モテ期到来?
彰文と別れてから楓とつるむか一人でいるかの生活に戻ったが、しばらくしてちょっとした変化が訪れた。同学年や先輩からデートに誘われたり、いきなりコクられたりが極端に増えはじめたのだ。以前までの私なら断りもせず遊びまくっていただろう。
しかし、楓の“早く彼氏ほしいからって焦りすぎなのよ”という言葉が頭をよぎりトラウマも相まってかすべて断ってきた。
「今からどこ行くの?」
「かわいいね。奢るから飯行こ?」
「俺たちとカラオケ行かね?」
学校だけじゃなく、外でナンパされることもしょっちゅう。今までこんなことなかったのに高校生になった途端コレだ。その度に“めんどくさい”とか“彼氏いるから”とウソをついて断り続けた。前なら飛びついていたが、今となっては正直ダルいばかりだ。
彰文にコクられた時もそうだったが、私が男に声をかけられるようになってから優太がちょくちょくからかってくるようになった。
「お前、またナンパされたのか? モテるって辛いねぇ」
「ハハハ、おもしれぇじゃねぇか。彰文とお前が付き合うなんてな。どうせすぐ別れんだろ?」
優太に絡まれる度、無視したり文句を言ったりするが彼はやめるどころか私が嫌がるのが面白いようでますますヒートアップし、しまいには楓に怒られて大人しくなるというパターンがしばらく続いた。
「ちょっと優太! また華恋にちょっかいかけてるの? 嫌がってんだからやめなって」
「マジでおもしれぇんだもん」
「怒るよ? 今のうちにやめときな?」
「は……はい」
私には楓のことをなんだかんだ言ってたくせに、本当は頭が上がらない。そんな優太が不思議でたまらなかった。
「ねぇ、優太。なんで楓と私であんなに態度違うワケ? 気に入らないんだけど」
「だって楓の方が可愛げあるし、お前よりは好きだからな~。あはは」
「楓に言うから! またバカにされたって」
「頼むからそれだけはやめてくれ」
「あんたさ、私が男から声かけられるようになってからちょっかいかけてくるけど、僻んでるの? あ! もしかして私のこと好きとか?」
「バッカじゃねぇの? 誰がお前なんか好きになるか。天と地がひっくり返ってもないわ」
思えば小さい頃からいつも私に対してこんな言い方ばかりだったような気がする。いつになったらマシになるのだろう? ずっとこのままかもしれないが、気にするだけ損なので流し続けてきた。
「華恋、大丈夫なの? 優太のことで何かあったらいつでも私に言っていいんだからね?」
「大丈夫大丈夫、慣れてるから。アイツがああなるのは楓が見てない時だけだし」
優太がちょっかいかけてきて、楓が陰から見ていた時は心配して声をかけてくれたが私は全然平気なので笑い飛ばしていた。たまに気に入らないとか、カチンとくることはあってもすぐに元通り。慣れというのは怖いものだ。
その後も校内や外でナンパされる日々が続き断っていたものの、少しずつナンパに乗るようになった。いつまでも断り続けていたら出会いがなくなると思ったからである。
「おーい桜井! 今日カラオケ行こうぜ」
「たまにはいっか」
「お姉さん、かわいいね。ちょっとお茶しない?」
「お茶だけならいいですよ」
「華恋ちゃん、俺たちとファミレス行かない?」
「先輩たちとなら楽しそうだから行く~」
こうして少しずつ遊びに行くようになったが、私は自分の変化に気づきつつあった。そう、確実に明るくなっているということに。実際、本当にカラオケやお茶やご飯だけでそれ以上のことはなかった。
昔の暗かった自分がいなくなり、同性の友達も増えていったが、よく考えてみると彼氏を作る一番手っ取り早い方法は“焦らず明るく、同性にも異性にも好かれること”なのかもしれない。




