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21話 視察団

 聖教(せいきょう)国家上層部の話し合いが長時間続く。


『3ヶ国トップ全員が洗脳され操られているのではないか?』、『この親書自体、実は偽物で他国が聖教(せいきょう)国家を貶める罠ではないのか?』という可能性にまで言及する。


 最終的に『ドリーム・ダンジョン』は娯楽を提供するダンジョンで未だに内部で死亡者は1人も出していないという事実が決定打となる。

 とりあえず1度は自分達の目で視察することが決定されたのだった。




 ☆ ☆ ☆




「ようこそ『ドリーム・ダンジョン』へ! 皆様どうぞ一時の楽しい夢を存分にお楽しみください!」

『…………』


 帝国、冒国(ぼうこく)(ギルドが運営する冒険者国家)、連合国も滞在した貴賓室で、オレは聖神(せいしん)教の中心地として栄えた国家、聖教(せいきょう)国家の代表視察団に恒例の挨拶をする。


 視察団のトップである司教――見た目は40代の眼鏡を掛けた生真面目そうな男性だ。前世日本の教会神父が着ているような衣服に袖を通している。

 視察団の中には女性も居た。

 ドリーム・ダンジョン内部には女性しか入れないエリアもある旨を書いていた。そのための人員だろう。

 彼女を含めて6名だ。


 宗教の中心地を押さえている国家の視察団としては人数が少ないが……。

 司教はともかく、他5人は見た目こそ真面目そうな聖教(せいきょう)神官達だが、足取り、目の視線、雰囲気などがどれも一級の冒険者レベルだ。

 いざ、危険が及んだら即座に逃げるための少数精鋭なのだろう。


(『ドリーム・ダンジョン』は危険が無いダンジョンなんだが……まだまだ受け入れられるのに時間がかかるな)


 内心の溜息を表に出さず、赤いマントに冠を被ったいつものウッドマンで対応する。


「申し訳ございません。どうもお客様をダンジョンにお招きした場合、一度は今の台詞を言わないと体がむずむずしてしまって。最近、このむずむずを放置していると、体が痒くなって掻いてしまって体が木目にそって割れてしまうんですよ。ウッドマンだけに!」

『…………』


 オレの渾身のウッドマンギャグに視察団はぴくりとも表情を動かさない。

 真面目な表情で黙り込み続ける。

 別に面白かったら笑ってもいいのだが……。

 司教、上司の手前我慢しているのだろうか?


 オレは軽く咳払いしてから、話を進める。


「あらためまして遠い所から視察に来て頂き誠にありがとうございます」

「……いえ、ご招待頂きこちらこそ誠にありがとうございます。早速で申し訳ないのですが、どうして敵対するはずの我々、聖教国家の教会を建てたいなどと手紙に記されたのですかな? ダンジョンの魔王にとって聖神(せいしん)様は大敵だと小生は耳にしたのですが」

「答えは簡単です。『ドリーム・ダンジョン』に訪れるゲスト――お客様に心からダンジョンを楽しんでもらいたいのです。そのために聖神(せいしん)教教会がダンジョン内部にあった方がよろしいかと私は考えているのです」

「つまり、我々に聖神(せいしん)様を欺く手伝いをしろと仰るのですね」


 司教がぎらりと眼鏡を輝かせて、切り込んでくる。

 彼の言葉に控える他信徒達からの殺意が上昇した。


「欺くなんて人聞きの悪い。いえ、私は魔王ですがね」


 オレは空気を変えるため、あえて明るい口調で肩をすくめる。


「あくまでお客様にこのダンジョンを楽しんでもらいたいだけです。心安らかに楽しんでもらうため聖神(せいしん)教様のお力をお借りしたいだけ。別に教会を目眩ましに利用して悪巧みなどするつもりなんて毛頭ありませんよ」

「…………」


 司教はこちらを探るように鋭い視線を向けてくる。

 それこそ物理的にウッドマンの顔に穴が空くんじゃないかと心配になるレベルだ。

 またこの異世界では嘘を判断する魔術が存在する。

 なのでオレは言葉を選び、口を開いていた。


 言葉通り、オレは聖神(せいしん)教と敵対するつもりはない。

 あくまで『ドリーム・ダンジョンで遊ぶ信徒は邪教徒だ』と騒がれるのを防ぎたいだけだ。

 元エーナー王国の時と同じ轍を踏むつもりはない。

 事前に免罪符を手に入れたいだけである。


 だが相手はお堅い宗教団体。

 口でいくら『こちらに敵意はありません。仲良くしましょう』と言っても信じてもらえる訳がない。

 ではどうすればいいのか?


