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スピード破局

 彰文と付き合って1ヶ月後、私たちは早くも破局の危機を迎えていた。理由はお互いの好みの不一致で、例えば彼はゲームに興味があるが私はまったく興味がない。新しいゲーム機などが出ると買わずにはいられずすぐ買ってしまう。

 デートはゲーセンが多く、私はただ彼のゲームをつまらなそうに見てるだけ。食事をしていても、彼は必ず調味料をドバドバ使うのに対し私は素材の味を楽しみたいのでほとんど使わない。

 学校ではベタベタしたくないのに、休み時間の度に私の教室へ来てはデートに誘うの繰り返し。私と付き合う前は地味な目立たないヤツだったのにすごい変わりようで、いい加減うんざりしていた。




「華恋、帰ろうぜ」


「学校ではあまり関わらないでって言ってんでしょ!」


「付き合ってんだからいいじゃん」


「からかわれたりしたら嫌だから」


「どっか行こうよ」


「どうせまたゲーセンでしょ? いい加減飽きたんだけど」




 こんなやり取りが毎日のように続くので、疲れた私は別れを切り出すことに。




「ねぇ、山岡。あんたさ、私と付き合ってから調子乗ってるよね? いい加減、疲れたんだけど」


「別に調子乗ってるわけじゃないよ」


「デートもつまんないし、ご飯食べに行っても調味料ドバドバ使うしで嫌なんだけど」


「そんなの好みの話じゃないか」


「やっぱり私とあんたじゃ合わないよ。もう別れよ?」




 私が別れを切り出すと彼の顔はみるみる不機嫌になっていき、掌を返すように言い放った。




「ふーん、華恋て結構めんどくさいタイプだったんだな。中学時代から友達いなかった理由、何となくわかった気がするよ」


「は?」


「顔はかわいいのにもったいねぇの。なんで佐倉がお前と仲良くしてるのかわからん」




 彼のあまりに身勝手な発言と無関係の楓を出したことに堪忍袋の緒が切れた私は、ここぞとばかりに言い返す。




「は? 楓は関係ないでしよ! あんた何様? だいたい、付き合ってた時もあんたのわがままに私が合わせてばっかりだったじゃん。私はあんたの家来じゃない!」


「別に家来だなんて」


「聞け! クズ野郎。せっかく初めての彼氏でこれから楽しみだったのに、よくも台無しにしてくれたわね。私の初恋愛返してよ! それに私の親友悪く言ったら許さないから」


「お前がそう思ってるだけかもな。望み通り別れてやるよ」


「大っ嫌い! 一瞬でもあんたを好きになった自分が恥ずかしいわ」


「そこまで言うか」




 こうして私たちは交際1ヶ月というスピード破局を迎えたのである。こんなのスタートラインどころではない。




「やっぱりね。だからやめときなって言ったじゃん、華恋にアイツは合わないってわかりきってたし、早く彼氏欲しいからって焦りすぎなのよ」




 彰文にコクられてから、楓にだけはすべて話していたが猛反対されていた。中学時代も何人かと付き合ったがすべて上手くいかなかった話も聞いてはいたものの、早く彼氏が欲しかった私は楓の話も聞かず付き合ってしまいこんな結果になってしまった。

 付き合ってる時も“別れた方がいい”と言われていたが、楓が彰文を好きだと勘違いして怒らせてしまったこともある。




“華恋の人生だから好きにしたら?”




 こんなことを言われたので“終わったな”と思ったが実は陰からそっと見守ってくれていた事実を私は知らなかったのである。

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