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第一話①


 ピチピチと聞こえていたのは、窓の外の小鳥の囀りだったらしい。何年経ったかよくわからないが、小鳥の声は変わっていない。きょろきょろと周りを見回せば、どうやらここは、どこかの一軒家の一室らしい。自分が眠っていた小さな棺桶が、日向の中に鎮座している。


「…なんだか、変な感じ。」


 随分と長いこと眠っていたからだろうか。【自分】という存在がひどく曖昧だ。確かに私は【アンジュ】ではあるのだけれど、それにしても、「自分がゲームの世界の住人である」という自覚が強すぎる。ゲームの内容についても、ありえないくらい鮮明に思い出せていた。

 ハイドラクエスト。それがこの世界のタイトルだ。【古の世で魔王を倒した勇者たちの末裔が、再度世界の平穏を作る。】という物語。【勇者の末裔】【魔法使いの末裔】【僧侶の末裔】【武闘家の末裔】そして、それらを集めたという【賢者の末裔】。その5人のパーティで、世界を回るという大筋である。その中でも、唯一死亡ルートがあるのが賢者の末裔こと、リュカ・ミレーヤという男だ。

 ゲーム本編では、この【伝説の〇〇の末裔】というのは、キャラクターによって考え方が大きく違う。たとえば主人公の【伝説の勇者の末裔】は王都から離れた小さな町で、自分がそうであると知らずに育っている。【伝説の魔法使いの末裔】の少女は魔術学院のある大きな都市で、大切に育てられながら勉学に励んでいた。

【伝説の賢者の末裔】の二人については、リュカの口から語られる以上の情報はない。曰く、「血縁がバレてしまえば、平穏に過ごすことはできない。」という両親の方針で、聖別後も田舎の村を転々としていたとか。実際、国王陛下に発見されてからは【賢者の血】由来のトンデモ回復術と知識を国民のために利用され続けることになる。

【弟に適切な看護を望むのであれば、その力、王家のために使うべし。】とかなんとか。結局、ユーゴも同じような条件でいいように利用されてしまうのだ。それに気がついたリュカ兄様は、国王陛下に言われるがまま世界を平定しようとする勇者たちを裏切ることになるわけである。許すまじ国王。

 そこまで考えていると、小さな足音が聞こえた。軽快に続くその音は、ドアの前でピタリと止まる。「入るよ。」その声は、画面の向こうから聞こえた、彼の弟のものであった。


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