37話 宣戦布告と妨害工作(違和感あり)
基本、『ドリーム・ダンジョン』の出入口は門外に配置されている。
安全と理解しているが『ドリーム・ダンジョン』はダンジョンだ。
街中に入場となる転移陣を置いて、逆侵攻されても困る。
故に国家として安全性を考えれば外に出入口を作るしかなかった。
オレは一応『大魔王ヨーゼフと決別したので、相手側が嫌がらせをしてくる可能性が高い』と『ドリーム・ダンジョン』に協力的な各国に通達。
大魔王ヨーゼフが仕掛けてくるとすれば、『ドリーム・ダンジョン』内部に入場するため郊外に並ぶ列を襲撃するぐらいだろう。
それを予想し各国に『資金を提供するので警備、防衛に力を入れて欲しい』とお願いした。
資金はこちらの持ち出しのため、各国からは特に揉めることなく了承された。
警備を厳重にした直後、すぐにちょっかいをかけられる。
人に擬装していたモンスターや空を飛べるモノ、地の果てから駆けてくる速度重視の魔物などが『ドリーム・ダンジョン』に入場しようとするお客様達を狙い襲いかかってきた。
事前に手を打っていたため死者こそ出なかったものの、警備に回った冒険者やモンスターの襲撃され、驚きで怪我を負ったお客様も複数出てしまう。
このまま放置すれば『ドリーム・ダンジョンで遊ぶ=列に並んでいるとモンスターに襲われる』というマイナスイメージがつく。
放置すれば客足はすぐに激減するだろう。
だが、この程度、当然予想済みである。
オレは『大魔王ヨーゼフ』からの妨害を受けたのを確認して、すぐさまこちらもカウンターをしかけた。
当然、『大魔王城』を直接襲撃する方法ではない。
『人を殺すのに刃物はいらない』
直接、オレが手を下さなくても『大魔王ヨーゼフ』程度、倒す方法などいくらでもあるのだ。
では、そのための方法とは――。
☆ ☆ ☆
聖神教の中心地として栄えた国家、聖教国。
この国家の住人達は全員、聖神教徒で、ダンジョンを司る魔王は基本『悪』である共通認識を持っている。
他国でも認識は殆ど一緒だ。
この世界の主要宗教と考えてもらっていい。
とはいえ最近、ダンジョンにも『ドリーム・ダンジョン』という例外が生まれた。
娯楽メインで『ドリーム・ダンジョン』を司る魔王も『敵対するつもりはない』と宣言しており、ダンジョン内部に教会を自ら主導で作ったほどだ。
それだけではなく、毎月1万金貨を喜捨すると宣言。現在も有言実行されている。
1枚の金貨が日本円で約10万円だ。
1ヶ月で10億円。
1年で120億円である。
ダンジョンの魔王という点を除けば、非常に模範的な聖神教徒といえなくもない。
本来、邪神を崇めているとされるダンジョンの魔王だが……。
そんな『ドリーム・ダンジョン』が、『大魔王城』の魔王と揉めているとウッド魔王本人から連絡が入る。
『大魔王城』が『ドリーム・ダンジョン』の妨害をしてくると予想できるので、警戒するよう忠告を受けた。
毎月金貨1万枚を喜捨する大切なスポンサーの言い分だ。
無碍には出来ない。
一応、警備兵士を増やし警戒を強めていたが……。
聖教首都内部でおぞましい事件が発生してしまう。
『やぁ、初めまして。僕はダンジョンランキング1位の大魔王ヨーゼフだ』
聖教首都にある商店の屋上に1人の青年が顔を出し大通りに向けて宣言する。
大魔王ヨーゼフと名乗った相手は金髪の美青年だった。
悪魔のような角が2本のび、王侯貴族でもそうそう準備出来ない金刺繍が施された豪華な衣装に身を包んでいる。
大魔王というより、やり手の王侯貴族のようだった。
よく見れば彼1人だけではない。
背後から2名がヨーゼフに並ぶように顔を出す。
『ヨーゼフ様の右腕たる「大炎鬼」デカトス様、だ』
『…………』
1人は赤鬼で身長は2m半近くある。背が高いだけではなく、がっちりとした筋肉質な体で縦にも、横にも分厚い印象を受ける。
口からは牙が覗き、釣り目の強面顔をより強調していた。
もう1人は3人の中で一番の細身だ。
身長は170cm後半で顔色が病的なまでに青白い。顔立ちが整い、なぜか黒で裏地が赤いマントを身につけ、下に貴族服を来ているがよく似合う美男子だった。線が細いか弱い男性が好きな女性から支持を受けそうなタイプである。
見た目と口から微かに除く犬歯からヴァンパイアではないかと予想がつく。
『ふむ……噂には聞いていたが本当に聖神教の教会が建てられているなんてね。さすがの僕も驚きだよ』
『邪神様に対して申し訳ないと思わんのか! 罰当たりが過ぎるだろうが!』
「?」
ヨーゼフが珍しそうに周囲を眺め、デカトスが大声をあげて大通りを行き交う住民達を叱りつける。
聖教首都なのだから、聖教教会があって当然だ。
聖教首都だけあり、当然この街に住む人々は敬虔な信者達が多い。
2人の罵倒に腹も立つが、唐突過ぎて反応し辛いのも本音だ。
大通りに居る住民達が困惑していると、彼ら3人が何もない空間から大樽を取り出す。
『調子に乗るなよ。くっくっく――ははっははは! 大魔王ヨーゼフの名において貴様を潰してくれる!』
『!?』
ヨーゼフが滅茶苦茶不自然な宣言をすると同時に樽の中身を大通りにぶちまける。
彼に習ってデカトス、線が細い美男子が同じように樽の中身をぶちまけた。
「ぎゃァ!? な、なんだこれは!? 滅茶苦茶臭いぞ!?」
「目が! 臭すぎて目が痛ぇぇぇぇぇ!」
「キャァアァァァァッ!」
「ママぁッ! ママぁッ!」
「おぇぇぇ! 臭すぎて気分が……」
「ヒィイ、腐敗した肉が入っているぞ!? これ人肉じゃないのか!?」
「助け、助けてくれぇぇぇぇぇえッ!」
ついさっきまで活気があった平和な大通りが一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。
逃げ回る住人達を前にヨーゼフは高笑いした。
『くっくっく――ははっははは! 大魔王ヨーゼフの名において貴様を潰してくれる!』
さらに大樽を取り出し、ぶちまけ始める。
大通りだけでは終わらず、さらに3人で移動しながら、樽の中身をあちこちに撒き散らす。
教会、住居、商店、公共施設、大聖堂、etc――。
ありとあらゆる建物、人々に人肉のような腐敗したモノが混ざった臭い液体を撒き散らしながらヨーゼフが叫ぶ。
『我がダンジョンはお前達に宣戦布告をする。せいぜい足掻き、楽しませるが良い!』
大魔王ヨーゼフと名乗る魔王とその部下2名は聖教首都だけではなく、他国家やダンジョンに対しても無差別にテロ行為をおこなった。
各国、ダンジョンのメンツがおおいに傷つけられたのは言うまでもない。
さて、これだけおちょくられ、メンツを傷つけられ、馬鹿にされた上、宣戦布告までされたら一体どうなるのか?
その答えはすぐに『大魔王城』に届けられるのだった。
『【連載版】ようこそ! 『ドリーム・ダンジョン』へ! ~娯楽ダンジョンで日本製エンターテーメント無双~』を読んで頂き誠にありがとうございます!
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