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過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

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会議は混沌に沈む定め

「……まぁ冗談は置いとくとして、だ」


「置いた冗談が部屋中に散乱してるんだよなぁ」


「タカ、黙っててくれるかい?」


 そうアルザにたしなめられ、渋々ながら口をつぐむ。


「どの面下げて来やがった」


 ほっぴーの睨みをフッと笑いとばすアルザ。


「言葉を返すようだけど、どの面を下げて魔王軍に協力の願いなんて申し出たんだい?」


「あ?喧嘩か?上等だコラ。自分がどこにいるか分かってんだろうな」


「よせ、タカ」


「んだよほっぴー!綺麗にブーメラン返されてイラついてんだろ!?やっちまおうぜ!」


「欲望に素直すぎないかい?」


「アルザは黙ってろ!」


「えぇ……」


 ほっぴーと口論を始める雰囲気を出しつつ懐に忍ばせていた短剣を取り出し、アルザに斬りかかる準備をする。


「タカ。僕が気付かないとでも?」


「チッ」


「タカさん、気持ちは分かりますが一旦抑えて……アルザさん、でしたか?このような所では何ですので場を変えませんか」


 七色の悪魔さんが俺の肩に手を置きつつ、アルザに話しかける。


「場を変えるってどこへ?ある程度重要な人物が集まってるようだし、ここでいいんじゃ……」


「場を変えましょう」


「……ああ、うん。分かったよ」


 七色の悪魔さん……そこまで後ろめたいならわざわざ来なくても動画データ送ってもらえば良かったやんけ……












「さてと。全員集まったな」


 部屋の半分のスペースを占める大きなテーブル。


 そのテーブルを、十傑と、それに向かい合う形となる席にカーリア、アルザの二人が座っていた。


「進行はどうする?お代官さんか?」


「いや、私は十傑の一人として同席したに過ぎない。この件はほっぴー君が持ちかけた話な訳だし、ほっぴー君が進行をすべきだ」


「それもそうか……えー、と。じゃあ進行は俺がやる」


 ガタッと音を立てほっぴーが立つ。


「じゃあまずは率直に聞こう。魔王軍は今やってる戦争において……劣勢だよな?」


「……まあ、そうだね」


 言葉上はさらりとした受け答えだったが、その表情は悔恨の念がありありと浮かんでいた。


「君達がもっとあっさり死んでくれていれば覆せていたかもしれないんだけどね」


「てめえ」


「タカ。次はこの部屋からつまみだすぞ」


 ……分かってるっての。


 そう半ば自分に言い聞かせるようにして、立ち上がりかけた身体を椅子に沈み込ませる。


「アルザも余計な事は喋るな」


「はいはい」


「……」


 そんなやり取りの後、ほっぴーは暫く黙ったまま何やら考えていた様子だったが、首をふるふると横に数回振ると、吹っ切れたような声で言葉を発した。


「もういいや。遠まわしに聞くのなんかやめだ、やめ」


「お前ら、戦力不足して、防戦すら危ういだろ?」


 ほっぴーの直球な質問にアルザの表情が曇る。


「軍事機密をそう易々と漏らすつもりはないよ」


「お前らがやられるとこっちにまで皺寄せが来るんだよ。こっちも正直に話してやる。だからお前も正直に話せ」


「嘘をつかれるとは思わないのかい?」


 そこでほっぴーが少し言いよどんだが、すぐに取り直し、アルザを真っ直ぐ見据え、言った。


「信用してやるって言ってんだ。同族を大量に殺戮したお前らを、信用してやる」


「……はは、そうかい」


「ああ。だからお前らも俺達を信用しろ」


 ほっぴーがそう言った瞬間、部屋がぶわりと殺意で満たされた。


「!?おい、アルザお前」


「ほっぴーさん!」


「立つな!座ってろ!カーリアちゃんもだ!」


 アルザがどこからか取り出した矢をほっぴーに向け投げる。

 恐ろしい程の勢いと速度でほっぴーへと直進していった矢は、ほっぴーの顔スレスレの位置で、ピタリと止まった。


「……まばたきすらしないとは、ね」


「信用するって言ったからな。これで満足か?」


「……」


 矢がするり、とアルザの懐へと戻っていく。


