エッセンシャル・ワーク Part.1
ミア……ミア……
ミアの、マンコ。
貫通された、マンコ。
それも、配属初日の新人に……ッ!!
クソクソクソクソクソシコシコシコシコシココココ!!!!
……
深呼吸。
でも、これからは、僕だけのもの。
マンコも、オッパイも、眼鏡も、唇も、脚も、髪も、皮膚も、目も、言葉も、香りも……
ずっと、俺だけのもの。
君に降り掛かる火の粉は、俺が払うからね。
俺が、護るからね……!
い、いきそう!
うぅっ!
ジリリリリリリリリリリン!!!!!!!
鳴り響く目覚まし時計。
深層を漂っていた俺の意識は、ゴミ臭い掃除部屋へと引き戻される。
「はは……夢の中でもオナニーかよ……」
俺は、朝勃ちした自分のペニスを見る。
……
はぁ。
せめて、射精までさせてくれよ。
欲を言えば、セックスの夢が見たいのだが。
どうやら、体験した事の無い夢は見れないらしい。
俺は目を擦りながら、手元の小さなランプに火を点ける。
エンチャンターの朝は早い。
討伐のため、朝6時には起床するクランメンバー。
彼らの装備に強化付与をする為、エンチャンターは、それより3時間半も早く起きなければならない。
まだ鳥の鳴き声も聞こえない、深夜のロビー。
入りたての頃、作業のため照明を付けたら、目覚めたメンバーにフルボッコにされたっけ。
俺は、仰々しく飾られた各メンバーの武器ケースを机の上に展開する。
そして、ファイラに纏められた大量の紙から、今日の分を取り出す。
紙。すなわちチェックシート。
俺は、ヘッダーに日付を書き入れると、チェック表を埋め始める。
『サン 装甲 兜◯ チェーンアーマー ◯、レギンス ◯、ブーツ △、剣 ◯、備考 ブーツに若干の消耗あり。剣の柄を新調。魔力容量低下中。……』
こういった具合の項目チェックを、全メンバー、全装備に対して行わなければならない。
……
気が遠くなる作業だ。
「バトルアクス、クロスボウ、ヘルメット……」
俺は、装備名を小声で読み上げながら、粗悪なペン先をカリカリと紙に擦り付けていく。
……
「ハチェット、スピア、ウォーハンマー……」
チェックの数が250個を越えた辺りから
一体、チェックが何を意味しているのか、分からなくなってくる。
苦しい。
つらい。
……
……
おや?
俺は途中で、ペンの音が聞こえていないことに気付く。
紙の感触は俺の手に伝わって来ているのだが。
これは一体どういう事だろうか。
俺は、筆を走らせ続ける。
いや、ペンの音が鳴っていないのではない。
俺の脳が集中のあまり、不必要な情報を遮断しているんだ!
そこで俺は初めて自分が、『ゾーン』に入っていることに気付く。
普段は言語化している自分の作業が、感覚的に理解できる。
動作、チェックリストの状況、ペンを握る感覚、その作業の全てが俯瞰できる。
まるで、背後に目が付いていて、自分を見下ろしているかのようだ。
たまに調子の良い日があるが、今日は中々だ。
ミアで夢精まで至らなかった分、集中力が残ってるのかもしれない。
ひょっとして……
メンバーが起きる前に付与を終わらせれば、誰とも顔を合わずに自室で寝れるかも!?
俺は、より一層集中力を高め、作業に没頭する。
……
俺は、ロビーの秒針の音に気付く。時間は―――4時50分。
だいぶ集中してたみたいだ。
最後のチェックシートを埋めた瞬間、俺は、開放感に包まれる。
やぁ~~~~ったぁ~~~~!!!!
俺は声を抑えながら息を吐き出し、大きく伸びをする。
俺は椅子の背もたれに寄りかかった後、チェックシートをファイラに仕舞おうとする。
だがその瞬間、俺は紙の上に奇妙な違和感を感じた。
……クランメンバー。装備欄の項目が、普段より密集しているような……?
思考より先に、直感が来ていた。
『どこかが、間違っている』
俺は、心拍数が高まっていくのを感じる。
何かがおかしい。どこだ。そんなはずはないんだ。そんなはずは。
俺は、装備欄の罫線を指で上になぞっていく。
あああああああ!あああああああ!!!!
項目が丸々一行、右にズレていた。