 信用を作るのは口ではなく、行動。


 オレは早々に切り札をオープンする。


「我々、魔王や魔物を信じることはすぐには難しいでしょう。そのためにもまず『ドリーム・ダンジョン』内部を視察して頂ければと思い今回ご招待させて頂いたのです。また今回のお話がまとまり無事に教会をダンジョン内部に建築する許可を頂けましたら、聖教(せいきょう)国家様には毎月1万金貨を喜捨したいと考えております」

「!? い、1万金貨を喜捨!?」


 この申し出にさすがの堅物司教や神官達も目を丸くする。


 1枚の金貨が日本円で約10万円だ。

 1ヶ月で10億円。

 1年で120億円である。


 つまり、ダンジョン内部に教会を建てる許可を出したら、毎年120億円黙っていても入ってくるということだ。

 濡れ手に粟というレベルではない。

 聖教国家は一神教のため多額のお布施を信者達から喜捨されているが、それでも合計12万金貨は大金だ。


 驚愕した司教が恥ずかしげに咳払いをして、気持ちを立て直す。


「随分と景気の良いお話ですね」


『大金を支払う理由として、何か邪悪なる意図があるのでは?』と言外に告げてくる。


 しかし、司教や神官達の態度は先程に比べて明らかに緩くなっていた。

 年間金貨12万枚はインパクトがあったらしい。

 やはり地獄の沙汰も金次第である。


 オレは揉み手する勢いで声を重ねる。


「いえいえあくまで私達なりの誠意の表れです。また皆様からすれば、色々不安、猜疑心がお有りでしょうが、『ドリーム・ダンジョン』を見学して頂ければそれが杞憂だとすぐにご理解頂けます。一目瞭然です。なのでどうか、公平な目でダンジョン内部を見て頂ければ幸いかと」


 お疲れでしょうから、案内は明日にでも――と締めくくろうとしたが、


「いえ、今からで大丈夫です。なにより魔王殿がそれほど勧めるならば気になるのが人情。また小生だけではなく、皆も噂に聞く『ドリーム・ダンジョン』がどのようなモノなのか気になっておりますから」

「なるほど、では私が自ら皆様をご案内させて頂きますね」


 ソファーに向かい合って座っていたオレと司教はほぼ同時に立ち上がる。


 オレは司教、神官達を連れて早速『ドリーム・ダンジョン』内部を案内することになったのだった。


『【連載版】ようこそ! 『ドリーム・ダンジョン』へ! ~娯楽ダンジョンで日本製エンターテーメント無双~』を読んで頂き誠にありがとうございます!


また今回本作ドリームダンジョンの他にも、『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』を連載版としてアップさせて頂きました。

ドリームダンジョンだけではなく、スキルマスターの方も是非是非チェックして頂ければと思います。


一応作者名をクリックすれば移動できますが、他にも移動しやすいようにアドレスを下に張らせて頂きます。

『【連載版】廃嫡貴族のスキルマスター ~廃嫡されましたが、『スキル創造』スキルで世界最強のスキルマスターになりました!?~』

https://ncode.syosetu.com/n9129ga/

です。


他にも新作として『軍オタが異世界ヨーロッパ戦線に転生したら、現代兵器で魔王ヒトラー(美少女)を倒す勇者ハーレムを作っちゃいました!?』をアップしております。

こちらは現在毎日更新中で、1章が終わって現在2章に入っております。

2章では『軍オタらしい盛り上がり』が多々あるので、是非チェックして頂けると幸いです。




では最後に――【明鏡からのお願い】

『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタンがあります)』を是非宜しくお願い致します。


 感想もお待ちしております。


 今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!


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