 ドカリと座り込んだアルザは、やがて諦めたような顔で言った。


「ああ、そうだね……満足するしかない。僕達の現状を話そう」


「最初からそうしろ。めんどくせぇ」


 それに伴い、ほっぴーも椅子に座る。


 机の下に隠した腕と脚の震え。


 それを指摘するほど無粋な者は、十傑には居なかった。














「あー、つまりだ。端的に言えば全滅の危機、と」


「ああ。君達が一度訪れたことのある魔王軍の出張指令部の建物。アレも今じゃ完全に廃墟さ。残ってるのは最後の砦……魔王城だ」


「砂漠の女王、意外と危うかったんじゃないか?」


『さてさて。ただ数で押してくるだけなら領域は破れませんわよ』


「……なんか含みのある言い方だな」


 俺の呟きを拾ったらしいほっぴーが別の場所から見ているであろう砂漠の女王に向け問う。


「そういう言い方をするって事はいるのか?単体戦力が桁外れなヤツが」


『それに関してはアルザの方が詳しいかと。ねぇ?』


 砂漠の女王の言葉に、皆の注意が一斉にアルザへと向く。


「どうなんだアルザ」


「……ああ。居るよ。魔王様にも迫りかねない実力者……特級だとか言われてたかな。それが数人」


「うわキツいな」


「ただ領域内で戦えば、君達で倒せる……ああ、いや流石に厳しいか。カーリアと君達なら、まあ倒せるかもね」


 ……こりゃ攻勢に出るのは不可能か。

 こうなると領域内に砦でも作って必死に防衛戦するしかねぇか……?


「迫りかねない、か。その特級ってヤツの、現在確認の取れてる数は?魔王城にそいつらが攻めてきた場合、何人までなら捌ける?」


「五人。三人までなら何とかなると思うよ。組み合わせ次第ではあるけどね」


「……二人、か。なあ、砂漠の女王」


『なんでしょう』


「転移罠ってのがあるらしいな?」


『……ええ。ありますわ』


「二人ほど罠にかけてこの領域内で仕留めるってのはどうだ」


「あー、待った、待った。三人捌ける、ってのは本当にその三人のみで攻めてきた場合だよ?いくら雑魚とは言え他の兵士が大量に押しかけてきたんじゃ流石に無理だ」


「……そこは何とかして三人……ああいや、五人だけで城に侵入してくるように仕向けるしかねぇ」


「わざと隙を晒して魔王の寝首を掻きに来させるというのはどうでしょう?」


 七色の悪魔さんの提案にほっぴーがうぅんと唸る。


「隙を晒すってよ、どうやって隙があるって思わせるんだ?」


 噂を流す、とかその辺りだろうか。


 とは言え軍部まで話を行き渡らせるってのはなかなか難しいだろう。


 いや、特級ってのは、おそらくギルドにおいて「駆除区分特級」保持者という事だろうしギルド経由で本人に直接噂を流すってのも……


「……いけるかもしれないな」


「なにっ、マジかタカ」


「向こうのギルド関係者に何人か繋がりができてる。そっから上手い事本人と直接会って話を持ちかけてみる」


「ああ、グレイゼルさんの事?」


 モータルが納得したような顔をした後、こちらにととと、と近寄ってくる。


「いいんじゃない。タカ、相手をおだてて乗っからせるの結構得意だったよね。確か前に――」


「やめろ」


「おい、何やったんだお前」


「いやちょっと昔に過疎ってねぇMMOに出しゃばって口先で一個ギルド破綻させた前科が」


「最低じゃねぇか」


「やめろと言っておきつつ自分からバラしていく神経」


 ここぞとばかりに好き勝手に発言しだすんじゃねぇ!

 ネカマに騙されて腹立ったとかそんなんじゃねぇから!


「話の落差が凄いな君達……」


「ああ、君は常識人のようだね、助かるよ。この世界の人間はあんなのばっかりかと……うわわっ!?」


『お代官様に色目を使うんじゃねぇクソエルフ』


「危ないな君は!?あと一瞬遅れていたら普通に死んでいたぞ!?」


「あ、あの私、話についていけてなかったんですけど……結局私って何をすれば……」


「前々から思っていたけどね!カーリア、君ポンコツ化しすぎだろう!?この数週間、何をやっていたんだい!?」


 ついには魔族達までもがギャーギャーと騒ぎ始め、会議室は混沌を具現したような状況となっていった。

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