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1推しの美少女 雪女あやめに熱々のおかゆを食べさせてLIVE配信 バズった


「私はこう見えて、はんにゃら はにゃはにゃはんにゃはピーなんですよ(妖怪雪女なんです)」




 そう言って、毎日のように、 俺にビンタする


 そう、この少女はあやめと言う。


 そして、・・・・・・おっと、俺としたことが、なんてこったい。

 

 肝心の自分の名前を言い忘れるとは。





 申し遅れました。





 俺の名前は、一文字いちもんじ 雷生らいせい

 

 いわずと知れた童貞少年である。














 このダンジョンに足を踏み入れてからというもの、雷生は、この、あやめの防衛 (ビンタ)にさいなまれる。






 始まりはいつも雨。

 

 そんな感じです、はい。



雷生は再び あやめの前に対峙する。

自分の家からスマフォを持ってきてライブ配信 あと、あやめが食べる料理の食材 飲み物 マッチ ライター ガスコンロ 鍋 包丁 まな板······。






―初めて会った日のこと、の別れ際。




「なあ、家に来ないか」

「え」

「君は病気だから このまま水飲み場探し回っても 方向音痴の君について行っても 埒が明かないし だったら僕ん家に行けば冷蔵庫にいっぱい飲み物もあるし 何だったら スーパーで飲み物 好きなもの買えばいいじゃない」

「嫌ですの 外の世界が怖いんです。人間が怖いんですの 私はこのままこの部屋にいるんですの。 誰が何といおうと、もう決めたん、ですの。

それにちょっと私 まだ嫁入り前の娘、ですの いきなり 男の人の家に行けるわけなんかないじゃない、ですの」

「じゃあこうしよう 俺はこのダンジョンに 君のために飲み物や食べ物を持ってくる。料理も作る だからその様子 ライブ配信しよう」




―初めて会った日のこと。


ダンジョンにいた。




近くに気配がした。






「助けて」




立ち往生してる女の子がいた 見ると 狼に襲われていた。






「ピロピロン ピロンピロン」








不快な音 とともに 狼が現れた。 ゴツイ体がよく似合う 1匹だった 群れて 攻撃 されたら かなわないだろう 今 俺のレベルは多分1 だから。


間近に見る それは必ずしも可愛くはなかった。


とっさに落ちていたひのきの棒を拾う。



チリチリッチリと間合いを詰めてくる狼 さすが 百戦錬磨 だ 数ある冒険者 と戦って この狼は 倒れ 再生し、この場に立っているのだろう。








「きらびや きらびや ピキャピ キャ」






そう思っていたら狼が突然飛びかかってきた すんでのところ かわし、


俺はヒノキの棒を思いっきり 狼に叩きつけた 狼は昏睡してそのまま倒れた。


怯えていた女の子が俺が狼を撃退するや否や 恐る恐る 話しかけてくる。





「助けてくれてありがとう あなたは」

「雷生 通りすがりのものさ」




俺が名前を名乗ると、女の子は、




「私はあやめ、ですの」




と名乗り、




「この先にある水のみ場に向かう途中、ですの あなた 強そうだから私を水のみ場まで護衛してほしいん、ですの もう喉はカラカラで死にそうなん、ですの」

「分かった」

「ありがとう、ですの」

「護衛するから近くの水のみ場まで俺を案内してくれ」

「私についてください、まし」


行くあてもないし この女の子可愛いんで 連絡先ゲットしようと思った という 横縞の気持ちも働いたのである。


女の子を先に歩かせ 女の子のプリプリしたお尻を見ながら俺は後をついていく 女の子 俺がまさかおしりを見ているなどと思いもせず 私のことをしっかり守ってくれると思っているに違いない ときおり振り向いてみせる 顔は 冷たい顔と視線であった うむ 心苦しい 心が痛い。



「着きました、ですの」




そう言われて見たら ただの行き止まりだった。


「おかしいですの ここで間違いない、ですの」


この女の子 極度の方向音痴 らしい。



俺は心の中では故意だったが あくまで自然に 女の子の肩に手をおいて 納得の頷きをする。

女の子の柔らかい肩の感触は 鳥肌ものであった。



(ニシシ)



