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36話 互いの準備

「なんで! よりにもよって! ダンジョンランキング1位の大魔王ヨーゼフに喧嘩を売るんですかぁぁぁぁッ!?」


 大魔王ヨーゼフとの話し合いが決裂した後、彼らはすぐに『ドリーム・ダンジョン』から帰った。

 彼らを見送った後、アバターをオートモードにして意識をダンジョンコアルームに戻すと、アシスタントデーモンのネアが頭を抱えて訴えて来た。


 彼女は目を血走らせ詰め寄ってくる。


「今すぐ帰った大魔王ヨーゼフの後を追いかけて、派閥に加わるよう謝罪して来てください!」

「だが断る」

「なんでですか!?」


 オレが考慮もせず、一刀両断に切り捨てたことにネアが『意味が分からない』と言う表情で声をあげる。

 彼女の反応にオレは軽く手を振り応える。


「どれだけ相手がダンジョンランキング上位でも、他ダンジョンの下につくつもりも、上に立って面倒を見るつもりもないよ。どうせアイツら(、、、、)はこちらが手を下さなくてもいつか勝手に滅びるしな。わざわざ付き合う必要なんてないさ」

「? それってどういう意味ですか? 大魔王ヨーゼフ側が勝手に自滅するってことですか?」


 オレは彼女の疑問を無視して考え込む。


「しかし計算外があったとしたらダンジョンランキング1位の大魔王が来るとはな……。いつかこの手の輩が来ることは想定していたから、今後ちょっかいを出されないように見せしめに惨ったらしく潰す予定だったんだが……。まぁやることは変わらないからいいか」

「変わりましょうよ!? いい加減、胃がマッハで痛いんですが!」


 ネアが胃の辺りを両手で押さえて訴えてくる。

 しかしオレの方針は変わらない。

 胃の辺りを抑えるネアを無視して指示を出す。


「基本、大魔王ヨーゼフ側が手を出してきたら応戦する。それ以外は放置。こちらから手を出すつもりはない。各国に『大魔王ヨーゼフ』の件は通達しておいてくれ。オレの予想だと多分転移陣やその建物、周囲に対して嫌がらせをしてくると思うから」


 他にも『他魔王に因縁を付けられた場合』を想定していた指示を思い出し告げる。


「あとお客様(ゲスト)の他に物資のチェックだが、毒物や敵対魔物を混ぜて『ドリーム・ダンジョン』内部に侵入させようとするかもしれない。転移陣に乗せればいいから危険人物、物などは判別は楽だが、一応警備の人員を強化する。万が一『ドリーム・ダンジョン』内部に侵入され暴れられることも想定して内部の警備を強化しておいてくれ。その際の資金、DPはいくら使っても構わないから」

「りょ、了解しました。すぐにスタッフ達に指示を出します」

「頼む。だがあくまで大魔王ヨーゼフ側が手を出して来てからだ。下手に攻撃的な罠や魔物を出して『こちらから手を出した』なんて状況は作らないでくれよ」

「…………」

「? ネア?」


 彼女は不満そうに黙り込む。

 オレの指示に何か不味い点でもあったのだろうか?


「派閥に入る気がまったく無いことは理解しました。ですが戦力を整えなくてもよろしいのですか? もうこれは『ドリーム・ダンジョン』と『大魔王城』派閥の戦争です。専守防衛ではなく少しでも戦争戦力を準備した方がよろしいと愚考致しますが……」

「はぁ~、まったく、やれやれ……ネアは心配性だな。それに前にも言っただろ?」


 心配性のアシスタントデーモンであるネアを安心させるため、オレは何度も言い慣れた台詞を告げる。


「『相手を殺すのに刃物はいらない』って。大丈夫、今回も問題なくオレ達が勝つよ」

「…………」


 ダンジョンランキング1位の大魔王ヨーゼフを相手にオレは断言した。

 その自信に溢れた態度にネアは頼もしさより畏怖を感じたのか、額から冷や汗を流し喉を鳴らす。

 彼女の心配を払拭するため事実を言ったのだが……。

 逆に怖がらせてしまったのか?


