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高校生活の始まり

 私は桜井華恋。中学を卒業し今日から女子高生の15歳だ。中学時代は友達が少なく、一人でいることが多かったので正直、不安しかなかった。




「ヤベ! 遅刻だ。ま、いっか」




 朝から焦ってもしかたないので、ゆっくり準備し朝ご飯のおにぎりを頬張っていると母の怒声が響き渡った。




「華恋! 早くしなさい。遅刻するわよ」


「ちょっとくらい遅れてもどうってことないでしょ?」


「早く行きなさい!」


「わ……わかったわよ」




 食べかけのおにぎりを口に放り込み、学校へダッシュしながらお茶を流し込んだ。ギリギリだったが何とか滑り込みセーフ。教室に入ると一人の女の子に話しかけられた。ちなみに私は1年A組である。




「華恋、遅いぞ?」


「楓が早すぎるのよ」




 彼女は私の親友である佐倉楓。一人で過ごしていた私を気にかけ声をかけてくれ、仲良くなった。人と関わるのが苦手な私にとって唯一の友と言っても過言ではない。



「おい楓、コイツに何言っても無駄なんだからほっとけって」


「優太、何回も言ってるよね? 私と華恋の関係には口出さないでって」


「わかったよ」




 コイツは雨宮優太、幼稚園からの幼なじみで腐れ縁。性格も私と真逆で明るく社交的だが、ハッキリ言って仲は良くない。

 親同士の仲はとても良く、お互いの家に集まるなどよくあるくせに、子供同士の仲は悪いという奇妙な関係だ。楓と優太は仲が良いのでなぜこんなヤツと気が合うのか不思議でしかたない。




「おはよう。席つけよ~」




 みんなが教室で騒いでいると担任がきた。優しい感じの笑顔がかわいい先生で騒いでいたことを怒ることもせず、自己紹介をして今日1日の予定を教えてくれた。




「今日からこのクラスの担任になる藤崎勝彦です。よろしく! 教科は国語で歳は30歳。趣味は料理」


「結婚はー?」


「してるよー」




 そう言うと担任は左手の薬指にキラリと光る指輪を見せてくれた。




「入学式が終わったら、学食でお昼食べてホームルームのあと解散。明日からは学食でも弁当でも持ち込みでも自由にしていいからね」




 そして私たちは体育館へ移動し、やがて入学式が始まった。校長の長い長い挨拶や各教科担当の紹介、生徒代表挨拶などを経てやっと入学式が終了した。

 その後、学食に移動し学校が用意してくれた弁当を食べて教室に戻り、軽くホームルームをして解散した。高校生活のスタートラインには立ったが、私はこの3年間で恋のスタートラインには立てるのだろうか? こうして、私の高校生活は幕を開けたのである。




「桜井さん」


「誰?」




 翌日、登校するや否や知らない男の子に声をかけられ、驚いた私は思わず冷たくしてしまう。




「俺、隣のクラスの山岡彰文っていうんだけど、覚えてない?」


「は? 知らない」


「中学の時、3年間同じクラスだったんだけど」


「山岡……山岡……、あ! もしかして私と同じであまり目立たなかったあの地味な山岡?」


「そう、その山岡」


「あんたもこの学校だったんだ?」


「滑り込みで何とか入れた」




 彼は山岡彰文。中学3年間同じクラスだったが、喋ったこともないため一瞬わからなかった。私と同じく人と関わるのが苦手でいつも隅っこの席でボーッとしているだけだったので、よくみんなから「後ろの二人暗いヤツらだよね」なんて言われていた。




「で? 何か用?」


「あのさ、急でびっくりさせちゃうかもだけど、俺と付き合ってくんない?」


「は? え? いきなり何言ってんの? 話したこともなかったんだけど」


「いわゆる一目惚れってやつかな? こんな性格だから告白どころか話しかけることすらできなかったってワケ」




 いきなりコクられて私は頭が真っ白になった。今まで彼氏どころか好きな人すらできたことがないのに、ましてやコクられることなんてあり得ないとさえ思っていたのにびっくりである。




“タイプじゃないけど恋のスタートラインに立てたかも。このまま玉の輿狙ってやる”




 心の奥底でそんなことを思いながら、彼のこともよく知らないのにOKしてしまった。きっと早く彼氏欲しいという気持ちが勝っていたからだろう。




「別にいいけどつまんないよ?」


「やった~」




 私の本心など知らない彼は子供のようにはしゃいで喜んだ。これで私にとって初彼氏となったわけだが、上手くいくかはわからない。恋愛ってどうすればいいのだろう。これから普通の勉強と恋愛の勉強で大変なことになりそうである。

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