4水飲み場を巡るダンジョンの探索
「何歳ですか」
「16歳」
「じゃあ俺とタメなんだ」
「ふうーん、じゃあそうみたいね」
今は男女の 探索中 このダンジョンの 探索中という好機を狙って どさくさに紛れて 雷生はあやめちゃんに聞いてみた 年のこと。ずっと気になってたんです雷生は。 雷生としては26歳と思っていた あやめちゃんが16歳だったので自分とタメだったことに驚きもあり 嬉しさもあり 何とも言えない わだかまりもあり と言ったところ。
「え~、そうなんだ」
とは 驚かなかったけど
「それ どういう意味なん、ですの それは下だと思ってたの それとも 歳相応だと思ってたの 気になるん、ですの 正直に答える、ですの」
っていう あやめちゃんの反応も聞いてみたいけど それはまた ライブ配信とかでやってみればいいかなと思ったりもする。
このダンジョンは6つ叉に分かれていた 6つ叉 に分かれているうちの1つは入り口ということは残り 5個の道ということになる ダンジョンとして複雑じゃないのだけれど 距離が長いのと 途中に看板があったりして 探索者を惑わせて惑わさせるのだ 例えば あやめちゃんが襲われていた場所から まっすぐ進むと 1つ目の十字路に突き当たる そのまま まっすぐ進むと 突き当たり右と左に道が分離するのだが そこに水飲み場はここです という看板が立っている。
『水飲み場
←』
それを見る限り明らかに 左に行くのだが 結局それは あやめちゃんがいつも 案内してくれる 水飲み の、部屋にたどり着く。
今までその看板の存在すら気づかなかったけど改めて ダンジョン探索 ということで冷静に 一つ一つ 見ていけば 看板も立っていてあながち あやめちゃんは方向音痴なわけではなかったのかもしれないと思ったりもする だが実際にこの看板の通りに進んでも水 飲みはないわけで 一体このダンジョンはどうなっているのかと 改めてこのダンジョン探索の難しさを考えたりするわけである。
部屋は5つしかないのだから 一つ一つ確認していこうと思った まず 水の飲み場の看板の前の十字 一つ手前の十字路に戻ってみる よく観察してみると 地面に看板が立っていた形跡があった。
(これはもしや そうだ そういうことか)
このダンジョン クセモノだと思う 実際立っていたあの看板の位置はこっちだったのではないだろうか だとすればここに 看板が立っていたと考えれば この十字路を左へと進む。
「あやめちゃん もしかしたらがもしかしたら じゃなくなるかもよ」
「えどういうことですの」
「ふふふ 行ってみてからのお楽しみ」
大きな部屋に着いた 結局何もなかった。井戸もなければ湖もない。
「何なんですよ 期待させといて いい加減にしてほしいですの」
あやめちゃんに散々な視線を浴び 散々な言葉を浴びた。雷生は少し しょげたものの 冷静に 部屋の中を観察してみると 異変に気づいた 五感が鋭い 雷生の 聴覚がかすかの風の音を感じた。
「ダンジョンから風の音がする」
「私には何も感じません」
「いや 感じる風の音だ」
と思っていたら、「きききき」という音とともにネズミが「チューチューチュー」と 地面を這いずり回った 突然の出来事に あやめちゃんが、「キャーっ」といて倒れ込む。
「大丈夫?あやめちゃん」
「大丈夫だから触らなくていいですの」
と言って自力で立つあやめちゃんを横目に 雷生は地面の中を這いずり回るある生き物を見つけた ミミズである。
「間違いない この部屋 風の音といいネズミやミミズといい 水源がある。近くに水源が」
雷生の言葉を聞いてあやめも、
「どういうことですの」
「あるんだよ ここに水源が」
雷生は地面を触り 四方 触りある一部分だけは柔らかい部分があることに気づいた。
「ここだ」
「何が ですの」
「ここだけ 他の地面と比べて柔らかい 水源があるんだこの下に」
「そうなんですの」
「シャベルかスコップが必要だな 取ってくる」
1時間後。
雷生の姿を確認し あやめが手を振る 雷生も手を振り返す あやめは声をかけた。
「待ってましたわ」
「さあ始めよう」
一目散に作業を始めた。
雷生は その柔らかい部分を掘っていく 4m ぐらい掘ったところで土が完全に水で湿っていたのを確認する。
「もう少し」
だんだんだんだん 掘るたびに 湿っていた土が薄くなっていき 最終的に水だけになった 水源を見つけたのである。
「やった」
雷生は 思い切り 叫んだその声を聞いてあやめも
「やったですの」
と同調する ついに雷生とあやめはこのダンジョンの中で 水源を見つけたのである。