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ただの召喚士(本人自称)  作者: 進夢 ロキ
第3章 ダンジョン攻略
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四十七話 戦績

更新時間ミスってしまいました……。

「お主の飛行能力については後に伺う。今はお主のその能力を利用して、あやつにトドメを刺してもらいたいのだ」

「トドメ……」

「作戦は、あやつは盲目になっても浮遊はし続けるようだ。だから、あやつとほぼ同じであろう能力を持つお主が、あやつに剣を入れるのだ」


  インダルは、サクラに頷く。

  サクラはそれに同じ動作で返し、トドメを刺す決意を固めた。

  前に戦闘した、殺気際立ったヴリトラと比べ、今回の作戦は簡単だ。

  インダルの発光により盲目になる魔物を。何の抵抗もない魔物を殺めるだけでいいのだ。


「準備はできた?」


  チブルは今にも身体を動かしたくてウズウズしているようだった。


「ああ、作戦開始だ!」


  そう叫ぶと同時に、インダルは薙刀に炎属性のパワーを溜め始めた。

  直後にサクラ、チブルも動き出す。

  目指すは天。チブルは慣れた動作で壁をよじ登っていく。

  盲目から回復した魔物は、再び瞳の中心に青白いエネルギー弾を作り出し、チブルに向けて発射する。

  チブルはそれを、跳んで避け、壁に爪を引っ掛けて再度登り始める。

  エネルギー弾は弾幕のように飛んでくるが、小柄な身体を生かして弾幕の隙間という隙間を縫って、さらに上昇。

  ついに魔物と同じ高さまで上昇すると、声を上げて威嚇をし、注意を惹き付けた。

  魔物がチブルに釘付けになっている間、サクラは魔物の真下に回り、視界に入らない位置で待機する。

  ポジショニングはこれでOKだ。あとはインダルの目眩し攻撃の完成を待つのみだ。


「私も頑張っちゃうよー!」


  弾幕を避けながら、チブルは魔物に向かって叫び、そして壁を蹴って先程のように魔物に飛びついた。

  今回は飛びつかれていても瞳でチブルが見える位置に飛びついていた。


「チブルさん危ないっ!」

「へっへーん、サクラちゃん大丈夫だよ〜!」


  サクラはチブルに手を伸ばしたが、ウインクしながらそう返される。

  何が大丈夫なのか分からない。

  今にも魔物は暴れ出そうとしている。

  危険を察知し、サクラはチブルの元へ向かった。


「……ねぇねぇ、さっきは……ごめんにゃ、ゆるしてくれないか……にゃぁ」


  サクラの制止も気にせず、チブルは目の前の魔物に上目遣いで頬を赤らめてそう言った。

  その表情は、目に涙すら浮かべていて、純真無垢な少女そのものだった。


「は?」


  サクラはチブルがいきなり見せた愛らしい様子に、遠目ながらもハッと頬を赤らめた。

  可愛い。可愛らしすぎる。サクラは犬派だったはずだが、チブル自身の影響で猫派になってしまいそうだった。

  もっともチブルは獣人なのだが……。


「ゆるしてくれたら……なでなでする……にゃ?」


  続けてチブルは口元に人差し指を当てながら、引き続き上目遣いで魔物に問いかけた。

 

「チブルさん、何をやって……」


  サクラは意味がわからないままチブルを赤らんだ顔で凝視していた。

  するとどうだろうか。何と魔物は瞳に桃色のハートの形を映し出し、その真ん中には「なでなでして!」と書いてあった。

  目をハートにするとはまさにこのことだろう。

 

「ありがと、魔物さんのこと、大好きだにゃ」

「ゔぇっ!? 大好き……?」


  チブルから衝撃の言葉を聞き、サクラの赤い顔は徐々に青ざめていき、手足が震えだした。

  構わず、チブルは右手をなでなでしてマークのハートの横に持って行き……


  爪を立てて左斜めに引き裂いた……。


「今までのは全部嘘にゃぁ〜」


  右手を抜き取り、人差し指を立てて、下を小さく出しウインクした。

  その小悪魔(チブル)は魔物を蹴って飛び立ち、再度壁に張り付いた。

  魔物は引っかかれたり蹴られたりで、目に映っているハートは割れ、じたばたと痛みを身体で嘆いていた。


「完了した! 今より放つ! チブルは某に向かって落下せよ!」


  インダルの声が天空に響き渡った。

  サクラはその声に喝を入れられたかのように、青ざめた顔をブンブン振るい、正気を取り戻す。

  チブルはその声にニヤリと笑い、言われた通りインダルが真下に来るように跳び、光が自身の目にも影響されないようにと、インダルに背を向けて、そのまま落下した。


「私はこっちだよ〜!」


  そして、痛みが治まった様子の魔物に向けて手を振って叫ぶ。

  魔物はチブルを見つけるなり、因縁を込めた様子で目にエネルギーを蓄積し始めた。

  だが、もう遅い。

  サクラが目を腕に伏せた瞬間、インダルの目眩し攻撃が放たれ、辺りは一瞬白い光に包まれた。

  そして世界は光から解放され、サクラは顔を上げた。

  作戦通り、目玉の魔物は光の世界に陥ってしまっている。

  やるならいまだ。


「行けぇっ! サクラッ!」

「はいっ!」


  身を羽にすると同時に、渾身の力を込めて、一気に上昇する。

  手のひらをサイトのように使って攻撃位置を絞り、刃を魔物へと定める。

  魔物は依然として、光の中をフラフラと彷徨っている。

  光が薄れるまではまだ時間がかかりそうだった。

  これなら、一撃で決められる!


「てぇやぁッ!」


  剣先と魔物との距離、僅か数センチ。

  渾身の力を込め、剣を前へ、瞳の中心へと撃つ。肉を抉るのとは別の感触が、腕に走っていった。

  刹那、魔物はどこからともなく痛みを嘆き、その痛みの根本を理解することもなく、絶命した。

  白い眼球からは瞳が消え、そのものはただの巨大な白い球体となった。

  突き刺した時と同様に、渾身の力を右手に込めて剣を抜き去ると、白くて透明な液体が噴き出した。


「やった! やりました!」


  サクラは魔物の亡骸から飛び去りながら、歓喜の声を上げて両手を広げながら地上へと戻っていく。


「やったねっ! サクラちゃん!」

「やったなサクラ」


  二人はサクラと同様歓喜の声でサクラを迎えた。

  そして……


「結界とまほじんできたべさぁ!」


  ヌーバの特徴ある言葉が、サクラ、チブル、インダルの脳内に響き渡った。

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