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過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

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生存競争

「まだだ!滅多打ちにしろ!」


 俺の言葉に応じガッテンと七色の悪魔、モータルがレオノラを袋叩きにする。


「がッ……あ……」


 レオノラ……いや、最早レオノラだったモノと化したその肉塊がしつこくうめき声をあげる。


「おい!もういい!」


「いや、良くねぇ!魂がどうこう言ってたし入念に……ぐ、う」


 叫んだ拍子に、喉奥からせり上がってきていた血がぶちまけられる。


「タカの回復を!鳩貴族さん!」


「はい!」


 ほっぴーに指示され鳩貴族さんが俺の方へすっとんでくる。


「ハイ・ヒール……ほっぴーさん!ダメです!」


「はあ!?」


 あー、やっぱり?


 俺は自分の腹を貫いたままの槍をチラリと見た。


 ……おえっ、見なけりゃ良かった。ぐちゃぐちゃじゃねぇか。


「ホんとウ、に、見事ダな」


 壊れかけのマイクを通したような奇怪な声。

 見れば、先ほどの肉塊が人の形を取り戻しつつあった。


 ほらやっぱり生き返りかけてるじゃねぇか。ちゃんと殺せよ。


「ッ!!」


「待テ……おイ。待テ」


 指示を待たずして飛び出したモータルにぐちゃぐちゃに切り裂かれていくレオノラ。

 まぁそうなるな。


「聞ケ!話を!もはヤ、わタシに戦意はナい」


「……モータル」


 血が口から滴るのを自覚しつつも、声をひねり出し、モータルを退かせる。


「で?」


「そノ前に少し身体ヲ借りルぞ」


 そういうとレオノラが俺の方へずるずると這って来た。


「……運ガ良けレばお前を蘇生でキる」


「俺はまだ生きてるが」


「ハハハ、ヒールで首の皮一枚繋がっテるだケだろウ?」


 ……


 チッ……正直俺だって命は惜しい。だが下手したらコイツが復活しかねんような事を……


「お前を素材にして蘇生したボスとかクソ雑魚確定だしダメ元でやっていいぞ」


「なんだてめぇ……」


 ほっぴーを睨みつけつつ、こちらに這い寄ってくるレオノラを待つ。


「は、ハハ……安心しロ、わタしはどちラニせよ――」


 レオノラが俺に寄りかかってくる。

 ただでさえ濃かった血の臭いが更に濃密になり、目がくらむ。


 その一瞬の空白の時間に差し込むようにして、レオノラが口付けをしてきた。


 レオノラの口から、何かが入り込んでくる。




 ――聞こえるか


「うわ、そういうパターンかよ」


 ――何を言っているかよく分からんが、よく聞け。私はタカ、お前を蘇生する手段を持っている。だがせっかくだから色々と種明かしをしてやりたい。どうだ?少しだけ私に身体を……


「ごちゃごちゃうるせぇな。さっさとやれ」


 ――ふ、ははは!感謝する。異世界の戦士よ






「さあて、何から言ったものか」


「うわいきなりどうしたお前」


 俺の口や目が勝手に動く。

 おそらくレオノラが操っているのだろう。


「今はレオノラだ」


「……おい、どう思う?死に際の悪質なギャグの可能性も」


 ねぇよ!!!!

 ほっぴーてめぇ後で覚えとけよ!!!!


「真偽など後で分かる。聞け、異世界の戦士よ」


 俺の……いや、正確にはレオノラの言葉に、ほっぴー達が「まあ、一応聞いとくか……」といった感じの表情になる。

 

「で?」


「まず最初に。私のこの能力はギフトではない」


「……へぇ」


 ほっぴーの目が細められる。

 興味を持ったみたいだな。


「私のギフトは単なる膨大な魔力だ。一番平凡なギフトだな」


「つまり、膨大な魔力があればお前の救世の兵とやらを再現可能ってことか?」


 その返しに満足したのか、俺の顔がニタリと歪められる。


「うわきっも」


 俺ちゃんと聞こえてんだからな?


「あの術は……聖術と死霊魔術の合成魔法だ」


 なんだそのステーキパフェみたいな混沌とした組み合わせは……


「それ合わせられるのか?……というか合わせていいのか」


「戒律には書かれていなかったからな。存分に実験をした」


 そりゃそんな事されるとか戒律を作った奴も思わんだろ。


「戒律?」


「私の属する宗教の戒律だ」


 お前……なかなかダイナミックな神への冒涜を……


「私は先ほど破った以外は一度も戒律を破っていない」


 ……もういいです。


「話がズレていたな。時間も無いし合成魔法に関してはヒントだけをやったら本題に入るぞ」


 そう言うと脳がきしんでいるのではないかと思うほどの頭痛が俺を襲った。


 てめ、俺に直接なんか書き込みやがっただろ……ああ、クソ!……はあ、はあ。んだコレ。魔法陣か?


「さて、私の最終目標としては、集めた魂を残機として半永久的に生きる事だったのだが……この魔術がなかなか完成しなくてな」


「さらっと恐ろしいなコイツ」


「なにぶん、自分以外の魂を扱うという行為はなかなか難しい。相手に操作させようにも魔力が足りずに勝手に干からびる」


 それ人殺してない?戒律は?


「殺してない。勝手に死んだんだ」


 うわぁ……


「逆に言えば、私は自分自身の魂なら操作できる。そしてその魂を用いて……他の誰かの残機となれるということだ」


「……話は分かった。その魔術をタカに使うってことか」


「ああ。そろそろ魔術も組み終わる……私からの餞別は以上だ。生存競争に負けぬよう励むがいい、私を打倒した異世界の戦士達よ」


「お前に言われるまでもない」


「ははは!そうか!」


 その瞬間、俺の身体が白と黒の二色の柱に囲まれた。

 ねぇこの術ほんとに大丈夫?


 そんな俺の心配をよそに、少しずつだが、身体の感覚が戻り、そして傷が癒えていく。


「レオノラ。まだいるか」


 ――なんだ


 その瞬間、俺は様々な感情が浮かび上がった。

 良い感情ばかりではない。というかほぼ負の感情だったが……

 それらを全て飲み込み、俺は言った。


「楽しかったよ」


 ――ハッ、それは私のセリフだ


 ぶっちゃけ死にかけといて楽しいもクソもないが、おそらく彼女が一番嬉しがるのはその言葉だろう。


「じゃあな」


 ――ああ




 ついに柱が中心に居る俺の場所へと収束していき――



「タカ!大丈夫か!」


 

 駆け寄ってくる仲間達に向け、俺はフッと微笑み、言った。



「大丈夫に見えるか?」




 そう、俺の傷は完治していた。


 


 ――槍が突き刺さったまま。




「……あー、これ、ゲームのバグ動画とかで見たことある」


 俺は発言者であるジークの胸倉を掴み頭突きをかました。




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― 新着の感想 ―
シリアスな場面で笑いを取りに行くスタイルに脱帽 唐突にツボにハマるんで電車の中で読めないんですがw
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