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29話 小さな問題、大きな一歩4

「オレは……アリアを貧乏貴族のエゾンに嫁がせるのが良いと思う」

「ほう……魔王殿、できれば理由をお聞きしても?」


 神官スタスは眼鏡を興味深そうに押し上げ理由を尋ねてくる。

 オレは素直に語った。


「シルバー、エゾン、どちらもアリアを真剣に愛することが伝わってきた。だが上級貴族のシルバーは立場上どうしてもアリア1人を愛することが出来そうにない。愛は第三者が量れるモノではないが……やはり1人の親として、アリアだけを愛するエゾンを押したい」


『それに――』と付け足す。


「話して気付いたんだが、もしシルバーが当主となって領民の突き上げや王命などでアリアと『離婚しろ』、『殺害しろ』と命令されたら、彼は迷って迷って最終的に殺しそうなんだよな……」


 最終的に殺害を選ぶのは、シルバーがアリアを愛していないからだとは考えていない。


「彼がアリアを愛しているのは事実なんだろうが、先祖代々受け継いできた領地も大切なんだろう。領主となれば家族だけではなく、部下、領民なども食べさせていかなければならないからな……。それに『アリアも自分の考えを察してくれて離婚に応じてくれるだろう』、『表に出ず日陰に甘んじてくれるだろう』っていう甘えが見え隠れしているのが気に食わないんだよ」

「なるほど……魔王殿お気持ちよく分かります。もし妹が同じ立場となってしまったらと考えるだけで……ギリッ」


 神官スタスが言葉通り、自身の妹が同じ立場になったのを想像して歯ぎしりする。

 一方アリアは、心底感動した様子で瞳を潤ませ、口元を手で押さえていた。


「魔王様……そこまで私のことを考えてくださってるなんて……」

「大切な部下なんだから当然だろう。しかし誤解して欲しくないのは、シルバーが真剣に、嘘偽りなくアリアを愛しているということだ。だから、最終的に決めるのはやはりアリアの気持ちだと思うぞ」

「いえ、今ので決めました。私はエゾン様に嫁がせて頂きます」

「……そうか」


 一度、体を椅子の背もたれに預ける。

 数秒ほど、沈黙した後、明るい声音になるよう気を付けて口を開く。


「アリアが結婚するなら『ドリーム・ダンジョン』を挙げて派手に祝わなくてはな! なにせ私の配下結婚一号なのだから! 『ドリーム・ダンジョン』初のパレードをしながら、お客様(ゲスト)にお祝いされつつ、教会まで移動。そして皆に祝福されつつ結婚式をおこなう。その時は料理、酒、遊技――全て無料にしてでも盛大に祝わなければ!」

「ま、魔王様! いくら何でも派手過ぎますよ! 資金も非常にかかりますし、なにより恥ずかしいので、もう少し規模を縮小して頂けると……」


 感動していたアリアが予想以上の規模に現実へと戻り、あわあわしながら訴えてくる。

 オレは彼女をスルーして神官スタスへと向き直った。


「スタス殿、是非彼女の結婚を聖神(せいしん)教会であげられないでしょうか?」

「私個人としては祝福したいのは本音ですが……やはり魔物が聖神(せいしん)教会で式をあげるのは難しいかと」

「で、ですよね! ならしかたありませんよ! 魔王様、神官様もこう仰ってますし、こぢんまりとした結婚式をあげるのが最善かと」

「いやいや、派手に結婚式を挙げるのは絶対に譲れないぞ。どうにかなりませんかスタス殿」

「そうですね……」


 オレの願いに彼は腕を組み考え込む。

 目を開くと、眼鏡をくいっと上げつつ提案してくる。


「……たまたまアリア殿とエゾン殿の結婚式が聖神(せいしん)教会前でおこなわれるのはどうでしょうか? 内部に踏み入れるのは問題ありますが、偶然、たまたま教会前で結婚式をおこなわれたら我々としては文句は言えません。あくまで『ドリーム・ダンジョン』の敷地を貸して頂いているのは我々の方なのですから。それに内部に入る必要がなければ魔王殿も出席しやすいでしょう?」

「おおぉ! さすがスタス殿! なんという慧眼! 確かにたまたま、偶然教会前で結婚式が始まって、神官殿が気まぐれに声をおかけになることもありますよね!?」

「当然、気まぐれに祝福の言葉を告げる時もありますよ。気まぐれですから、しかたないですな」


 オレとスタスは2人して笑い声を上げつつ、『偶然』や『たまたま』を強調する。


 アリアは自身の結婚式が絶対に派手になり、見せ物になるのが確定したことに頭を抱えて机に突っ伏してしまう。


 こうしてアリア&エゾンの『ドリーム・ダンジョン』をあげたド派手な結婚式がおこなわれることが決定したのだった。


『【連載版】ようこそ! 『ドリーム・ダンジョン』へ! ~娯楽ダンジョンで日本製エンターテーメント無双~』を読んで頂き誠にありがとうございます!


また今回本作ドリームダンジョンの他にも、『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』を連載版としてアップさせて頂きました。

ドリームダンジョンだけではなく、スキルマスターの方も是非是非チェックして頂ければと思います。


一応作者名をクリックすれば移動できますが、他にも移動しやすいようにアドレスを下に張らせて頂きます。

『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』

https://ncode.syosetu.com/n9129ga/

です。


他にも新作として『軍オタが異世界ヨーロッパ戦線に転生したら、現代兵器で魔王ヒトラー(美少女)を倒す勇者ハーレムを作っちゃいました!?』をアップしております。

こちらは現在毎日更新中で、1章が終わって現在2章に入っております。

2章では『軍オタらしい盛り上がり』が多々あるので、是非チェックして頂けると幸いです。




では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタンがあります)』を是非宜しくお願い致します。


 感想もお待ちしております。


 今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[良い点] スタス成長したな・・・揉まれ過ぎたとも言うけど。
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