表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

インスピレーションで書いたお話

【ダンスのインスピレーションで書いた話バージョン1】

作者: 知美

【ダンスのインスピレーションで書いた話バージョン1】


女性side‐1


 今日はお城に招かれた。でも、私は、招かれたと行っても、社交界デビューを飾りに来ただけ。お城で開かれるダンスに疲れてしまった。だから、私は少しだけ休憩しようと、お城の外にある庭園へ向かう。

 このお城には素晴らしい庭園があると聞いていたので、見てみたかった。だから、こうして見に行けることが、嬉しい。実は、ダンスよりもそれが、目的だったりする。

(どんなお花が咲いているのかしら。楽しみだわ)

 心が、ウキッとする。しばらく、案内してくれる人に着いていくと、素晴らしい庭園が視界に飛び込んできた。

「ステキ……」

 自然と足が庭園の方へと向かう。私は夢中で、庭園に咲いているお花を眺めている。だから、既に、そこに先客が居ることに気がつかなかった。


男性side‐1


 ダンスホールから、庭園に来て数分。オレは少しばかり、気が抜けていた。ダンスホールでは、ダンスの相手ばかりしていて少しばかり、イヤ、かなり疲れていた。本当なら、お城で行われるダンスには行きたくなかった。でも、両親があまりにもうるさく言うので、それに根負けして、イヤイヤお城で開かれるダンスに参加しただけ。両親の思惑はわかっている。


“良い年なんだから、いい加減結婚して、後をついでくれ”


 思惑はわかるが、自分の人生ぐらい自由に生きたい。だから、お城に行ってダンスを躍りに来ただけ。だけど、ダンスの相手をするのに疲れてしまった。次から次へと来るダンスの相手に嫌気が指し、こうして、庭園で休んでいた。しばらくすると、ようやく、疲れがとれてきて、気分もよくなってきた。だけど、また、ダンスが行われている会場には戻りたくなく、庭園で時間を潰していた。すると、そこに、一人の女性が、お城で働いている人に連れられ、庭園へやって来た。その後女性は、花を見ると途端に、庭園へまっしぐらに向かってきた。オレは慌てて、花や蔦が咲き、絡み付いている壁に隠れる。そこから、その女性の様子を見ていると、なんだか、不思議とその女性と踊りたくなってきた。

 オレから見えるのは女性の背中だけ。その背中は外気に触れ、寒そうだ。不謹慎かもしれないが、その背中に触れたいという欲が出てきた。こんなことは初めてで、戸惑うが、女性にダンスを申し込めば、背中に触れることができる。オレはその下心に気づかれないように、女性が居るところへ向かって歩き出す。


女性side‐2


 夢中になって、花を見ていると足音が聞こえてきた。でも、花を見ていたい私は、花を見ていることにする。だけど、近くで、足音が止まり「Shall we dance?(踊っていただけますか?)」と声をかけられた。

 立ちあがり、声をかけてきた男性を見ると、紳士的な方で、少しだけ、私好みの男性だった。自分自身がスーツフェチなのは自覚している。もしかしたら、男性が着ているスーツに心が惹かれているだけかもしれない。あまり、スーツばかり見ていても、仕方がない。私が「喜んで」と返事をすると、男性が嬉しそうにお礼を言ってきた。

「踊るのはこの先にある、広いところでも構いませんか?」

「……はい」

 正直、あのダンスホールに戻るのはイヤだったので、そう言ってくれて、嬉しかった。そこへ向かうとき、男性がエスコートしてくれた。なんだか、不思議と心地が良い。

 庭園の広場へ向かうと、そこには誰もいない。居るのは私と男性の二人だけ。そこで、男性と踊り出す。背中に触れる手が温かく、優しい。それが、手袋越しに伝わってくる。それが、心地良い。うっとりとした気分になってくる。だか、お互いの顔が近くて恥ずかしい。だから、自然と顔を背けてしまう。すると、男性がこんなことを言ってきた。

「出逢っていきなり、こんなことを言われるのはイヤかもしれないが、私の──」

 タイミングが良いのか、悪いのか。鐘がなった。ちょうど、夜中の零時になったみたいだ。私は零時になったら帰らなければならない。まるで、シンデレラみたいだが、魔法が解ける訳じゃない。ただ単に、「出来るだけ、早く帰ってきなさい」と、両親に言われているだけ。

「私……、帰らないと行けないんです……」

 すると、男性に腕を引かれ、優しく後ろから抱き締められてしまった。

「まだ、話は終わってないんだ。帰るなら、最後まで、話を聞いてほしい。きちんと貴女の家まで送り届けるので、どうか、わたしの話を聞いてほしい……」

 懇願されている様に感じる口調で言われ、思わず頷いてしまった。すると、男性は私から離れ、ジャケットを脱ぎ、私に、そのジャケットをかけてくれた。すごく温かくて、心地よくなる。

「いきなりこんなことを言われてもイヤかもしれないが、私の奥方になっていただきたい」

 そう言って、頭を下げる男性。それを眺めながら、私の頭の中で、何が起こったのか、整理しようとしているが、「奥方」というセリフに「私……、プロポーズされてるの?」と頭の中でグルグルまわりだす。だか、いつまでもこの状況ではいけないと「……考えさせて下さい」と、言葉にするが、男性は、動かない。

「とにかく、頭を上げてください」

 そう声をかけても、動いてくれない。

「あの……、イヤじゃないんです。だけど、私は貴方の事を何も知らないので、何も答えられません」

 すると、ようやく、頭をあげてくれた男性は「なら、せめて……、わたしとお付き合いをしてくれませんか? 週末なら、必ず、時間を作れるので……。それで、わたしがどんな人となりなのか知っていただきたい」と、言ってくれた。それを、聞いて、私は快く「わかりました。よろしくお願いいたします」と、言っていた。

 すると、男性は私の手を取り、手の甲にキスをする。

「ありがとう。では、今日はもう、帰りましょう」

 そう言って、家まで送り届けてくれた。


 ドレスを脱ぎ、部屋着に着替え、窓から空を眺めると、星や月がキレイに輝いている。

 今日は、なんだか、ステキな一日だった。ステキな庭園が見られ、ステキな男性にプロポーズまでされた。多分、あの男性と結婚をするのだろう。それが心の奥でわかっていながら、返事を保留にした。それは、仕方がないと思う。だけど、あの男性の事がだんだんと知ることが出来ていけば、きっと、私から「結婚してください」と、言ってしまいそうになる。そんなことを考えていると、自然と頬が上がるのを感じた。

(今日は、とってもステキな一日だったわ)

 私はベッドに入り、眠りにつく。きっと、夢にあの男性が出てきてくれそうな予感がする。それに期待して、私はまぶたを閉じた。

「おやすみなさい……」


読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