 さらに一言、二言フォローの言葉を重ねて、ネアに先程の指示通達を任せる。


 こうして、ダンジョンランキング1位の大魔王ヨーゼフ討伐準備が進められたのだった。




 ☆ ☆ ☆




 大魔王城、王座。

 その王座に大魔王ヨーゼフは当然とばかりに腰を下ろす。


「予想の範疇ではあったが、まさか本当に僕の要望を蹴るとは……。まぁいい、これで『ドリーム・ダンジョン』を確実に潰す大義名分を得られた。あれは絶対に潰さなければ……」

「確かに新人魔王の癖にトップテン入りしたのは気になりますが、ヨーゼフ様がお気になさるほどですかね」


 筋肉の塊の大鬼『大炎鬼(だいえんき)』デカトスが頭を掻きながら首を捻る。

 彼の指摘にヨーゼフは断言した。


「あれは確実に潰しておかなければならない存在だ。下手すればアレは『悪魔の魔王』の再来になりかねないよ」

「!?」

「ま、まさかあのウッドマンがですか!?」

「そうだ。人、魔王関わらず、邪神様の築き上げた神聖なる戦いを汚す愚か者の気配を感じた。だから我が自ら潰す」


 デカトスだけではなく、無口な吸血鬼っぽい青年、カンツァーもこの発言に息を呑む。


『悪魔の魔王』とは、史上最悪の魔王の名を欲しいままにする存在だ。


 人々や亜人だけではなく、積極的にダンジョン&魔王達を喜々として殺し回った存在である。

 あまりに被害が酷く、生き残った国々&人々、ダンジョンの魔王達も手を組み『悪魔の魔王』を倒したのだ。


 そんな規格外の魔王、災害のような存在にウッド魔王がなるとヨーゼフは危惧していた。

 彼に忠誠心高いデカトス、カンツァーもこの指摘には流石に驚きを露わにした。


「よ、ヨーゼフ様、それはいくらなんでも心配のし過ぎじゃ……」

「デカトスは暢気だな。僕は下手すればあのウッド魔王は『悪魔の魔王』すら凌ぐ存在になると考えているよ?」


 ヨーゼフはどこか楽しげに足を組み替える。


「ウッド魔王は一切の武力を用いず当時最強国家だったエーナー王国を潰し、あまつさえ新人魔王がたった数年の期間でダンジョンランキングトップテンに食い込んだ。もちろん過去最高の速度でね。そんなマネあの『悪魔の魔王』ですら不可能だ。故にあのウッド魔王は『悪魔の魔王』以上の悪行をおこなう可能性が高いんだよ。……いや、もう既に僕達が気付かないうちに進行しているのかもしれないな」


 大魔王ヨーゼフの言葉、警戒心、説得力に腹心である部下デカトスとカンツァーは、本当にウッド魔王が『悪魔の魔王』以上の悪行をおこなう気がしてきた。

 ヨーゼフは部下達の態度を気にせず、1人断言する。


「だから邪神様のためにもウッド魔王は確実に潰す。僕の手で確実にだ。とはいえもう勝負は決しているけどね」


 彼は既に勝利を確信した笑みを浮かべる。


「僕達は『ドリーム・ダンジョン』の入場に並ぶ人間達を邪魔するだけの戦力がある。一方で彼らには『大魔王城』に攻め込み、落とすだけの戦力がない。僕達は人間側が『ドリーム・ダンジョン』へ行くのを躊躇うまで妨害し続ければいいが、あちら側は手の出しようがない。……とはいえ何をしでかすか分からない怖さがウッド魔王にはあるからな。こちらもあらゆる状況に対応できるよう想定して準備進めないと」


 ヨーゼフは1人漏らし、部下達に新たな指示を飛ばす。


 ドリーム・ダンジョンvs大魔王城。


 両ダンジョンはお互いに勝利を確信しつつ、準備を進めたのだった。


『【連載版】ようこそ! 『ドリーム・ダンジョン』へ! ~娯楽ダンジョンで日本製エンターテーメント無双~』を読んで頂き誠にありがとうございます!


また本日昼12時に新作の短編を書かせて頂きました。

タイトルは『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ』します!』

です。

https://ncode.syosetu.com/n7378gc/


個人的に色々頑張った短編となっております。

なので是非読んで頂ければと嬉しいです。


作者名前欄(明鏡シスイ)からも飛べるので、是非チェックして頂けると幸いです。


では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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[一言] とても面白かったです。これからも頑張ってください
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