すごく冷たくて まるで氷を触ってるような冷たさ だった。


「冷た」

「気安く触らないでください、まし」


おもいっきり ビンタされた。


(この子もしかして病気なんじゃ こんなに 体も冷たいし そう思って改めて顔見たら なんだかずいぶん 赤みをおびた顔に見える 水が飲みたいというのも 体が悪いからなのだろう 何か重い病気なのだろうか 俺は心の底で心底 そう思った)


「君こんなに体が冷たくて もしかしてすごい病気なんだね すごい顔も 赤みをおびてるし」

「はい?」

「大丈夫俺が必ず助けてあげるから とりあえず 水飲み場に行こう」


そう言ってもう一度 肩に手を置いた。



「だから気安く触らないでください、まし」



おもいっきり ビンタ された。


(やはり) 



男は得心する 逆に冷たい 体が冷たくて弱って体が弱っていることを男に気づかせまいとしているアプローチ、気づかいだ。


「私はこう見えて、はんにゃら はにゃはにゃはんにゃはピーなんですよ(妖怪雪女なんです)」

「はっ?」

「だから、はんにゃら はにゃはにゃはんにゃはピーなんですってば!(妖怪雪女なんですってば)」


(もう何でこうやって人に伝えると こういう言葉になっちゃうの 呪いをかけられてしまったん、ですの)


「そうか体の具合が悪すぎて 思うように言葉を発することもできないんだね」

「だから違い、ますの」

「大丈夫俺が必ず助けてあげるから」


そう言ってもう一度 肩に手を置いた。



「だから気安く触らないでください、まし」



おもいっきり ビンタ された。


(やはり) 


男は得心する 逆に冷たい 体が冷たくて弱って体が弱っていることを男に気づかせまいとしているアプローチ、気づかいだ。



「もう何でわかってくれないの いい加減にしてください、まし」



男はまた気づかって 女の子の肩に触る。



「触らないでください、まし もういい加減にしてください、ですの」


女の子が、そういうのだけれど男に肩を触られるたびに 女の子の顔が赤くなる 女の子の顔が赤くなるのを 体調が悪いせいだと思う男は 決して悪気があってやっているわけではないのである。



この2人 さっきからずっと、からまわってばかり。


雪女なのになぜか 雪女だと自分のことを伝えられない雪女と 女の子に 雪女とは知らず女の子に一目惚れしてしまった男との破天荒な 恋の始まり 始まり。



翌日。


いつもの場所に行ったら あやめちゃんはいなかった

もしかしたらと思って水飲み場にいったら(実際はないけど)いた 相変わらず方向音痴なんだから。


(かわいい!)


「あらあなたは雷生」


こころなしか 嬉しそうな顔したような気もしたが 俺の勘違いだろうか。


「お あやめちゃん お待たせ」

「待ってなどいま、せんの」

「こんなところで何やってるのさ」

「私はただ 水飲み場に来ただけですよ」

「水飲み場なんてないじゃないか」

「違いますの いつもいつも 水飲み場を探すんだけれど ここにたどりついてしまいますね」

「それは方向音痴って言うんだよ」

「うるさいですね あなた そんなこと言うためにわざわざこんなとこまで来て私にそれのこと言いに来たん、ですの」





歯がゆいことを言う雷生の言葉であやめは、顔を赤らめる。



「相変わらず病弱なんだね。病気 治らないんだね」

「いや、まって」

「すごい顔も 赤みをおびてるし」

「はい?」

「大丈夫俺が必ず助けてあげるから」


そう言って 肩に手を置いた。


「だから気安く触らないでください、まし」






おもいっきり ビンタ された。




男は得心する 逆に冷たい 体が冷たくて弱って体が弱っていることを男に気づかせまいとしているアプローチ、気づかいだ。



「今日君の病気を治すために 食べ物や飲み物を持ってきたよ」


あやめの目がキラリと光った。


「あら 嬉しい、ですの」


俺が持ってきた料理の食材と飲み物を見ながら 物色してなぜか寂しそうな顔をした 気になる なぜだろう。


「とりあえず これ飲んで」


ペットボトルのお水を渡した。

水を得た魚 ようやく彼女は本当の水飲み場で水を飲むことができたのだ 感無量 この瞬間こそ ライブ配信した方がいいのじゃないだろうか いやお楽しみは後にとっておこう。


