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26話 小さな問題、大きな一歩

 聖神(せいしん)教会がダンジョン内部に完成し、お披露目も済ませた。


 教会が出来たことでお客様(ゲスト)達は、『聖神(せいしん)様の許可が得られた』と言外に悟る。

 お陰で文字通り心の底から『ドリーム・ダンジョン』を楽しむことが出来るようになった。


 しかし、教会が出来たからと言って、全ての問題が解決する訳ではない。


『娼館街』から『男性専用街』の責任者となったサキュバスのアリアから問題が持ち込まれる。

 その問題とは……。


「2人の男性から同時に告白されたというわけか……」

「はい、そうなんです魔王様」

「おっ、『私、男性からモテちゃって困る~☆』ってアピールですか? ん?」

「ネア、落ち着け。話が進まないから」


 場所は1日の仕事を終え、『ドリーム・ダンジョン』が閉園した夜。

 ダンジョンマスター室で、アリアから相談を受けていた。


 告白してきた相手は――。

 1人は上級貴族の若者で、次期領主になるのが決定している。

 1人は下級貴族の三男坊で、ほぼ一般人に毛が生えた程度。


「それで一体どうして2人の男性から告白されてるような事態になったんだ? 詳しい経緯を教えてくれ」

「はい。それがですね……」


 アリアが語り出す。


 彼女は旧『娼館街』からずっと責任者として活動してもらっていた。

 基本的に訪れるお客様(ゲスト)は、貴族のため金銭の支払いに関しては問題無いのだが……。

『俺の女に手を出した』、『いや、俺の女だ』や酒を飲み過ぎて施設内部の備品を壊したり、サービス外の要求を持ち出されたりなど――現場では収めきれない問題が発生した場合、彼女は責任者として対応してもらっていた。


 暇な時間があると現場責任者として管理区間をパトロールしていたらしい。


 その際、2人の男性からよく話しかけられるようになった。

 最初は娼婦と勘違いされていると誤解し、『自分は責任者なのでお相手できません』とマニュアルに従い対処していた。

 それですぐに誤解がとけ、その場で別れたが次はなぜか花束を持って声を掛けられるようになった。


『職務中なので受け取れません』とその場でお断り。


 後日、再び勤務が終わる直前を狙って花束だけではなく、衣服、宝石などをプレゼントされるようになる。

 流石に受け取るのは高価過ぎてお断りしていたのだが……。

『ならば休日にデートして欲しい』とお願いされてしまう。


 これ以上貴族を相手に拒否するのは難しいと判断して、デートを了承。

 休日、『ドリーム・ダンジョン』内部でデートをした。

 何度か遊びに行くうちに2人同時に告白を受けたらしい。


 しかも告白内容が2人示し合わせたかのように『遊びではなく、自分の妻として結婚して欲しい』というものだった。


 自分で判断を下す権限の範疇を越えていると判断。

 結果、『自身の産みの親であるウッド魔王にまず相談するから待って欲しい』と伝えたとか。

 そして現在に至るらしい。


「やっぱり『私、モテて困っちゃう☆』っていう自慢話じゃないですか!」


 なぜかオレをアシストするために存在するネアが憤慨する。

 ネアがなぜ怒っているのか理解できない。

 こいつはアシスタントデーモンなのに人間の男にちやほやされたいのだろうか?


 ツッコムと話が進まないので放置するべきだろうな。

 軽く咳払いしてアリアに向き直る。


「とりあえず話は分かった。確かにこの問題はアリアの権限を越えているな……」


 彼女は元『娼館街』の頃から責任者を務めてもらっている。

『男性専用街』の隅々まで知り尽くし、オレより貴族達と面識がある人物だ。

 後継者や引き継ぎもせず『結婚して引退』なんてことになったら手痛いというレベルではない。


 またそんな相手だからこそ『結婚したい』と言い出している可能性もある。


(この話を蹴らせるのは難しくないが……。計画上、もったいなくはあるんだよな)


 これが普通に『男性専用街』に勤める娼婦モンスターなら話は早かったのだが……。


「ちなみにアリアとしてはどうしたいんだ? 結婚したいのか、したくないのか? どちらかの男に惚れているのか?」

「わたしとしては……お2人とも好ましく想います。ですがどちらかだけと結婚となると分からなくなってしまい……」

「ふむ」


 アリアは2人の男性を好ましく想うが、どちらかとだけ結婚となると自分の気持ちが分からなくなるらしい。

 結婚には前向きだが、どちらを選べばいいか迷っているだけのようだ。

 その判断を産みの親である魔王のオレに下して欲しいらしいな。


 アリアが結婚に前向きなら、話を進めるとするか。

 彼女が結婚して引退する場合は、改めて後継者&引き継ぎをすればいいだけだ。


「……話は分かった。なら今度、その2人の男性に時間を取ってもらってどちらがアリアに相応しいか面接をしようじゃないか」

「ありがとうございます、魔王様!」


 オレの決断にアリアが花の咲くような笑みを浮かべる。


 こうしてアリアの結婚相手の面談が決定したのあった。


「……自分が呼びだしたモンスターの結婚相手を面接する魔王って、考えてみると前代未聞ですよね」


 ネアが1人ツッコミを入れる。

 その声音は虚しくマスタールームに響くのだった。


『【連載版】ようこそ! 『ドリーム・ダンジョン』へ! ~娯楽ダンジョンで日本製エンターテーメント無双~』を読んで頂き誠にありがとうございます!


また今回本作ドリームダンジョンの他にも、『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』を連載版としてアップさせて頂きました。

ドリームダンジョンだけではなく、スキルマスターの方も是非是非チェックして頂ければと思います。


一応作者名をクリックすれば移動できますが、他にも移動しやすいようにアドレスを下に張らせて頂きます。

『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』

https://ncode.syosetu.com/n9129ga/

です。


他にも新作として『軍オタが異世界ヨーロッパ戦線に転生したら、現代兵器で魔王ヒトラー(美少女)を倒す勇者ハーレムを作っちゃいました!?』をアップしております。

こちらは現在毎日更新中で、1章が終わって現在2章に入っております。

2章では『軍オタらしい盛り上がり』が多々あるので、是非チェックして頂けると幸いです。




では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタンがあります)』を是非宜しくお願い致します。


 感想もお待ちしております。


 今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >現場では収まりきれない問題が発生した場合、彼女は責任者として対応してもらっていた。 『現場では収めきれない』または『現場には収まりきらない』かと。 >これが普通に『男性専用街…
[一言] お父さん突撃したらラスボスに対して面接バトルってのがめちゃめちゃ面白い
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