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幼精日記  作者: 褐色歪性
1/1

あつあつひえひえ

季節は夏


一年で一番暑い季節 


また、人々が一番活発に動く季節でもある・・・のかな


ボクの名前は大下奈緒、今年で21歳になる社会人一年生だ。


生まれは日本にあるマイナーな小島


小島といっても学校は小学校・中学校が各地域に一つずつあるし


高校だって二つ、普通高校と水産高校があるんだ。


しかし、コンビニは無く、舗装されていない道も未だに多いし


なにより、夜8時を過ぎると外は真っ暗


街頭も少ないので一人で散歩してると結構怖かったりする。


日中こそ暑いが、夜は結構ひんやりするので夜の散歩は嫌いじゃない。




それにしても、今日は暑い。


時刻は丁度12時を指している


テレビでは室内なのにグラサンをかけた司会者がしきってなにやら芸能人たちとワイワイ


楽しそうに遊んでる。


そんな光景をボクは寝転がりながら眺めている。


チラッと窓から外を見てみる。


小学生達が自転車で近くの海に行くところのようだ。


浮輪を腰に頭には水中眼鏡、前の籠には足ヒレと準備万端



ボクにもそんな時代があったなぁ


なんて思いが浮かんでくる・・・


さて、


ちょっと喉が渇いたので麦茶でも飲みに行こうかなと立ち上がった瞬間


軽く立ちくらみが・・・ふらふらと体制を崩してしまう


情けなさを感じながら洗面台へ


ずっと寝てたせいか左頬に畳の痕が残っている



冷蔵こから作り置きしていた麦茶を取り出し飲む


うん、やっぱろ夏は麦茶だね



喉も潤ったことだし・・・自室でもう一眠りすることにした。



蝉の泣く音が時間が経つに連れて変わっていく


朝はジージーと油蝉、日が傾いてくるとツクツクホウシやひぐらしが泣き始める


ボクはこの夕焼けに照らされながらひぐらしの泣き声を聞いて、


ちょっと冷えた風に当たってる時間が大好きだ。



なんの気無しに散歩したくなってきた。


少し散歩してくるか。


散歩は良い気晴らしになる。とても大切


現代社会で行きぬくにはどうやってストレスを発散していけるかが大切


ボクみたいに負けてしまった人間は社会に復帰できるのかさえ危うい


唯一、ボクの救い


それは、帰る場所があること


ボクは高校を卒業した後、商業系の勉強をしていたこともあり半ば惰性で簿記の専門学校に通った


卒業後はとある会社に入社


経理として働くことになって3ヶ月


なれないボクは失敗ばかり・・・


お酒も飲めないボクは学生から社会人への変化についていけなかった。


結局、仕事の出来ない僕は毎日日付が変わるまでサービス残業、休みの日も出てきてサービス残業を繰り返した。そうしないと仕事が終わらない。


そうしても終わらない現状


頑張っているのにできない。結果主義の社会で結果が残せないと言うことは何もしていないのと一緒・・・ボクは弱い


そんな日々がつづいたある日


ついにボクは病んでしまった。心の病気 


親に相談したら帰って来なさい、


その一言でボクは救われた。


現在ボクは中国地方にある小島に帰ってきている。


周りは勿論海 その間に山があるという典型的な田舎。


ボクはここで18年間育った。都会暮らしはなれたけど田舎も嫌いじゃない。



時刻は8時


すっかり暗くなってしまった。ちょっと散歩に出かけてみよう


懐かしい、自分の勉強していた小学校を見て一言


うむぅ


この木造校舎が味があって好きだったんだよなぁ


もう、少子化の影響で村が合併してここも使われなくなっちゃったけど


ボクたちが最後の卒業生・・・なんか寂しいような複雑な気持ち。


周りには誰も居ないと思っていたのだが、ふと人の気配を感じて周りを見てみる。


ん?


確かに気配は感じたんだが・・・・



近くにある街頭といえばあの小学校手前の横断歩道のところと奥か・・・


おや?


あれは・・・


誰かが街頭の下でこちらを見ている


遠目で見ているので小さく見えるが・・・実際小さいな


それにしても、何か用があるのかその人物はこちらを見ている。


なんか怖いな・・・もしかして


幽霊・・・とか


はは、そんなこと無い無い。自分に言い聞かせる。分からないなら確かめたらいい


そうして、自分から近づいていくことにした。


近づいて分かった。女の子だ



白い上品なワンピースに麦わら帽子 手にはなぜかおもちゃの手錠をつけている


とてもかわいらしい娘だ。とにかくこんな遅くに一人で歩いていたら心配なので声を掛けてみることにした。


「あの、君こんな時間にどうしたの?おかあさん心配してるんじゃない?帰ったほうがいいよ」


しかし、女の子は反応しない。


ふむぅ


困ったな。とりあえず送っていくか


「とりあえず危ないから送っていくよ、おうちはどっち?」


少女は黙って正面を指さす。


なんだ、ボクが来た道か。


ボクはその娘を家まで送っていくことにした。



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