「今から料理作るから待ってて」

「分かったわ 頼みます、ですの」


スマートフォンを正面から三脚に立てて正面にむけた

まずは 動画配信をするにあたって 趣旨としては 料理を作るところから撮り 出来上がった 暖かい料理を あやめちゃんに食べてもらうという流れ あやめちゃんの 食べる顔アップ→ 美味しいと言った表情をアップ→ 笑った顔アップ→ ニコりと笑ってもしかしたら 八重歯が出るかもしれない (あるかどうかわかんないけど)→ そして彼女の笑った顔がアップで→どんどんどんどん引き気味になってて→全体像が 見えたところで→ 「カット!」


どうだ この流れ だてに動画配信で収益得てないぞ 俺は 雷生は胸を張って 胸を叩いて心の底からそう思った 当のあやめちゃんは 早くできあがった料理が食べたくてうずうず 顔で待っている。 


(うむ かわいい)


「サウンドワーク OK カメラワーク OK アクション」



持ってきた鍋に無洗米の米を入れペットボトルの水を流し込み 俺はガスコンロに火をつけ 水をお湯に沸騰させる

さて 病人に食べさせる飯と言ったらあれしかないだろう そう おかゆ 作るのは初めてだがそう難しい料理ではない すでに米は鍋に入っているから このまま お米がおかゆ に変わるのを待てばいいのだ なんと コストパフォーマンス のかからない 健全な 料理 なのだろう 俺は自信満々の意味で 調味料を取り出した と言っても冷静に考えてみればおかゆに入れる調味料などないのだ 塩すら入れてはまずいだろう グツグツ と煮えたぎる米を見て ガスコンロの火力を弱めた さあ もうすぐだ。


アウトドア用の紙皿とお手拭き コロナ だからね 家から持ってきた レンゲをつけて 彼女の前に対峙させる スマホのレンズのカメラ位置を確認しながら さあ食べよ 病弱な乙女 病に倒れる か弱き 美少女よ 我が渾身の愛の手料理を食べその命の生命に輝きを取り戻すのだ。


LIVE配信に向けて

カット割りの確認をする 妥協は許さない 雷生のポリシー。


食べる顔アップ→ 美味しいと言った表情をアップ→ 笑った顔アップ→ ニコりと笑ってもしかしたら 八重歯が出るかもしれない (あるかどうかわかんないけど)→ そして彼女の笑った顔がアップで→どんどんどんどん引き気味になってて→全体像が 見えたところで→ 「カット!」





「まずいですの」


おもいっきし ドヤ顔でそう言われた 挙句 おかゆとレンゲを俺に向かって投げた。


「熱い」


自分で作ってなんだが アツアツのおかゆが顔に当たって、


「熱い」



「私はこう見えて、はんにゃら はにゃはにゃはんにゃはピーなんですよ(妖怪雪女なんです)

はんにゃら はにゃはにゃはんにゃはピーなんです

(雪女は温かい食べ物が苦手なんです) こんなもの 私に食わせて なんてひどいお方なのあなたは 私をなめるのも大概にしてくださいまし」


そう言われて 顔についたおかゆをペロッと作って食べてみる。


「うげえ まず」


雷生は こんなまずいおかゆをあやめに食べさせてしまったことを心の底から反省した。


「ごめん あやめちゃん

考えてみたらおかゆ というのは まだ半生の米を 鍋から作るものではなく 炊きたてのご飯 もしくは冷や飯を鍋に入れてから作るものではないだろうか それにおかゆとはいえ やはり塩は入れなければ何の味もしない 気をつけなければ 次はきちんとしたおかゆを」

「そういうことじゃない、ですの うえーん このままじゃ私、死んじゃいますわっ」


貞操の危機ならぬ 命の危険を感じる あやめ であった。



「カット!」




雷生はスマフォ動画サイトのフォロワー数と お気に入り数 チャンネル登録数 を見てバズった

とっくに1000人超えてた 普段 配信してても100人 超えてなかった俺のチャンネル、俺の、チャンネルが、......




バズった。

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