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時間割

奈緒は雅美と食堂で学校から渡された資料を机いっぱいに広げていた。


食堂とは名ばかりで、もちろん食事の販売もしていて本来の役割も果たしているものの多くの学生が雑談のために利用しているフリースペースのようなもので昼食の時間を優に過ぎていても人が少なくない。


「ねぇ雅美お願い。一緒に科学史取ろう」

「間1コマ空いちゃうじゃん。やだよー」


時間割作成という新学期の恒例行事で奈緒は雅美に同じものを履修しようと頼み込んでいるが、雅美はなかなか頷いてくれない。


必修の科目が3コマ目にあり、奈緒が取りたいのは5コマ目の科学史。だが4コマ目に取りたい科目がないため、どうしても1コマ暇ができてしまうため、雅美を始め他の友達も科学史は履修せずに帰ることにするという。


「そっちも時間割?」


半分諦めて一人で履修するか迷っているとそんな声が聞こえてきて、顔を上げてみると雅美の横に立っていたのは茅だった。


「なんだ茅か」

「なんだってなんだよ。組み終わった?」

「もう少しー」

「おれも友達とどうしようかって話してたとこ。どんな感じになった?」


茅は少し離れた席にいる男の子たちを指差して、雅美が広げていた時間割を手に取った。


「こんな感じになるよなぁ。これで決定?」

「いや、今ちょうど揉めてたところ。奈緒がどうしても水曜の5コマ受けたいって」

「ふーん。あれ、水曜の5コマってもしかして科学史?」


黙って会話を聞いていた奈緒に唐突に向けられた質問に、奈緒はコクコクと頷いた。


「おれも取ろうか迷ってた。みんな取らないで帰るって言ってるし」

「そう、なの」

「でも内容楽しそうなんだよな。とってた先輩も楽しかったって言ってたし」


茅のその一言を聞いた雅美はパンっと手を合わせた。


「あっ!じゃあ茅と一緒に行きなよ。誰もいないよりマシでしょ」

「え」

「そしたら私も水曜は早く帰れるし一石二鳥?」

「ちょ」

「奈緒ちゃん一緒ならおれも心強いな」

「や、そんな…」


奈緒を置いて、トントンと話は進み。


「じゃあ奈緒ちゃん、また水曜日にね」


断るタイミングも完全に逃し、茅はそう言い残して、友達のいるところに戻って行ってしまった。





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