ep3
幼少期をどこまで細かく書くか、気分次第です。
俺は3歳になった。
この幼い体はすごい。
覚えようとすれば、スポンジのように吸収してどんどん成長する。
言葉、常識、体の動かし方。
元の知識が生かせるところはたぶん、体の動かし方程度かもしれない。
言語は全く聞いたことないものだったが、単語と文法は日本語に近いように思える。
常識はあまり変わらないのが救いか、赤ちゃんだから多めに見てもらえるところも多い。
こんこん、とドアがノックされる。
「はーい!」
「セバスでございます。昼食の用意が出来ましたのでお迎えに上がりました。」
「わかった!今行く!」
そういってベッドから出て扉を開き、食堂へと向かう。
歩けるようになった体を動かすのは楽しい。
足が短い為、おぼつかない足取りでちまちまと食堂へ向かう。
セバスはこちらのペースに合わせてゆっくりと歩いてくれる。
ふと、後ろに気配を感じて振り返るとミューシャが物陰に隠れるのが見える。
転ばないように心配しているわけではない。
歩く姿を見てニマニマしているのを見ると、かわいいもの見たさだろう。
中身は大人のため、こうも見られると少し気恥ずかしいがだんだんと慣れている自分もいる。
「あっ!」
足を引っかけて転びそうになると、頭から転倒しそうになる。
すんでのところで衝撃は来ない。
そう、さながら〇イケルのゼロ・グラヴィティのように倒れる所で制止する。
「あらあら、あぶないわよ~」
長女のアリアがどこからともなく現れてゆっくりと体制が戻っていく。
魔力の高いアリア姉さんは、こうして遠くからものを操作してケガしないように助けてくれる。
「ありがとう、アリアねーさま!」
「気を付けるのよ~。ケガしたら痛いもの。」
「うん、きをつける!」
そう、アリア姉さんは過保護なのだ。
何をするにも、危なくなったら助けが来る。
危ないことをしようとするとやんわりと止めに入る。
セバスが助けなかったのも、おそらくアリア姉さまに言われているのだろう。
アリア姉さまと、いつの間にか合流したミューシャ姉さまと一緒に食堂へ到着した。
「では、食べようか。」
「そうね、冷めないうちに召し上がれ」
「いただきます!」
この世界の食事は前世界より劣っているが、よくある調味料が無いといった事もなく
質素ではあるが、領主だからかこの世界ではまぁまぁ上等と思われる食事だった。
パンにスープが定番、そこに野菜のサラダや肉料理。
和食が恋しくなるころには麦飯ではあるものの川魚等と一緒に出てくることもある。
正直、めちゃめちゃ優遇されているなぁと思う。
この世界でよかった。
食事が終わり、父アレクシスは腹ごなし剣の訓練をするという。
ミューシャもそれについていく。
母ミシリアは孤児院へ行くといい、アリア姉さまを連れて出かけて行った。
俺は外へ出ることもなく、自室へ戻る。
文字が読めるようになったためいくつかある本を読み、文字の練習をすることにした。
さて、この世界を知る限りの範囲でまとめてみよう。
まず、この世界には魔法があり争いがある。
世界は大きく二つに分かれており、人間やエルフ等といった様々な種族の住むヨークシア大陸。
それから、魔族や魔獣の住むギルバ大陸だ。
地形についてはまだ把握できていないが、ここユーシス領はギルバ大陸寄りの場所にあるという。
その為、時折魔獣が出てはアレクシス率いる民間討伐隊が倒していたりもする。
まぁよくある中世ヨーロッパに近い世界観ではあるが、何より魔法がすごい。
基本的に、大体の種族が魔法を扱える。
もちろん、種族間での優劣はあるものの基本的な扱い方は同じ。
空気中の魔ソと呼ばれる物質を吸収し、体内循環にて魔力となる。
魔法にも、二種類の使い手がいる。
一つ目は、主流の魔術師だ。
魔術師とは、自身の魔力を消費して魔力媒体から魔術を発動させる者を指す。
魔術媒体はペンダントや指輪・首輪に杖と様々な形がある。
ミシリアは杖、アレクシスは剣と、様々なもので発動させている。
もちろん、魔術媒体なしでも詠唱によって発動させることも可能だ。
詠唱をしない場合の補助機、といったところだろう。
二つ目に、精霊魔術師がいる。
文字通り、精霊とともに魔法を使う。
精霊とは空気でいう植物のような役割があり、魔力の無くなった魔ソを取り込んで魔力を含んだ魔ソを排出する。
精霊は、気に入った者の魔力によって姿を現しその魔力を消費する代わりに術者の意図した魔法を発動してくれる。
精霊とともに、となっているのはそのためだ。
もっとも、精霊に気に入られる条件は語られておらずユーシス家ではアリアのみとなっている。
そもそもの精霊魔術師の数が少ないのと、精霊が協力しないと成り立たない性質上細かいところまでは研究が進んでいない。
と、語ったはいいものの大体が本に書かれている内容であり実際はどうなのかは使ってみないと分からない。
俺は確実に魔術師側だろうとおもう。
なぜって、俺が近くにいるときアリアが精霊と話しているところを見たことが無いし存在を感じたこともない。
俺以外はみんな見えているような話をしているので、俺に才能が無いだけなのかもしれないが。。。
そして、世界の内情についてだが・・・
これについてはよくわからない。
なぜなら、歴史書はこの家に置いてないし外にも出ていないからだ。
そのうち分かっていくことなのだろう思っている。
つまり、今覚えるべきは魔術。
ミシリアが魔術師の専門なのか、魔術について記載された本がいくつか置いてあるため
その本を中心に魔術が扱えないか奮闘する日々を送っている、というわけである。
そうして、俺の幼少期は過ぎ去っていく・・・のか?




