女神
「ジル……」
声が聞こえる。
そんなことは、ありえない。
「起きるのです。」
だって、俺は、死んだから。
ではなぜ、光が見える?
なぜ、体の感覚がある?
俺は、ゆっくりと瞼を開ける。
そこには、地平線も見えないほどの、果てしない空間が広がっていた。
眼の前には、一人の女が宙を舞っている。
背後から差し込む光が、そのフォルムを神々しく照らしている。
「お……俺は……死んだのか?」
彼女は何か事情を知っている。
そう感じた俺は、質問を投げかける。
「はい。貴方はメンバー『サン』による【属性付与攻撃】によって呼吸困難に陥り、死亡しました。」
彼女は微笑みながら、楽しそうに話す。
「じゃあ……ここは……天国なのか?」
「いいえ。ここは【審判の間】。天国と現世の中間地点のようなものです。」
「何故俺はここにいる?」
「貴方は私によって選ばれました。」
理由になっていないだろう。
「お前は、誰だ?」
「私に名前はありません。人間には【女神】と呼ばれていますが……」
「貴方には、もう一度現世に戻るチャンスを与えましょう。もちろん、任意ですが。」
「もう一度……現世に……?」
俺は、記憶を思い巡らせる。
生きてて、良いことはあっただろうか?
底辺エンチャンターで、良いことはあったか?
現世に戻ったところで、クランメンバー迫害され……
迎えるのは、狭い部屋で惨めな生活。そして、死。
このまま、人生を終えるのだって、悪くない。
それが俺にとって、不幸を最小化するための最善策だろう。
「俺は……」
でも……
「このまま……」
最期に思い残した事が……
『お、おちんぽしゅごいのおおおおおお♥♥♥♥♥♥』ビュルルルルル
「さぁ、貴方の望みを言いなさい……!」
俺は、強く勃起する。
「セックスを……ミアとセックスがしたい!」
「良いでしょう。貴方は『選ばれし』 者。望みのために、向かうのです!」
視界が歪み始める。
「えぇっ!?叶えてくれるのか!?」
「いいえ。私は力を与えるだけ。」
「貴方の望みは、貴方自身で叶えるのです――――!」
再び、視界が暗転する。
……
次回、無双開始――――!