ねーさんが大好きな弟妹の話
はじめまして。初投稿です。よろしくおねがいします。
リーンゴーン リーンゴーン
辺りに響き渡る鐘の音。
ひらひらと舞い落ちる淡い色の花弁。
純白のドレスとタキシードに身を包む本日の主役たちは、とても幸せそうに微笑んでいる。
「結婚おめでとう!」
「幸せにね!」
「末永く爆散しろよな!」
「お互いを大切にしろよ!」
家族や友人たちからかけられる、暖かい言葉の数々。
「ありがとな!」
「本当にみんなありがとうっ!」
…これだけをみると、主人公はこの2人で、
『なんかいろいろありながらも、2人は一生幸せに暮らしました。よかったね!はい、めでたしめでたし。』
みたいな感じじゃね?うわ面白んな…
と思われそう…ってか思われるでしょうが…
本作の主人公どもはこの2人ではありません。
では誰かというと…(ここから新郎目線)
僕は今日、大好きな人と結婚式を上げた。
そして今、僕はとても幸せな気分…だった。ついさっきまで。
今は心がちょっぴり折れそう。
なんでかっていうと…
「何があっても夕夏姉さんだけは絶対に常に幸せでいてくれるようにしろよ!義兄さん!」
「もしも義姉さんを泣かせた時はあんたが地球上のどこにいようが絶対精神的苦痛を味わわせるためにかけつけるからね!皐透兄さん」
こういうことである。
結婚式当日に妹と義弟に言われる言葉ではないと思う。
「え、ひどい。あとこわい。2人とも僕をどんな目で見てるんだよ…」
「「夕夏(義)姉さんにはもったいないアホでバカでまぬけのヘタレでとろくさくて…(略)」」
「あの、ねぇ、もうやめて…さすがに多い!あと2人でシンクロはきつい」
がっかりした顔で2人が
「えー!まだまだいーっぱいあるのに…」
という。流石に辛い。残酷な世の中だ。
ボソッと呟く。(←直接は言えない)
「僕今日結婚式なのに…」
それが聞こえたのかはわからないけど、絶妙なタイミングで妹が言う。
「あー、義姉さんはなんでこんな馬鹿と結婚したんだろう」
ひどい。僕に対する扱いがひどすぎやしないか…
お兄ちゃん泣きそう…とか考えながら言う。
「いや妹よ。あの、せめて悪口言うならもうあと50枚くらいでいいからオブラートに包んで言ってくれ…頼む…」
返ってきたのは妹の素早い口撃。
「は?悪口じゃなくて事実でしょ?何言ってんの?あとこれでもまぁ今日は結婚式だし?って思ってあんたの優しーい妹は50000枚はオブラートで包んで言ったんだけど。有り難く思えよ愚兄が」
「え、これで…?」
マジですか…?
とここで夕夏のフォローが入る。夕夏、ありがと…
「もー、蒼月ちゃん!皐透にもいいところたくさんあるわよ!鈍感でちょっとアホなところあるけど、本当はすごく優しくて(からかうと)とっても面白い愛すべきおバカなところとか!」
…夕夏、それは悪口ではないんだよね?違うよね?
「辛辣…まあ、夕夏は正義だから全然いいんだけどさ…」
「お義兄さん、何を今更。姉さんが可愛いだなんて当たり前のことを言ってるの?」
義弟となった茶景からの的確なツッコミ。
「そうだよ!」
そしてそれに激しく同意する我が妹。
「あ、うん、ごめん、そうだったね…」
それに押される僕。ヘタレ。
「ふふっ、みんなありがと!」(←あ…可愛い)
くすくすと笑う夕夏。
はい。ということで主人公はこいつら蒼月と茶景です!