M・E・M・O・R・Y
第一章 予兆
時は西暦3400年各地で原因不明の病気が日本で流行していた。 【「おはようございます。モーニングステーション、アナウンサーの西山 花です。昨日も原因不明の病でお亡くなりなった方々が三十五名、これで犠牲者は約十七万人となりました。北本先生この病気は一体何なのでしょうか」 「朝、体をまるで刀で切られたような傷から血が溢れだして死んでいる、ということですが恐らくウイルス性のようなものでしょう。」】 こんな感じでいつもニュースがこの知らせから始まる。僕が通っている中学でも五人ぐらいが死んでいる。今、こうしてごはんを食べている間にも犠牲者は後を絶たない。
「優一!学校に遅れるわよ!」
僕の名前は北見 優一、本城中学の二年。
「北見、犠牲者ついに十七万人だってマジやばくね」
こいつが親友にして幼馴染の青山 信ようきな奴でいつもねぐせを頭につけて登校してくる。僕らは蝉の音を振り切って学校へ急いだ。
「北見、青山二分の遅刻だ廊下に立ってなさい。」 ホームルーム終了後・・・
「一体これで何回目だと思っているんだ!いつもいつも遅刻ばかりして一体どういうつもりなんだ!」 いつも以上に迫力のある怒り方に僕らは職員室でちびりそうになった。
「すいません明日はちゃんと来ます」
僕がいつも謝るが青山はいつもちょっと頭を下げているだけで声も出さないが今日は、さすがにまずいと思ったのか、今日はちゃんと謝った。
そして放課後・・・ 「いやぁ~今日の大山先生の怒り方はんぱなかったなぁ~」
こいつは全く反省してない、彼がようきなことを改めて実感した。家に帰ると母がテレビを釘ずけになって見ていた。
「優一!あの病気の正体がわかったらしいのよ」
僕もソファーに腰をかけてテレビを見た。 【「えー速報です。あの病気の正体が解明された、と厚生労働省から中継です。太村さん。」「はい、こちら記者会見の様子をおつたえします。」《「この病気は悪性腫瘍0-56、と言われるものです。この菌は体内に入ってもなんの症状もないのですが朝になりますと菌が大量発生し患者を死に追いやるのです。」「菌のワクチンは?」「今のところその様なものはなく治療法も見つかっていません。」》】 僕は言葉を失った。これでは犠牲者が増え続けていく一方ではないか。 次の日・・・
「北見、あのさぁ~」
「なんだよ改まって」
「大山先生が死んだって・・・」
「はぁ~んなわけあるかよ冗談よせよ」
「冗談なかじゃねぇ!放課後の帰り道、近所のババァ共が話してたんだ、大山先生が死んだって」
電話の向こうで青山が泣いていた。こんな青山初めてだ。大山先生は昨日の朝、例の病気によって死んでいたらしい。今日の学校で大山先生は風邪で休んでいる、と聞いていたがそれは学校が生徒に大きなショックを与えると思い嘘をついたらしい。なんとも迷惑なことである。今日は日曜日だというのにこんな電話から一日が始まると思うと僕も泣けてきた。 その次の日・・・ いつものように青山と朝の廊下を通り教室に向かっていた。だが、その途中で事件は起こった。なんと教室のドアの前に人が倒れており血が廊下を真っ赤に染め上げた。ある人は叫び、ある人は茫然と見つめた。僕らはただ茫然と見ているしかなかった。数時間後、警察の人達が学校を訪ねてきた。
〔二年二組 北見 優一さん・青山 信さん至急個別相談室に来てください〕
校内アナウンスが教室に鳴り響いた。あれ?まてよ普通呼び出すなら職員室が一般的のはずだ、なぜわざわざ個別相談室などというところに呼び出す必要があるのだろうか?そんなことを、僕らは疑問に思いながら相談室に向かった。
「そこにかけてくれ」
殺風景な部屋のなかにはまるでドラマなどでよく見る警察署の取り調べ室のようになっており中年の警察官の二人組が面接をするような体制で座っていた。
「君たちに聞きたい事があってね」
「なんですか?」
青山が真剣な顔をして聞いた、すると
「実は君たちに逮捕状が出ているんだ」
「え?一体何の罪で?」
「殺人の罪だ、君たちの部屋から例のウイルスの入った瓶が見つかった」
僕らには一瞬警察官が何を言っているのかわからなくなった。その後、僕らは無罪を主張したが僕らに下された判決は死刑だった。刑務所につくと早速、牢屋の中に入れられたのだがそこには何人もの中学生がいた。
「北見、これ・・・一体どうなってんだ?」
僕が話そうとしたその時大きい牢屋の中のモニターが一斉につけられた。