表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

第二話①

「ついていくと言ったはいいけれど、本当に兄さんの行き先ってわかってるの?」

「…大丈夫よ。」


 快適とは言えない空の旅をしながら、不思議そうな顔でユーゴは尋ねる。原作で僧侶が泣き言を言っていた理由がなんとなくわかった気がした。なんともまあ、乗り心地が悪い。ゲーム本編では中の様子なんてもの、わかりやしなかった。ガタガタという縦横斜め全ての揺れに耐えながら、ぼんやりと下界を見渡した。

 本編ではランダムエンカウントだったモンスターたちが見える範囲でうろうろしている。なるほど、エンカウントすると分かりきったような声を上げるキャラクターたちの言は正しかったのか。レベリング中に真っ直ぐ突っ込んでいく主人公の姿は、さぞ滑稽だったに違いない。


「でもさあ、温泉街なんて本当にあってるの?」

「あってる。」


 私たちが向かっているのは、王都からさほど離れていない温泉街、プラーミアだ。これは、本編で初めて勇者とリュカ兄様が出会う場所である。温泉街、そして観光地でもあるこの街で彼らは最高とは言い難い出会いを果たすのだ。旅に出て数日との話だったので、この街に向かうこと自体は決して間違いではないだろう。


「それより、兄様にどんな連絡をしたの。私が目覚めてすぐに連絡したのでしょう。」

「したよ。でもアンジュが目覚めたってことしか伝えてない。あとは会ってからのお楽しみにしてる。」

「外に出ていることは伝えていないのね。」

「そりゃあそうだよ。兄さんああ見えて大袈裟だからさ。」


 まあ、確かに。病弱だった弟と、寝たきりであった義理の妹が突然近隣の街まで旅行に行くと伝えたら、大事である。


「ユーゴ、体調は平気?」

「へいきへいき。王都でそれなりに療養できたし、それに。」


 すい、と彼の視線が外へとうつる。眼下には、少しずつではあるけれど街が近づいてきているようだった。後少し、この最低最悪な乗車環境に耐えれば目的地なのだろう。


「これから行くプラーミアは、病気療養にもふさわしいって言われているんだ。兄さん探す合間合間に温泉で休ませてもらうよ。」

「無理はしないでね。」

「アンジュこそ。兄さんに会って何を確かめるのかは知らないけれど、病み上がりらしくしっかり休んでよね。」

「ありがとう。」


 まあ、休む暇なんてないのだけれど。

 ガタン、と一際大きな音をたてて龍車が止まる。バランスを崩して前のめりになったところでユーゴに腕を引かれた。そのままとすんと彼の胸に頭が当たる。


「大丈夫?」

「大丈夫。…ユーゴ、ちょっと力ついた?」

「何年経ったと思ってるさ。」


 「ほら、降りるよ」と声をかけられてそのまま後に続く。少しだけ耳が赤くなっていることには触れずに扉の先へと歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