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番外編:新婚旅行

「……ねえ、アルフレッドさん。本当に私たちが二人っきりで旅行なんて、夢みたいですね」


空飛ぶ巨大な魔導艇のデッキで、寧々は心地よい風に吹かれながら隣の夫に微笑みかけました。

新婚旅行の目的地は、地上数千メートルに浮かぶ『天空島・アイテール』。そこは一年中春のような気候で、神々が食したと言われる「虹色の果実」が実る、美食家たちの聖地です。


「ああ。魔王や王子の邪魔が入らない場所となると、空の上くらいしかないからな」


アルフレッドは少し照れくさそうに、寧々の肩を抱き寄せました。かつての硬すぎる甲冑を脱ぎ捨て、柔らかな旅装に身を包んだ彼は、騎士団長という重責から解放され、一人の「恋する夫」の顔をしています。


二人だけの「共同作業」


天空島に到着した二人が最初に行ったのは、観光……ではなく、やはり「食材探し」でした。


「見てください! あの岩場に生えているの、『星屑のハーブ』ですよ! 焼いたお肉にかけると、口の中で星が弾けるみたいに美味しいんです!」


「わかった、私が取ってこよう。寧々は危ないからここで待っていろ」


アルフレッドが軽やかな身のこなしで断崖絶壁からハーブを摘み取り、寧々がそれを規格外の浄化魔法で最高の状態に仕上げる。

新婚旅行だというのに、やっていることはいつもの「狩りと調理」ですが、二人にとってはこれ以上ない幸せなコミュニケーションでした。


夕暮れ時。二人は島の端にある、雲海を一望できるコテージのキッチンに立ちました。


「アルフレッドさん、玉ねぎの微塵切り、すっごく上手になりましたね」


「……君の隣でずっと見ていたからな。これくらいはできないと、夫として失格だろう」


背後からそっと抱きしめられながらの共同作業。寧々の心臓は、高地の薄い空気のせいだけではなく、彼の甘い囁きのせいで激しく高鳴っていました。


雲の上の、甘い誓い


出来上がったのは、天空島の食材をふんだんに使った『星降るパエリアと、虹色果実のコンポート』。


キャンドルの灯りが揺れるテラスで、二人はグラスを傾けます。


「……寧々。改めて、私の妻になってくれてありがとう。君がこの世界に来て、私の胃袋と……心を掴んでくれたことに、感謝している」


「私の方こそです。アルフレッドさんが私の料理を『美味しい』って食べてくれるから、私はこの世界が大好きになれました」


食事を終え、夜風が少し冷たくなってきた頃。アルフレッドは寧々の手を包み込むように握り、真剣な眼差しで見つめました。


「これから先、どんなに平和になっても、あるいは新たな危機が訪れても……私は君を守り続ける。君が作る温かい食卓を、一生かけて私が守る。だから——」


アルフレッドは寧々の指先に、誓いのキスを落としました。


「明日からは、もっと私の前で甘えていい。……聖女としてではなく、ただの寧々として」


「……はい! 私、世界一幸せな食いしん坊になります!」


空には満天の星。下には静かな雲海。

邪魔者のいない二人だけの夜は、どんな極上のデザートよりも甘く、ゆっくりと更けていきました。



数日後。王都に帰還した二人を待っていたのは、涙目で「腹が減って死にそうだー!」と叫ぶ魔王ゼノスと、山積みになった公務の書類でした。


「おかえりなさい、寧々さん、アルフレッド様! お二人がいない間、王宮の食堂はまるでお通夜のようでしたよ!」


寧々は苦笑いしながら、リュックから天空島のお土産を取り出します。


「ふふ、お待たせしました。今夜はみんなで、お土産の食材を使ってパーティーにしましょう!」


アルフレッドは、隣でエプロンを締める愛おしい妻の横顔を見て、小さく微笑みました。

彼らの物語は、これからも美味しい香りと、止まらない「おかわり」の合図と共に、永遠に続いていくのです。

これで終わりです!

最後まで見てくださり、本当にありがとうございました!

2日足らずで終わってしまいましたが、またいつか新しく投稿していこうと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします!

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