお前らに負けないし!田んぼじゃどっちも出来ないだろうけど!!
じいさんは東京の大学出てるし、婆さんも花嫁修行とかで都会に出て下働きしてたらしいし、父親も都会の大学出てるし、はっきり言って我が家には訛りがない。
あぁ、しかもなんか、今、階級付けが済んだ気がする、、
婆さんの声かけで、郷の上組の同級生の男子が全員(俺含めて5人)集められ、俺のお披露目となった。まぁ、おやつ(かぼちゃの煮付け)を食べて、そのまま外に出て、いつも皆が遊んでる所に行くぞってなったからなんだが、、
今日は、4月1日。嘘だと言ってくれ、、
田舎っていいよねぇ、、子育てするんなら。